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2005年04月29日
企業・市場・法
■ 書籍情報
ロナルド・H. コース (著), 宮沢 健一, 藤垣 芳文, 後藤 晃 (翻訳)
価格: ¥3,990 (税込)
東洋経済新報社(1992/10)
本書は、著名な「企業の本質」と「社会的費用の問題」を含むコースの代表的な論文を収めた論文集です。
1937年に発表された「企業の本質」では、「企業はなぜ存在するのか」という企業そのものの存在に対する問いかけを行っています。もし、全ての取引を市場で行うことができるならば、企業組織の内部で資源配分を行う必要はなくなります。また逆に、市場によらず、企業組織内で常に資源配分が行われるとすれば、市場は必要なくなり、全ての資源配分がその内部で行われる巨大な一つの企業が存在することになってしまいます。では、市場での資源配分と企業内での資源配分とを峻別する要素はどこになるのでしょうか。この論文の中で、コースは後に「取引コスト(transaction cost)」と呼ばれることになる「市場を利用するコスト」という概念によって、「市場」というミルクの中で凝固したバターのような「企業」が存在する理由を論じています。
1960年に発表された「社会的費用の問題」では、後に「コースの定理」と呼ばれることになる、交渉に費用がかからなければ事前の所有権配分にかかわらず効率的な資源配分が可能、という問題を論じています。しかし、コース自身が第7章の「社会的費用の問題に関するノート」で触れているように、「コースの定理」はコース自身が意図していたものとは違う方向で議論されることになりました。コース自身は「交渉に費用がかからなければ」という前提に重きを置いていて、現実には交渉に費用がかかるので事前の資源配分が重要になる、という議論の出発点にすることを意図していました。コースは、交渉に費用のかからない世界、つまり取引コストゼロの世界で何が起こるか、という研究にエネルギーを費やすつもりはないことを述べています。
本書は、「ノーベル経済学賞受賞者の論文集」ということで、なにやら難解そうな印象を与えますが、数式は全く出てきませんので、関心と時間のある方は、じっくり読み込んでみてはいかがでしょうか。
■ 個人的な視点から
本書に収められている論文には、今から約70年前のものが含まれていますが、この論文が注目されるようになったのは、1972年のアルチャン=デムゼッツの論文や、1975年のウィリアムソンの著作などをきっかけにしていますので、この30年ほどの間のことです。この間に、「取引コストの経済学」や「契約理論」は大きく発達しましたが、その一つの原点となっているのが1937年の「企業の本質」なのです。
「取引コストの経済学」に関する文献については、『組織の経済学』の第2章や第9章の章末の文献ノートなどを参考に読み進めていくとよいでしょう。
また、「契約理論」に関しては、『契約と組織の経済学』か『Firms, Contracts, and Financial Structures』が入門書として読みやすいと思います。
■ どんな人にオススメ?
・企業は何のために存在しているのか、を疑問に思っている人。
・役所は何のために存在しているのか、を解明したいと思っている公務員。
■ 関連しそうな本
ポール・ミルグロム, ジョン・ロバーツ (著), 奥野 正寛, 伊藤 秀史, 今井 晴雄, 八木 甫(翻訳)『組織の経済学』 2005年01月24日
Oliver Hart 『Firms, Contracts, and Financial Structures』
柳川 範之 『契約と組織の経済学』 2005年02月22日
オリヴァー・E.ウィリアムソン 『市場と企業組織』 2005年04月19日
伊藤 秀史 『契約の経済理論』
■ 百夜百マンガ
なぜかいつも購買に行くと焼きそばパンは売り切れ。で、ヒツジが買い占めている、というのがお約束ギャグの基本パターン。
当時はいがらしみきおや相原コージ、吉田戦車、朝倉世界一などの不条理系四コマが人気でしたが、雑誌に1本くらいは、お約束ギャグに安心して読めて飽きさせない四コマというのが大事でした。
投稿者 tozaki : 2005年04月29日 11:00
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