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2005年05月08日
人は海辺で進化した―人類進化の新理論
■ 書籍情報
エレイン モーガン (著), 望月 弘子 (翻訳)
価格: ¥2,310 (税込)
どうぶつ社 (1998/03)
人類は、なぜ直立歩行を始めたのか。なぜ毛皮が無い代わりに皮下脂肪があるのか。類人猿から人類への進化の段階での、これらの大きな変化の証拠となる化石はまだ発見されていません(「ミッシング・リンク」と呼ばれています。)。
これらの変化を説明する仮説としては、
(1)サバンナ説:気候の変化によって森が減少し、樹上の類人猿は森を追われ草原で暮らさなければならなくなったので、遠くを見通し、空いた両手で道具を使えるように直立歩行をし、暑い草原で体温調節するために体毛を失った、とする説。
(2)ネオテニー(幼形成熟)説:類人猿の胎児期の特徴である、無毛や大きな頭部などの特徴を残したまま成熟した、とする説。
等があります。
しかし、サバンナ説には、草原では四足歩行の方が速く移動できるのではないか、毛皮の方が体温調節には有利ではないか、等の弱みがあり、また、ネオテニー説は、どのようにして変化が起きたかを説明するものでしかない、という弱みがあります。
そこで、本書で主に紹介しているのは、1960年にアリスター・ハーディ教授が発表した
(3)アクア説:クジラやイルカ、ペンギン、アザラシ、ジュゴンと同じように、陸生の類人猿が水辺での生活に適応したために、体毛の変わりに皮下脂肪を身につけ、背骨と足が一直線な構造に変化した、とする説。
です。
他にもこのアクア説は、人間が涙を流すことができること、生後間もない赤ん坊はすぐに泳げること、クジラやアシカと同じように潜水反射によって水にもぐると心拍数が下がる「徐脈」という現象が起こること、などを例に挙げています。
受験勉強の参考書にはなりそうもありませんが、人類の起源に思いをはせ、知的探究心を刺激するにはもってこいの一冊です。
■ 個人的な視点から
昨日図書館で借りてきて一気に読んでしまいました。単純に面白いです。
世界史の教科書などでは、前屈みの類人猿がだんだん体を起こしていき、それにしたがってだんだん体毛が少なくなり、人間まで進化して行く図が、最初の方に書かれていますが、このアクア説を採ると、変化は連続的に起きたのではなく、ある時に急激に、しかも局地的に起きていたことになります。
同じように、社会の変化や人間の成長も連続的に、線形に起こるわけではありません。例えば、キャリア論ではリーダーが成長する上できっかけとなる重要な経験を「量子力学的な跳躍となった経験」と表現しています。また、社会変革も、ある地域で局地的に猛スピードで進化が起こり、それが社会に伝播して行くことで変革が進みます。
本書で紹介されている「アクア説」が正解か不正解かどうかはそれほど重要ではありません。大事なことは、既存の常識に拘泥されずに物事をきちんと議論することではないかと思います。
■ どんな人にオススメ?
・海に潜ると心が落ち着くのはなぜか、と思っている人。
・異説・奇説に関心のある人。
■ 関連しそうな本
エレイン モーガン (著), 望月 弘子 (翻訳) 『進化の傷あと―身体が語る人類の起源』
エレイン モーガン (著), 望月 弘子 (翻訳) 『人類の起源論争―アクア説はなぜ異端なのか?』
金井 壽宏 『仕事で「一皮むける」』 2005年04月25日
■ 百夜百音
【Kaleidoscopic Vibrations】 Perrey-Kingsley オリジナル盤発売: 1967
ペリー&キングスレイの名前を知らない人も、ディズニーランドのエレクトリカルパレードの曲は耳にしたことがあると思います。あのピコピコした曲、「Baroque Hoedown」のオリジナルはこのアルバムに収められています。(試聴は「song clips」の3曲目です。)
ムーグシンセサイザーとアナログテープの切り貼りで作られたそのサウンドは、とても40年前に録音されたものとは思えないほどポップで不思議なものです。
「東京ディズニーランド エレクトリカルパレード・ドリームライツショー・ミックス・エディション」
様々な電子音や自然音を切り貼りしてリズムを組み立てる手法は、多くのアーティストに模倣され、ピチカート・ファイヴのアルバム『学校へ行こう』
(現在でも、多くのテレビ番組でBGMとして使われているサントラの名盤)に収められている「校庭の宇宙人」(小西)は、ペリキンそのもの、という感じでパクられています。
ピチカート・ファイヴ 『学校へ行こう』
投稿者 tozaki : 2005年05月08日 12:00
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