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2005年07月27日
都市ヨコハマをつくる―実践的まちづくり手法
■ 書籍情報
田村 明
価格: ¥756 (税込)
中央公論新社(1983/01)
本書は、「まちづくり」のカリスマと呼ばれている都市プランナー、法政大学名誉教授の著者が、横浜市役所に乗り込んで企画調整局を新設し、ヨコハマを新しい都市として作り上げていった手法を紹介しているものです。
紹介されている事業や手法は多岐にわたり、またどれも困難なものばかり。高速道路の開通と都市公園づくりを両立させた「1章 高速道路の地下化と大通公園」などは、それだけで1冊の本になるくらいの事業ボリュームと多方面との困難な折衝、技術的課題を抱えています。
また、「六大事業」(1.都市部強化事業、2.金沢地先埋立事業、3.港北ニュータウン建設事業、4.高速道路網建設事業、5.高速鉄道(地下鉄)建設事業、6.ベイブリッジ建設事業)は、それぞれにリンクしているとは言え、どれをとっても政治家の公約のトップに来るような大事業で、これらを平行して進めていくパワーには脱帽するばかりです。
そして、当時の多くの自治体職員の憧れを集め、「まちづくり」の世界に引きずり込んだ土地利用の調整と宅地開発要綱、アーバンデザイン、市民参加などの手法が紹介され、以下にこの当時、権力や金ではなく、知性と情熱と交渉によって著者が「ヨコハマ」という都市をつくり上げてきたか、ということが伝わります。
「まちづくり」に特に関心を持っていない若い人にもぜひ読んでもらいたい1冊です。
■ 個人的な視点から
著者の田村氏は、2年前に氏が主宰されている「現代まちづくり塾」(http://www.npo-tma.com/invite/juku_info.html)にご一緒させていただく機会があり、研究会とその後の懇親会でお話をさせていただいたことがあります。70代後半とはとても思えないほどの、力に溢れる話し振りが大変印象に残っています。
著者が横浜市役所に在籍していたのは、1968年から1981年までの13年間ですが、この13年間の「まちづくり」の栄光が、良い意味でも悪い意味でも遺産として現在の横浜市に受け継がれてきた、ということを感じます。
良い意味の遺産の代表としては、ハード面のインフラももちろんですが、ソフト面のインフラとして、まちづくりに意欲のある優れた人材が横浜市役所に集まったことと当時の成功体験が横浜市民に共有されたことです。現在の中田市長の改革を支えている課長級以上の世代には著者が活躍した「飛鳥田市政」に憧れて市役所に入ったという人がたくさんいます。また、学校開放などで培った市民参加の風土は、現在のG30などのインフラになっていると思われます。
逆に、負の遺産としては、飛鳥田時代のまちづくりの成功体験が、その後のイケイケドンドンの支出拡大につながったのではないかということです。著者は、カネは無くても知恵と情熱と交渉で、次々と大事業を成し遂げてきましたが、その後の人口増や好景気を背景に、何でもできるようになり、カネを使うことに対してのチェックが甘くなったのではないかと思います。
現在、中田市長の改革が脚光を浴びていますが、中田改革を理解する上で重要なキーとなる、この時代について調べたい気持ちになりました。
■ どんな人にオススメ?
・中田改革に関心のある人
■ 関連しそうな本
田村 明 『まちづくりの実践』
田村 明 『まちづくりの発想』
田村 明 『現代都市読本』
南 学, 上山 信一 『横浜市改革エンジン フル稼動 中田市政の戦略と発想』 2005年04月13日
■ 百夜百マンガ
「あしたのジョー」への夢を断たれた男が、漫画業界になぜか潜り込んでしまう、ある意味楽屋落ち的な内容ながら泣かせる作品になっています。個人的に泣けてくるのは「老害」扱いされた過去の偉大なマンガ家「マンボ好塚」編です。
投稿者 tozaki : 2005年07月27日 07:00
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