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2005年06月17日

公立校の逆襲 いい学校を作る!

■ 書籍情報

公立校の逆襲 いい学校を作る!   【公立校の逆襲 いい学校を作る!】

  藤原 和博
  価格: ¥1,470 (税込)
  朝日新聞社(2004/09/17)

 本書は、都内初の民間人校長(この呼び方も何だか変ですが)として、杉並区立和田中学校の校長になった元リクルート・フェローの著者が、教育現場に来て感じたこと、行ってきたこと、行っていることをまとめたものです。元々、朝日新聞と週刊朝日に連載されていたものを加筆修正したものなので、1つのトピックが約3ページに収まっていて読みやすい構成になっています。
 著者はリクルートでビジネスマンとしてのキャリアを積んできた方ですが、足立十一中との協働から生まれた『よのなか』科の授業、「1個のハンバーガーから世界が見える」のように、身近な教材から社会の仕組みを探求する授業によった注目され、2003年から「民間人」として和田中の校長に就任されました(「非民間人」というと軍人か何かのようですが、この場合の「民間人」は、非公務員、非教員としてキャリアを積まれてきた方、という意味だと思われます。)。
 著者が取り組んできた数々の取り組みに対して、ビジネス界での長い経験があるからできるんだ、ということを言う人もいるそうですが、著者は3人の子の父親としての視点で校長の仕事を見つめ、「前例主義」を廃することに取り組んできたと言います。
 その意味では、本書を読んで「こんな校長がいればいいな」と思うよりも、「一人の親として自分にできることは何だろう」と考えることの方が、著者の考えに近いような気がします。


■ 個人的な視点から

 「民間人校長」というと、広島の高校で自殺してしまった事件がまず浮かぶように、教職員との軋轢が大きいのではないかという心配をしてしまいます。何しろ、相手は小学校入学以来ずっと学校の中だけで生きてきた人たちです。そんな中に一人で放り込まれたとしたら、いくら民間企業でのマネジメント経験のある人でも、多勢に無勢では歯が立ちません。
 そこで著者がとった作戦は、多勢には多勢、つまり、ステークホルダーである地域の親やPTAのOB・OGを見方につけることでした。著者は、自らが進めてきた「前例主義を廃する仕組み」を、校長としての任期が切れ、学校を去った後も残して行くために、地域主導の「地域本部」を作り、土曜寺子屋、略して「ドテラ」や図書室の運営、「和田中i-キッズ計画」や「和田中グリーンキーパーズ」など、後戻りしないためのクサビを打っています。
 改革者が去った後の組織で揺り戻しが起こるのは、学校だけでなく企業や自治体でも同じですが、ステークホルダーを巻き込む仕組みを作ってクサビにしてしまうという方法は、1期で引退を表明した志木市の穂坂市長の手法に通じるものがあります。


■ どんな人にオススメ?

・「いい学校」に通いたかった人。
・「いい学校」で子供に学ばせたい人。
・「いい学校」を作りたい人。


■ 関連しそうな本

 金子 郁容 (編著), 玉村 雅敏, 久保 裕也, 木幡 敬史(著) 『学校評価―情報共有のデザインとツール』 2005年02月25日
 小塩 隆士 『教育を経済学で考える』 2005年02月13日
 藤原 和博 『世界でいちばん受けたい授業―足立十一中『よのなか』科』
 藤原 和博, 天野 一哉 『民間校長、中学改革に挑む』
 埼玉新聞社 (編集) 『生き生きまちづくり 埼玉県志木市の挑戦』 2005/04/17


■ 百夜百マンガ

ああ播磨灘【ああ播磨灘 】

 今話題の相撲業界ですが、ちょうど若貴ブームの頃に大相撲をおちょくりまくった2つの作品がありました。1つの土俵の外の戦いを描いた『両国花錦闘士(りょうごくおしゃれりきし)』、もう1つは「負けたら即引退」を宣言した天下無双の横綱を描いた『ああ播磨灘』です。
 仮面をつけた土俵入りや土俵外での傍若無人な振る舞いなどはあっても、土俵の上の緊張感はピカ一だった播磨灘ですが、現実の相撲界は両国花錦闘士の登場人物の方に近かったようです。
 テレビに出てくる「兄弟」も、本人たちは『播磨灘』系の登場人物のつもりかもしれませんが、『花錦闘士』の登場人物に見えてしまい、面白くて仕方ありません。

投稿者 tozaki : 2005年06月17日 07:00

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