« 学校評価―情報共有のデザインとツール | メイン | 会社人間はどこへいく―逆風下の日本的経営のなかで »

2005年02月26日

インセンティブ設計の経済学―契約理論の応用分析

■ 書籍情報

インセンティブ設計の経済学―契約理論の応用分析   【インセンティブ設計の経済学―契約理論の応用分析】

  伊藤 秀史 (著), 小佐野 広 (著)
  価格: ¥3,990 (税込)
  勁草書房(2003/12)

 本書は契約理論研究会(CTW: Contract Theory Workshop)のコンファレンスに提出された論文を元に、各分野への契約理論による応用分析を収録した論文集です。
 全部の章を一律に読む必要はありません。自分の関心のある分野を中心に読み、参考文献をたどって行ったり、契約理論について遡って読み進んでいってもいいと思います。


■ 個人的な視点から

 個人的な関心や仕事との関係で言うと、
・第4章 「組織における権限配分とモニタリング」(菊谷 達弥、林田 修)
・第5章 「人事の経済学:昇進とインセンティブ効果とピーターの法則」(清滝 ふみ、熊谷 礼子)
・第10章 「契約理論と政治経済学」(小林 航)
・第12章 「公的部門におけるソフトな予算制約問題(Soft Budget)」(赤井 伸郎)
あたりの論文が、特に読んでおきたいところなのかな、と思います。

 各章に関心をもたれた方は、関連する文献と言うと、
・第4章→伊藤秀史、林田修「企業の境界:分社化と権限委譲」(『日本の企業システム』第5章)や『組織の経済学』
・第5章→熊谷礼子「成果主義賃金はうまく機能するか?」(『経済セミナー』2004年12月号)や『人事と組織の経済学』『人事経済学』
・第10章→『経済政策の政治経済学』『Incentives and Political Economy』
・第12章→『地方交付税の経済学』『地方分権改革の経済学』『公共部門の業績評価』
あたりの文献を読まれると、関心に近いのではないかと思います。

 また、契約理論で会計を捉えなおす、という点
・第3章 「測定コストと会計研究」
も面白いです。
 この関連だと、『会計とコントロールの理論』に読み進むといいと思います。

 今日はほとんど文献の紹介になってしまいましたが、何かのきっかけで関心を持った分野の文献を探して行くというのは結構骨の折れる作業です。個人的には宝探しのようで非常に楽しい作業なのですが、論文などに記載していある「参考文献」は基本的にはより過去のものにしか遡れません。より新しい文献に読み進めて行こうと思ったら、自分が読んだ文献名や著者名をとにかくgoogleに放り込んで、その文献が参考文献として記載されている、より新しい論文を探すしかありません。ここで、サーベイ論文(既存研究を整理した論文)に当たればラッキーですが、見つからなければ、その研究者のwebサイトを探して、最近の論文を調べ、そこに記載されている参考文献に当たって行く、という地道な作業をすることになります。

 そういう作業を楽にするために、関連したミュージシャンや映画をリンクをたどって探すことができるwww.liveplasma.comの文献版のようなサイトがあると非常に助かると思っています。Amazonの「この本を買った人はこんな本も買っています」なんかはこれに近い機能を持っていますが、もっとグラフィカルに見ることができて、参考文献関係がはっきり分かるものがないものかと思います。
 この「行政経営百夜百冊」もだいぶ偏ったセレクションですが、少しでもそうした理想に近づくことができれば、と思っています。


■ どんな人にオススメ?
 ・「インセンティブ」ってよく聞くけど何?という人。
 ・インセンティブに整合的な制度設計をしたい人


■ 関連しそうな本

・序章
 伊藤 秀史 『契約の経済理論』
 小佐野 広 『コーポレートガバナンスの経済学―金融契約理論からみた企業論』 2005年02月23日
 清水 克俊, 堀内 昭義 『インセンティブの経済学』
 今井 晴雄, 岡田 章 『ゲーム理論の新展開』

・第3章
 シャム サンダー (著), 山地 秀俊, 松本 祥尚, 鈴木 一水, 梶原 晃 (翻訳) 『会計とコントロールの理論―契約理論に基づく会計学入門』

・第4章
 伊藤秀史(編) 『日本の企業システム』
 ポール・ミルグロム, ジョン・ロバーツ (著), 奥野 正寛, 伊藤 秀史, 今井 晴雄, 八木 甫(翻訳)『組織の経済学』 2005年01月24日

・第5章
 『経済セミナー』2004年12月号
 エドワード・P. ラジアー (著), 樋口 美雄, 清家 篤 (翻訳) 『人事と組織の経済学』
 樋口 美雄 『人事経済学』

・第10章
 アビナッシュ・K. ディキシット(著), 北村 行伸 (翻訳) 『経済政策の政治経済学―取引費用政治学アプローチ』 2005年02月06日
 Jean-Jacques Laffont 『Incentives and Political Economy』

・第12章
 赤井 伸郎, 山下 耕治, 佐藤 主光 『地方交付税の経済学―理論・実証に基づく改革』 2005年01月27日
 土居 丈朗(編著)『地方分権改革の経済学―「三位一体」の改革から「四位一体」の改革へ』
 井堀 利宏 『公共部門の業績評価―官と民の役割分担を考える』


■ 百夜百マンガ

光る風【光る風】

 『がきデカ』『喜劇新思想大系』と同じ作者とは思えないほどシリアスな作品です。読んだあと暗い気持ちになります。
 ところで、焼け野原になった東京を首だけを抱えた主人公が放浪するシーンは『デビルマン』とかぶるんですが、何か共通のネタ元とかがあるのでしょうか。

投稿者 tozaki : 2005年02月26日 08:00

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.pm-forum.org/MT3/mt-tb.cgi/124

コメント

コメントしてください




保存しますか?