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2005年06月13日

第五の権力 アメリカのシンクタンク

■ 書籍情報

第五の権力 アメリカのシンクタンク   【第五の権力 アメリカのシンクタンク】

  横江 公美
  価格: ¥735 (税込)
  文藝春秋(2004/08/21)

 本書は、米国の政権交代を施策と人材の両面から支えている数々のシンクタンクについて紹介しているものです。著者は、松下政経塾からワシントンDCにおける議員事務所での経験を経て、「シンクタンク・ジャンキー」(ワシントンDCで数々のシンクタンクが開催するシンポジウムへの出席中毒)が高じて、ついには自ら「PACIFIC21」というシンクタンクを作ってしまったという方です。
 本書の構成は、
・第1章 シンクタンクとは何か:米国におけるシンクタンク位置付け・役割の解説(日本のシンクタンクのような行政や企業から受託した報告書を作るところではない!)。
・第2章 「大統領誕生」と「回転扉」:米国の政権交代をを支える人材供給源としてのシンクタンクの役割の解説。
・第3章 六大シンクタンク創世記:様々なルーツを持つシンクタンクをその風土と絡めながら解説。
・第4章 時代はビジネス:シンクタンクの金銭面におけるビジネスモデルの解説。
・第5章 二十一世紀の政策プロデューサー:9.11後のアメリカにおけるシンクタンクの役割の変化などを解説。
という構成になっています。
 本書に登場するシンクタンクの名前は、発表されている数多くのレポートを通じてよく知られていますが、そのシンクタンクの成り立ちや役割、どうやって運営されているかについては、わが国ではあまり知られていません。ワシントンDCに精通した著者だからこそ書ける米国シンクタンク事情。日本では断片的な情報しか得ることができず、類書の少ない、しかしアメリカの大統領選挙や政治システムを理解する上では価格ことのできない知識を、新書サイズではありますがふんだんに盛り込んだ本書は、このテーマにおける必読書になると思います。


■ 個人的な視点から

 公務員の政治任用との絡みでよく紹介されるシンクタンクですが、日本におけるイメージは、政権を追われた政策スタッフが、「浪人」として拾われて研究をしている、というものが多いのではないかと思います(私が勝手に曲解しているだけかもしれませんが・・・。)。しかし、本書を読めば分かるとおり、収入面でも研究面でもシンクタンクに在籍している間の方が華やかであり、決して「浪人」のような裏寂れた雰囲気はありません。そして、政府の高級政策スタッフになるためにはシンクタンクに入るのが本流であり、政権交代とシンクタンクとがガッチリと組み合わされたシステムになっているのです。
 「鶏と卵」の議論ではありますが、公務員の政治任用それ自体だけの是非を論じていても米国の「回転扉(リボルディング・ドア)」は理解できません。選挙制度など、政権交代が可能な政治システム全体の一部分として論じる必要があると思います。


■ どんな人にオススメ?

・日本の「シンクタンク・ジャンキー」の人。
・公務員の政治任用に関心のある人。


■ 関連しそうな本

 ジェームズ・A. スミス (著), 長谷川 文雄, 石田 肇, ボストン・フューチャー・グループ (翻訳) 『アメリカのシンクタンク―大統領と政策エリートの世界』
 横江 公美 『Eポリティックス』 2005年02月11日
 横江 公美 『判断力はどうすれば身につくのか―アメリカの有権者教育レポート』


■ 百夜百マンガ

地雷震 1【地雷震 1 】

 「アフタヌーン」連載時は、「読むと指が黒くなる」と言われるほど真っ黒におどろおどろしく塗りつぶされた作風は、『スカイハイ』や『爆音列島』などでもお馴染みですが、初期の頃の作風は高口里純のような少女漫画っぽい線の細さも感じます。

投稿者 tozaki : 2005年06月13日 07:00

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