« 雇用と失業の経済学 | メイン | 公立校の逆襲 いい学校を作る! »
2005年06月16日
〈育てる経営〉の戦略―ポスト成果主義への道
■ 書籍情報
高橋 伸夫
価格: ¥1,575 (税込)
講談社(2005/04)
本書は、ベストセラーとなった『虚妄の成果主義』を踏襲する形で、「では何が必要なのか」という問いに答えているものです。前著では、日本企業で使われている「成果主義」「客観的な評価」「成果に報酬で報いる」という考え方が、いかに社員のモチベーションを下げ、根拠の無い考え方であるかを、経営学の理論的立場から徹底的に批判したものでした。本書では、第1章から第3章で、前著の論理構成を整理し直したうえで、「第4章 目的はモチベーション」と「第5章 人的資源は買えない」で、モチベーションを引き出すにはお金そのものよりも次の仕事が適していること、人材の育成には階層構造が重要であることを述べています。
第6章以降は、直接的には『虚妄の成果主義』に対応するものではありませんが、発表済みの論文などをベースに、「育てる経営」の重要性を述べています。
『虚妄の成果主義』を既に読んだ方にとっては、前著の内容を整理し直す助けになると思います。『虚妄の~』は講演録などを編集したものなので、読みやすいかわりに教科書的には理解しにくいところがありましたので、本書を併せて読む価値はあると思います。
■ 個人的な視点から
前著に引き続き、著者は「日本型年功制」のメリットを強調していますが、重要な点は、「日本型年功制」と年功序列とは大きく異なるということです。ではどこが違うのでしょうか。
本書の中では言及されていませんが、人事の経済学の分野ではラジアーらが展開した「ランク・オーダー・トーナメント」という考え方を指しているのではないかと思われます。これは、テニスのトーナメントのように、同期入社の社員の間での比較・選抜を繰り返し、能力を見極めていく、という方法です。社員の能力や成果を絶対値的に比較することは困難でも、同期の社員の間で相対的に順位を付けることはそれほど困難ではありません。また、トーナメントですので、1回の対戦で終わるわけではなく、何度も比較が繰り返される中で選抜が行われます。
この選抜のプロセスで大きな役割を果たしているのが、本書で取り上げられている「やり過ごし」と「尻ぬぐい」です。これらは30代前後に行われ、給与面では大きな差は出ませんが、仕事の内容で差が付きます。そして、40代以降で給与や役職面で大きな差が付きます。
これらを単なる「年功序列」と呼べるのでしょうか。
■ どんな人にオススメ?
・『虚妄の成果主義』を読んだ人。
■ 関連しそうな本
高橋 伸夫 『虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ』 2005年3月30日
城 繁幸 『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』
エドワード・P. ラジアー (著), 樋口 美雄, 清家 篤 (翻訳) 『人事と組織の経済学』 2005年04月05日
高橋 伸夫 『経営の再生[新版]―戦略の時代・組織の時代』 2005年06月10日
高橋 伸夫 『できる社員は「やり過ごす」―尻ぬぐい・やり過ごしの凄い働きを発見した』
高橋 伸夫 『日本企業の意思決定原理』
■ 百夜百マンガ
いまどき珍しいくらいのラブコメなのに未だかつて読んだことの無いキャラクターです。
確か記憶では、読み切りからスタートしたんじゃないかと思います。
主人公の星野君のキャラで一発芸的に終わるかと思ったら、脇役の同級生のキャラが立ってきたので結構続いています。
投稿者 tozaki : 2005年06月16日 07:00
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.pm-forum.org/MT3/mt-tb.cgi/296

【ラブロマ 】