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2005年02月23日

コーポレートガバナンスの経済学―金融契約理論からみた企業論

■ 書籍情報

コーポレートガバナンスの経済学   【コーポレートガバナンスの経済学―金融契約理論からみた企業論】

  小佐野 広 (著)
  価格: ¥2,100 (税込)
  日本経済新聞社(2001/07)

 本書の各章は、コーポレートガバナンスについて、
・制度および現状の説明
・ガバナンス手段の理論的評価
・ガバナンス手段の実証的評価
・章末のまとめ
という形で構成されています。

 まず、「第1章 コーポレート・ガバナンス論の新潮流」では、本書のアプローチについて説明しており、限定合理性(bounded rationality)、機会主義(opportunism)、情報の非対称性(asymmetric information)、制度的補完性(institutional complementarity)、歴史的経路依存性(historical path dependence)、契約の不完備性(incompleteness)などの概念が鍵となることが説明されています。
 続く第2章から第5章が本書の中核部分で、
・第2章 経営者への管理チェック機構と報酬契約・選抜制度――内部コントロール・メカニズム
・第3章 株式所有構造はコーポレート・ガバナンスへどう影響するか
・第4章 負債を通じた規律づけ
・第5章 ベンチャー・キャピタルの役割
という構成になっています。
 最後の「第6章 新しい金融システムのあり方とコーポレート・ガバナンス」では、今後のコーポレートガバナンスのあり方についての考察・問題提起を行っています。

 本書は、理論と実務の橋渡し的役割を担うことを意図されたものですので、各章の「理論的評価」の部分を読み飛ばして、制度と実証の部分を読むだけでも、現状のコーポレートガバナンスの概略がつかめるようになっています。


■ 個人的な視点から

 「行政経営と言いながら企業の話ばかりじゃないか」とお叱りを受けそうなので、今回はまず言い訳から入ります。
 「行政経営」と言っても行政向けに一から開発された経営手法や理論はありません。基本的には、民間企業分野での試行錯誤や膨大な研究の一部を流用して、行政向けにカスタマイズしているものがほとんどです。ですので、個々の経営ツール自体は、数年~数十年前に民間企業向けに使われていたツールを行政向けに「リサイクル(リパッケージ)」して販売しているものが少なくありません。
 これらの個々のツールを導入すること自体が悪いことだとは思いません。民間企業では「時代遅れ」と言われるものでも、行政にとっては画期的な効果をもたらす場合もあります。しかし、「なぜこの『薬』は効くのか」という医学的な裏づけ無しに、ありがたがっているだけでは確実な効果が期待できないだけでなく、危険ですらあります。
 そこで重要になるのは、個々の「薬」そのものの解説ではなく、「なぜ病気になるのか」、「なぜ薬効があるのか」を解説する本書のような理論と実務の橋渡しをする解説書です。本書をきっかけに、「企業統治(コーポレート・ガバナンス)」と「政府統治(ガバメント・ガバナンス)」への理解が深まるものと思います。


■ どんな人にオススメ?
 ・コーポレートガバナンスについて関心を持った人
 ・行政のガバナンスを企業との比較で考えたい公務員


■ 関連しそうな本

 伊藤 秀史 『日本企業 変革期の選択』
 伊藤 秀史, 小佐野 広 『インセンティブ設計の経済学―契約理論の応用分析』 2005年02月26日
 ポール・ミルグロム, ジョン・ロバーツ (著), 奥野 正寛, 伊藤 秀史, 今井 晴雄, 八木 甫(翻訳) 『組織の経済学』 2005年01月24日
 三輪 芳朗, 柳川 範之, 神田 秀樹 (編集) 『会社法の経済学』
 Oliver Hart
『Firms, Contracts, and Financial Structures』
 柳川 範之 『契約と組織の経済学』 2005年02月22日


■ 百夜百マンガ

サルでも描けるまんが教室【サルでも描けるまんが教室】

 「コージ苑」や「かってにシロクマ」で知られる相原コージとマンガ評論で知られる竹熊健太郎の2人による漫画家版「野望の王国」です。元ネタを知らないと分からないギャグがちりばめられています。
 ギャグマンガの体裁をとっていますが、作品中で展開される理論的分析?は実も蓋もないほど的確です。

投稿者 tozaki : 2005年02月23日 06:00

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