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2005年03月22日
不平等社会日本―さよなら総中流
■ 書籍情報
佐藤 俊樹
価格: ¥693 (税込)
中央公論新社(2000/06)
本書は、日本社会の階層化について、「社会階層と社会異動調査」(SSM調査)の結果を分析することによって、建前の平等と実質的な不平等とが存在する、日本社会の「二重底」を打ち抜いていこうとするものです。
本書では特に、高学歴の上級ホワイトカラー(管理職や専門職、会社役員等)の父親から、次の世代に受け継がれる目に見えない遺産によって「知識エリート層」が再生産される点に力を入れています。この「遺産」は、必ずしも教育費だけを指すわけではありません。
戦前は、高等教育を受けることが出来るのは一部の人間に限られましたが、戦後においては、高等教育を受ける機会はどんどん広くなり、特に昭和ヒトケタ世代では、他の階層から上級ホワイトカラー層への流入が大量に起こりました。しかし、いわゆる「団塊の世代」を境に、「知識エリート層」への参入障壁は戦前並に跳ね上がってしまっています。そこで筆者は、現代の日本の「知識エリート層」において、親から子に受け継がれる「遺産」は、単なる学歴としての高等教育ではなく、情報や知識のリテラシー、接し方にあるのではないかと推測しています。
「一億総中流」社会の崩壊が実感されてきた現在、まずは数字によって社会を見てみることが重要だと思われます。
■ 個人的な視点から
個人的に面白かったのは、「実績」「努力」「必要」「均等」の4つの資源配分原理について、理想と現実を尋ねた質問です。この質問への回答が、男女や社会的階層によって異なっている、というところが本書の導入部分になります。
現在、巷間で流布している、「成果主義」という言葉に対する様々な受け止め方の違いや先入観を説明できるきっかけを本書は持っているかもしれないと感じました。この4つの言葉のうちからどれを選ぶか、というだけでも相当その人個人の考え方が出る上に、同じ「実績」という言葉も人によってその意味するところが相当違うからです。これまで、成果主義に対する分析は経済学や経営学の立場からのものがほとんどでしたが、心理的な抵抗感の原因を探るという意味で、心理学や社会学的なアプローチも重要になるように感じました。今後の課題にしたいですね。
■ どんな人にオススメ?
・「日本は平等な社会」という通説に納得できない人。
・自分の子どもに何を残せるか、ということに悩んでしまう人。
■ 関連しそうな本
小塩 隆士 『教育を経済学で考える』 2005年02月13日
伊丹 敬之, 伊藤 元重, 加護野 忠男 (編集) 『人的資源 リーディングス 日本の企業システム』
村上 泰亮 『新中間大衆の時代―戦後日本の解剖学』
小池 和男 『仕事の経済学』
樋口 美雄 『雇用と失業の経済学』
■ 百夜百マンガ
現実の世界がどんどん揺らいで行く感じになるのは、作者の画風にどんどんはまり込んで行ってしまうからなのでしょうか。
都会の風景の中に非日常が流れ込んでくるさまの描写は、『犬神』と同様、作者の持ち味が最大限発揮されているところです。
投稿者 tozaki : 2005年03月22日 06:00
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