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2005年05月26日
はめられた公務員
■ 書籍情報
中野 雅至
価格: ¥1,000 (税込)
光文社(2005/05/23)
本書は、市役所職員→キャリア官僚→(都道府県の課長に出向)→大学教員という国と地方の両方の役人生活を経験してきた著者が、現在進められている地方分権と公務員制度改革のシナリオに隠された意図を明らかにする、というものです。
裏表紙には、「430万人の地方公務員のみなさん。あなたたちは「犠牲者」です!」というコピーがありますが、内容的には必ずしも地方公務員を擁護しているものではなく、特に小さな市町村の縁故採用やコネ人事には批判的です。
主な内容は、「政官業癒着」によって破綻した財政のツケが「弱い官」に押し付けられ、このツケがさらに地方分権の名の下に地方自治体に押し付けられ、地方公務員のリストラを求める世論が形成されつつある、というものです。
とかく感情的になりやすい、「役人批判」と「役人からの反論」という構図ではなく、財政破綻という構造的な問題から切り込んでいるので、ところどころ派手な言い回し(光文社ペーパーバックだからかもしれませんが)が見られるものの、告発本のような乱暴な論理展開ではない、冷静な分析になっていると思います(さすがは元キャリア官僚。厭味ではなく作文の上手さには感嘆します。)。
「公務員バッシングに対する反論」を期待して組合関係者が読んでもかえって不快な気分になると思います。
■ 個人的な視点から
本書には、国・県・市の3種類の公務員経験に基づいた職員への評価・印象が述べられていますが、概ね違和感なく頷くことができました。ただし、著者も全ての職場を組まなく知り尽くしているわけではないので、本書に嘘が含まれるとしたら、都合の悪いところが書かれていない「白い嘘」の類だと思います(著者が知りえなかったということもありますが。)。
国家公務員に関しては、キャリア官僚の悲惨な勤務実態が強調されていますが、現場の実態(著者が在籍していた職業安定所など)はあまり書かれていません。既にかなりのバッシングを受けていること、本書の主な「警告」の対象が地方公務員であること、などが理由ではないかと思います。
都道府県の職員に関しては、比較的好意的に書かれている印象がありますが、著者は本庁の課長しか経験していないので、都道府県の現場の勤務実態は知りえなかったのではないかと思います。これも、本書の主な警告の対象が市町村であるため、対比としてよく書かれているだけだと思います。
市町村の職員に関しては、特に小さな町村でのボス支配、コネ社会が強調されています(「ジャパニーズ・シシリー」という表現もあります。)が、現在問題になっているような大都市の強大な組合の話は出てきません。国家公務員と併せて官公労の問題の中に含めて指摘している、というものだと思いますが、大阪市の組合天国ぶりがこれだけ報道されている中での出版だったので、報道をきっかけに関心を持った人には物足りないかもしれません。
全体的な感想としては、やはり国家公務員の目線から書かれたものだと感じました。それは、よい意味では天下国家の観点から地方公務員の問題を見ることができるということだと思いますが、キャリア公務員の生活にリアリティがあるのに比べると、地方公務員に関する情報は新聞記事等が中心で、若干リアリティに欠ける部分もありました。
■ どんな人にオススメ?
・公務員ってどういう人だか知りたい、という人(当の公務員含む)。
■ 関連しそうな本
別冊宝島編集部 『ザ・地方公務員―ゆりかごから墓場までの職場へようこそ』
若林 アキ 『ホージンノススメ―特殊法人職員の優雅で怠惰な生活日誌』
西村 健 『霞が関残酷物語―さまよえる官僚たち』
赤井 伸郎, 山下 耕治, 佐藤 主光 『地方交付税の経済学―理論・実証に基づく改革』 2005年01月27日
土居 丈朗(編著) 『地方分権改革の経済学―「三位一体」の改革から「四位一体」の改革へ』
土居 丈朗 『三位一体改革ここが問題だ』
■ 百夜百マンガ
ドラミちゃん初登場の「海底ハイキング」が収録されえています。比較的長い14ページの中に夏休みの大冒険が詰まっています。
無視される恐怖「石ころぼうし」や感動の「おばあちゃんのおもいで」など4巻も見所いっぱいです。
投稿者 tozaki : 2005年05月26日 07:00
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