« 「人間力」のプロになる―誰もここまで教えてくれなかった仕事ができる人の基本メソッド | メイン | 知的生産の技術 »

2005年05月04日

若者が『社会的弱者』に転落する

■ 書籍情報

若者が『社会的弱者』に転落する   【若者が『社会的弱者』に転落する】

  宮本 みち子 (著)
  価格: ¥756 (税込)
  洋泉社(2002/11)

 本書は、「ニート」や「パラサイトシングル」など、親の世代から見ると「大人になれない若者」と看做されがちな若者の問題を、教育や雇用などの社会的構造の問題として捉えて解説しているものです。
 学校を卒業しても正社員として就職しないフリーターや、就職・進学・職業訓練を受けていないニートの存在は、「モラトリアム」「大人になりたがらない若者」と見られ、親からの所得移転を受けられる若者、という見方が大勢を占め、「パラサイト・シングル」という言葉も、一人前になれない若者に対する非難のニュアンスがこめられていました。
 しかし、問題は若者自身だけにあるのではなく、社会の構造的な問題と捉えないと、日本の社会自体が危機を迎えることになる、というのが著者の主張です。まず、経済的な面では、『仕事のなかの曖昧な不安』で指摘されているように、中高年世代の雇用を確保するために、若者の雇用が抑制されている、という問題があります。つまり、フリーターやニートの中には自ら望んでではなく、就職の間口が狭いためにそうせざるを得なかった人たちが多数含まれているのです。著者は、1980年代に若者の貧困化が大きな問題になった欧米の例を挙げています。
 著者は経済的な要素以外にも、心理学の発達理論等を引用し、「大人」の定義や家族観の変化などの要素を取り上げています。
 「最近の若者は・・・」とつい口にしてしまうオジサン世代や、当事者である若者にぜひ読んでほしい一冊です。


■ 個人的な視点から

 最近になって摘発の事例も多くなってきましたが、「オレオレ詐欺」(最近は「振り込み詐欺」と言うそうです。)はまだまだ後を絶たないようです。(なんと、私の実家にも「息子が300万円横領をした。これから会議にかけるところだ。」という電話がかかってきました。情け容赦の無いうちの親は「それは本人の問題だからきちんと責任とらせてください。」と取り合いませんでしたが、「上司役」や「弁護士役」が代わる代わる出てきたそうです。)
 さて、オレオレ詐欺の被害に遭うのはお年寄りと相場が決まっているようですが、単に年寄りが騙し易いという以上に、現在の日本で一番カネを持っている、現金で数百万円を即座に用意できる世代が、この世代だからという要素が大きいようです。(アメリカでは「お年寄り=金持ち」というイメージがすぐに結びつかないので、「オレオレ詐欺」の説明をしてもピンとこないそうです。)
(JMM特別号:「おれおれ詐欺は海外でも成立するか?」より)

 欧米では、手厚い失業保険を誇っていた福祉国家の終焉とともに、若者の貧困の問題がクローズアップされましたが、日本では、失業保険の代わりに豊かな親世代の資産や年金が若者の貧困化の問題を見えにくくしています。しかし、今後、社会保障の制度が変わっていく中で、若者世代の貧困の問題はますますクローズアップされると考えられます。


■ どんな人にオススメ?

 ・自由を謳歌している若者に内心羨ましく思っているオジサン世代の人。
 ・若者。


■ 関連しそうな本

 玄田 有史 『仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在』
 玄田 有史, 曲沼 美恵 『ニート―フリーターでもなく失業者でもなく』
 大久保 幸夫 『新卒無業。―なぜ、彼らは就職しないのか』
 田丸 浩史  『ラブやん』


■ 百夜百音

POP! - 20 Hits【POP! - 20 Hits】 Erasure オリジナル盤発売日: 1992/11/24

 日本では、それほどメジャーではないようですが、「ピコピコ打ち込み+ポップなメロディ」という徹底したこだわりは、日本の「Jポップ」にも大きな影響を与えているアーティストです。
 このアルバムはベスト版ということで、タイトルどおり最初から最後までポップな曲が目白押しです。

投稿者 tozaki : 2005年05月04日 12:00

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.pm-forum.org/MT3/mt-tb.cgi/219

コメント

コメントしてください




保存しますか?