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2005年04月06日

日本の雇用システム―その普遍性と強み

■ 書籍情報

日本の雇用システム―その普遍性と強み   【日本の雇用システム―その普遍性と強み】

  小池 和男 (著)
  価格: ¥1,785 (税込)
  東洋経済新報社(1994/12)

 本書は、約10年前に出版された日本型雇用システムについての解説書で、同著者による定評ある学術書である『仕事の経済学』を一般向け啓蒙書として焼き直した感の強いものです。巻末の初出一覧を見ると分かるとおり、いくつかの雑誌や新聞に寄稿したものをまとめてあるので全編を通じた統一感は弱いものの、いくつもの切り口から著者の主張に触れることができます。
 著者の主張の特徴としては、
(1)技能の蓄積、特に企業特殊的技能の蓄積→「知的熟練」論
(2)社内での激しい個人競争
(3)資格制度、範囲給、定期昇給、査定の4つの制度間の補完性
(4)アメリカを含む他国との共通性
等があります。
 10年以上前の議論なので、現在見るとやや古さは否めませんが、近年の「成果主義」批判ブームとは異なった視点から日本型雇用システムを論じています。


■ 個人的な視点から

 「知的熟練」論に対しては批判もあるようですが、日本の雇用システムの経済的合理性を研究してきた第一人者である著者の主張には実感としてうなづける部分が多数あります。
 内部での出世競争を、ランク・オーダー・トーナメントとして理解することは『人事と組織の経済学』にも共通していますし、企業特殊的技能については人的資本論との関連で、年功的賃金制度についても技能形成と長期的なインセンティブとの関連で理解することができます。
 最近話題になった「成果主義」批判の書である『虚妄の成果主義』は、内発的動機づけの観点からの批判が中心でした。また、『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』では、「成果主義」運用の不公正さを問題にしていました。近年、企業特殊的技能の観点からの「成果主義」批判が盛り上がらない背景には、企業特殊的技能がマクロ的な環境変化によって失われやすいという性格を持っていることがあるのかもしれません。
 80年代の日本的経営賛美ブームの中にあった「知的熟練」論ですが、現在の視点から見ても学ぶべきところは多いように思います。


■ どんな人にオススメ?

 ・最近の「成果主義」批判ブームに関心を持っている人。
 ・役所の人事制度について理解したい公務員。


■ 関連しそうな本

 小池 和男  『仕事の経済学』
 青木 昌彦 (著), 永易 浩一 (翻訳) 『日本経済の制度分析―情報・インセンティブ・交渉ゲーム』 2005年04月01日
 高橋 伸夫 『虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ』 2005年03月30日
 城 繁幸 『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』
 エドワード・P. ラジアー (著), 樋口 美雄, 清家 篤 (翻訳) 『人事と組織の経済学』 2005年04月05日
 八代 尚宏 『日本的雇用慣行の経済学―労働市場の流動化と日本経済』 2005年03月23日
 稲継 裕昭 『日本の官僚人事システム』 2005年02月10日


■ 百夜百マンガ

クッキングパパ【クッキングパパ】

 個人的には、朝食と昼の弁当は作ってるんですが、荒岩主任は原チャリで帰って晩御飯まで作っちゃう。先月福岡に行きましたが、職住接近のコンパクトないい街でした。
 よく「仕事と家庭の両立」という言葉が使われますが、「両立」というと何か相反するもののような印象を与えます。「食事と睡眠の両立」という言葉を使わないことと同じように(もちろん、食事の時間を削ってでも眠りたい、というのはあるかもしれませんが・・・)、仕事と家庭は「両立」させるものではなく、互いに必要な補完的な関係にあるものだと思います。

投稿者 tozaki : 2005年04月06日 06:00

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