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2005年01月24日

組織の経済学

■ 書籍情報

組織の経済学   【組織の経済学】

  ポール・ミルグロム (著), ジョン・ロバーツ (著), (訳)奥野 正寛, 伊藤 秀史, 今井 晴雄, 八木 甫
  価格: ¥5,775 (税込)
  NTT出版(1997/11)

 経済学の手法を用いて組織を分析したビジネススクールの「教科書」です。
 「経済学」というと需要と供給のグラフが浮かぶ人が多いと思いますが、本書で用いられているのは、ゲーム理論、情報の経済学、契約理論、オークション理論などの比較的新しい分野の研究成果が盛り込まれています。
 本書の構成は次のようになっています。


第I部 経済組織
第II部 コーディネーション:市場と組識
第III部 モティベーション:契約、情報とインセンティブ
第IV部 効率的なインセンティブの提供:契約と所有
第V部 雇用:契約、報酬、キャリア
第VI部 資金調達:投資、資本構成、コーポレート・コントロール
第VII部 組織のデザインとダイナミックス

 読み進める順序はいろいろあると思いますが、序文によると、スタンフォードの学部の授業では第V部は飛ばす、MBAの授業ではケーススタディの教材として使用することが多いということです。
 とりあえずは、第IV部までを読んで、その後は自分の関心にしたがって読めばいいでしょう。


■ 個人的な視点から

 私が「NPM(New Public Management)の研究をしたい」という動機で大学院に入って2ヶ月ほどでこの教科書に出会いました。それまで「NPMの背景にある理論は何?」ということをいろいろテキストや論文に当たるうち、どうも「新制度派経済学」というものがNPMの理論的バックボーンになっているらしい、ということを知り、この本にたどり着いたわけです。
(大住(1999)→Ferlie et al.(1996)→Hood(1991)→Williamson(1975)という辺りのルートをたどった気がします。)

 この本に出会うまでは、「大学に来ちゃったけどこのまま何の手がかりもなく2年経っちゃうんじゃないか」と不安に感じていたのですが、その年の7月にはこの本を夢中で読みました。丸々2~3週間かけてメモを取りながらひたすら読みました。読み終わったあとは、「文献ノート」を参考にして参考文献を読み漁り、図書館やダウンロードサービスから論文を集め、googleでキーワード検索してはワーキングペーパーを集めました。そういった意味で、私の大学院時代がこの1冊に集約されていると言えるようなものです。

 もう13年も前に出版(原書)されたものなので、その後の研究成果については他の教科書やサーベイ論文等でフォローする必要がありますが、教科書としてのバランスは非常に優れたものです。「電話帳」「タウンページ」などと呼ばれるように非常に厚い(日本語版は702ページ!)教科書ではありますが、各章ごとに、「まとめ」「文献ノート」「参考文献」「練習問題」が整っているので、ここからスタートした方が何冊も脈絡もなく読むよりも近道です。


組織の経済学 ちなみに、原書のハードカバーはデカイ!重い!高い(140$)!の三拍子がそろっていてとても買えませんでしたが、八重洲ブックセンターで廉価版(逆輸入禁止)のペーパーバックを4,620円で購入しました。


■ どんな人にオススメ?
 ・「NPMと呼ばれる一連の改革が成果を挙げた、機能したのはなぜだろう」ということを理解したい人。
  例えば、なぜPFIでは所有権を民間に移転するのだろう?など。

■ 関連しそうな本
 柳川 範之『契約と組織の経済学』 2005年02月22日
 赤井 伸郎, 山下 耕治, 佐藤 主光『地方交付税の経済学―理論・実証に基づく改革』 2005年01月27日
 伊藤 秀史, 小佐野 広"『インセンティブ設計の経済学―契約理論の応用分析』 2005年02月26日
 エドワード・P. ラジアー『人事と組織の経済学』
 Ewan Ferlie, Lynn Ashburner, Louise Fitzgerald, Andrew Pettigrew  『The New Public Management in Action』
 オリヴァー・E.ウィリアムソン『市場と企業組織』


■ 百夜百マンガ

コジコジ【コジコジ】
 「ちびまる子ちゃん」でおなじみのさくらももこの世界が全開な作品。
 「メルヘンの国だから」という理由で何でもありのイマジネーションが飛びまくりの世界には最初はクラクラするかもしれません。
 第1話で担任の先生から「将来何になりたいんだ」と聞かれて「コジコジは生まれたときからずーっと将来もコジコジはコジコジだよ」と答えてしまうところは何気に感動的です。

投稿者 tozaki : 2005年01月24日 05:21

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