« 働くひとのためのキャリア・デザイン | メイン | CODE―インターネットの合法・違法・プライバシー »

2005年01月31日

戦略的思考とは何か―エール大学式「ゲーム理論」の発想法

■ 書籍情報

戦略的思考とは何か   【戦略的思考とは何か―エール大学式「ゲーム理論」の発想法】

   アビナッシュ ディキシット (著), バリー ネイルバフ (著), 菅野 隆 (翻訳), 嶋津 祐一 (翻訳)
   価格: ¥3,873 (税込)
   TBSブリタニカ(1991/09)

 「ゲーム理論」を説明する事例集としてこれほど使いやすいものはないだろう、と言える秀逸なテキストです。
 もともとはディキシットがプリンストン大で、ネイルバフがプリンストン大とイェール大で講義に使用していた教材をベースにしています。(イェール大に留学していた職場の先輩は、「ネイルバフは天才だ」と言ってました。)
 ここに収められた数々のケースは、さらに様々なテキストなどに引用され、例えば、伊藤 元重(著)『ビジネス・エコノミクス』のゲーム理論の部分は本書からケースを引用しています。
 難しい数式が出てくる本ではありませんので、ゲーム理論に興味を持った人は、まずこの本か『戦略的思考の技術』辺りから読んでみてはいかがでしょうか。


■ 個人的な視点から

 なぜ行政経営にゲーム理論が不可欠なのでしょうか。
 それは、行政の役割が「管理から経営へ」と変化する中で、これまでは権力を背景にして自分たちが決めたことを住民や企業に強制するという仕事のやり方が、情報とインセンティブを重視した(暗黙の契約も含む)契約型の仕事のやり方に変化して行くからです。

 「自分の行動が相手の行動に影響を及ぼす」というゲーム理論の思考を身に付けることは、「相手の身になって考える」という言葉を、単なる人生訓や心構え以上のプロとして必要な技術に変えるものになると考えられます。
 また、PPP(Public-Private Partnership)は、単に「仲良くしましょう。」「協力してください。」では実現できません。ましてや、「金出すから言うこと聞け」というような"業者に下請けに出す感覚"では問題外です。相手が、そして自分がどのような思惑(利得表)を持ち、どうすれば双方の利益になるかを考えることなしには、参入するか撤退するか、外注するか内製するか、という判断ができません。行政の場合で言えば、どこまでが行政が行うべきか、委託するか直営するか、などの判断ができないということです。
 役所に跋扈している「あるべき論」「スジ論」ではこのような判断を適切に行うことはできません。これから先、プロとして行政や社会変革に携わって行きたい人であれば、本書で紹介されているような「ゲーム理論に基づいた戦略的思考」は不可欠です。


■ どんな人にオススメ?
 ・なんとなくゲーム理論に興味はあってもどれから読んでいいか分からない人
 ・これまで法律と行政学ばかり勉強してきた公務員


■ 関連しそうな本

 梶井 厚志『戦略的思考の技術―ゲーム理論を実践する』 2005年02月20日
 松井 彰彦, 清水 武治『ゲーム理論―どんなケースでも「最高の選択」ができる“勝つための戦略”』
 バリー・J. ネイルバフ, アダム・M. ブランデンバーガー (著), 嶋津 祐一, 東田 啓作 (翻訳)『コーペティション経営―ゲーム論がビジネスを変える』
 アビナッシュ・K. ディキシット(著), 北村 行伸 (翻訳) 『経済政策の政治経済学―取引費用政治学アプローチ』 2005年02月06日
 伊藤 元重 (著)『ビジネス・エコノミクス』 2005年02月18日
 Prajit K. Dutta 『Strategies and Games: Theory and Practice』


■ 百夜百マンガ

炎の転校生【炎の転校生】
 目的のためならばどんな屁理屈も通す、という姿勢はここから学んだような気がします。
 特に伊吹三郎の「心に棚を作れ」は名言中の名言です。
 改革の道には、常に「じゃあお前自身はどうなんだ」というカウンターパンチが待ち構えています。そんなときこそ「心の棚」です。自分のことを棚に上げて言わなければならないことははっきりと主張できることが大切です。

投稿者 tozaki : 2005年01月31日 05:00

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.pm-forum.org/MT3/mt-tb.cgi/84

コメント

コメントしてください




保存しますか?