« 男性の育児休業―社員のニーズ、会社のメリット | メイン | サイバーポリティクス―IT社会の政治学 »

2005年04月08日

日本の財政システム―制度設計の構想

■ 書籍情報

日本の財政システム―制度設計の構想   【日本の財政システム―制度設計の構想】

  貝塚 啓明, 金本 良嗣 (編集)
  価格: ¥3,675 (税込)
  東京大学出版会 (1994/12)

 本書は、1993年に開催された「21世紀の財政システム」というコンファレンスにおいて報告された、当時第一線の研究者の論文を元に編集されたものです。そのため、単著のような統一性も教科書のような網羅性もありませんが、個々の研究者が自らの関心をコンパクトにまとめた見本市のような構成になっています。本書で気に入った論文があれば、同じ著者の別の論文や著書に読み進む、という使い方に適しているのではないかと思います。


■ 個人的な視点から

 私がこの本に関心を持ったのは、他の論文で引用されていた本書の第6章「日本の行政システム」(奥野(藤原)正寛)からです。このテーマに関しては、日本の行政の制度そのものに精通した研究者が行政学者を中心にいる一方で、経済学の研究者はより一般論化した研究が中心で、両者を結びつける研究領域は充実していませんでした。
 この論文は、行政学者である森田朗氏をコンファレンスにおける討論相手とし、経済学の研究成果によって現実の日本の行政システムを分析する野心的な試みであったと考えます。経済学というツールを使って現実の行政システムの分析を行う、という本論文のスタンスは、後の竹中平蔵大臣の誕生をはじめとする、経済学者が現実の行財政改革に積極的に関与する、という現在の潮流につながって来たものではないかと考えます。


■ どんな人にオススメ?

 ・経済学は現実の社会を変える役には立たないと思っている人。
 ・日本の財政システムを経済学の観点から理解したいと思っている人。


■ 関連しそうな本

 赤井 伸郎, 山下 耕治, 佐藤 主光 『地方交付税の経済学―理論・実証に基づく改革』 2005年01月27日
 アビナッシュ・K. ディキシット(著), 北村 行伸 (翻訳) 『経済政策の政治経済学―取引費用政治学アプローチ』 2005年02月06日
 青木 昌彦 (著), 永易 浩一 (翻訳) 『日本経済の制度分析―情報・インセンティブ・交渉ゲーム』 2005年04月01日
 井堀 利宏, 土居 丈朗 『日本政治の経済分析』
 土居 丈朗(編著) 『地方分権改革の経済学―「三位一体」の改革から「四位一体」の改革へ』
 武智 秀之 『行政過程の制度分析―戦後日本における福祉政策の展開』


■ 百夜百マンガ

寄席芸人伝【寄席芸人伝】

 『ダメおやじ』の方が有名ですが、隠れた名作というか泣ける話、芸の厳しさがたっぷり詰め込まれた本作品は、ぜひ大人に読んでほしいマンガの筆頭です。

投稿者 tozaki : 2005年04月08日 07:00

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.pm-forum.org/MT3/mt-tb.cgi/180

コメント

コメントしてください




保存しますか?