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2005年06月10日
経営の再生[新版]―戦略の時代・組織の時代
■ 書籍情報
高橋 伸夫
価格: ¥2,625 (税込)
有斐閣(2003/04)
本書は、「経営するって何だろうか」という観点から経営学の教科書に書かれている戦略論や組織論を再検証したものです。経営学の世界は、時代時代の経営におけるブームの盛衰を反映して互いに相矛盾する様々な学説や理論が入り乱れ、どれが正しい・正しくないということを決定することも難しいため、経営学の教科書はさながら世界史の教科書のように、様々な学説の栄枯盛衰を淡々と記述したものになりやすい、という問題があります。そこで本書では、これまで提唱されてきた様々な学説を、事実とデータに基づいて再検証しながら、「経営するとは何か」という問いに愚直なまでに答えようとしています。
特に厳しい批判にさらされているのが、一世を風靡した多角化戦略やPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)など、MBAホルダーの経営者やコンサルティング・ファームが多用してきた理論です。その頃盛んに唱えられてきた「経験曲線」というものが、いかに根拠と意味の無いものだったか、市場成長率と市場シェアによる経営や多角化戦略が、いかに企業の価値を食い潰し米国企業の競争力を奪って行ったか、ということを、データを下に検証しています。そして、「経営すること」は個室にこもって財務とマーケティングのデータを元に証券の束の組合せを考えるようなものではなく、経営者というものは現場と関わり人と関わらなければならない、と主張しています。
経営学の教科書を一通り読んで、その無味乾燥さにうんざりした方は、ぜひ続けて本書を読んでいただくとすっきりするのではないかと思います。
■ 個人的な視点から
著者は、『虚妄の成果主義』や『〈育てる経営〉の戦略―ポスト成果主義への道』などで、日本の成果主義ブームに警鐘を鳴らしています。本書では、過去の多角化戦略やPPMなどをデータを用いて検証していますが、将来データが揃うことになれば「成果主義ブームは何だったのか」についても同じように検証されるかもしれません。
本書で批判されている、コンサルティングファームやMBAによる経営と、著者が現在進行形の成果主義ブームとを批判する根底に共通するものは何でしょうか。それは、「経営する」ということは、経営者が全身全霊で現場と向き合って行うもので、あたかも証券の束を所有したり投資したりするものではない、ということです。多角化戦略やPPMが短期間の成果を重視し、企業が持っている価値を現金化して将来の成長と競争力の源泉を失ってしまったのと同じように、現在の「成果主義」が長期での成長と競争力を犠牲にしていることは、対象が事業から人材に変わっただけではないかとも思われます。
ブームとコンサルタントの口車に乗って、データを集めて指標を管理することが「経営すること」ではない、ということを著者は主張しているはないでしょうか。
■ どんな人にオススメ?
・一通り経営学の教科書は読んだけれどピンと来なかった人。
■ 関連しそうな本
C.I.バーナード (著), 山本 安次郎 (翻訳) 『新訳 経営者の役割』 2005年03月29日
ハーバート・A. サイモン (著), 松田 武彦, 二村 敏子, 高柳 暁 (翻訳) 『経営行動―経営組織における意思決定プロセスの研究』』 2005年04月14日
ヘンリー ミンツバーグ, ジョセフ ランペル, ブルース アルストランド (著), 斎藤 嘉則, 奥沢 朋美, 木村 充, 山口 あけも(翻訳) 『戦略サファリ―戦略マネジメント・ガイドブック』 2005年02月15日
高橋 伸夫 『組織の中の決定理論』
高橋伸夫 『虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ』 2005年03月30日
高橋 伸夫 『〈育てる経営〉の戦略―ポスト成果主義への道』
■ 百夜百マンガ
「人間切断機」で下半身が上半身に反旗を翻すエピソードは、影や鏡像が本体を乗っ取ろうとする話と同じカテゴリーにあるようです。
第10巻の目玉は長編映画第1弾のベースになった「のび太の恐竜」です。のび太が集めた恐竜の本の中に『回虫のおろし方』が混じってたり、ドラえもんが生暖かい目で見ていたり、成長したピー助が押入れの中でクビだけ水のバケツに突っ込んでいたりと、笑いどころもたくさんありますが、ピー助を白亜紀に連れて帰ろうと決断するシーンだけはのび太がかっこよく見えます。
投稿者 tozaki : 2005年06月10日 07:00
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