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2005年08月06日
渋沢家三代
■ 書籍情報
佐野 真一
価格: ¥882 (税込)
文芸春秋(1998/11)
本書は、日本の資本主義の育ての親である渋沢栄一、巨大な父の影の重さに苦しんだ息子の篤二、大蔵大臣からの"ニコ没"を選んだ孫の敬三という渋沢家三代の人生を資料の発掘と聴き取りによって綴ったものです。
「論語と算盤」という事業哲学で知られ、「財なき財閥」を築き上げた渋沢栄一は、「わしがもし一身一家の富むことばかりを考えたら、三井や岩崎にも負けなかったろうよ。これは負け惜しみではないぞ。」という言葉に現れているように、その生涯を日本に資本主義を根付かせることに捧げました。彼は、現在の埼玉県深谷市に位置する血洗島と呼ばれる土地で藍玉を扱う豪農「中ノ家」に生まれ、攘夷倒幕に燃える若者として家を飛び出し、ひょんなことから徳川慶喜の家臣となり、1年半の間パリで過ごす経験を得ることになります。ここで、資本主義と株式会社に出会ったことが、彼の人生を決定しました。明治新政府の大蔵官僚の経験を経て第一勧業銀行を設立し、これを皮切りに500の近代企業と600の社会公共事業に携わり、日本の近代資本主義を育て上げます。
しかし、偉大な父のプレッシャーに苦み、父の愛に飢えていた息子の篤二は、多芸多才な趣味人として生き、家を離れ愛人の下で「高等遊民」のごとき生涯を送ります。
そして、祖父の期待を一身に背負った孫の敬三は、銀行業務に勤しむ昼の顔と、民俗学を初めとする様々な分野の研究者たちのパトロンとしての二つの顔を持ちながら、渋沢家三代目としての重責を担うことになります。第一勧銀の副頭取から日銀総裁として終戦を迎え、終戦直後の混乱に大蔵大臣として大鉈を振るった後、自らにも財産税を課して豪邸を手放し、「にこやかな没落」を受け入れます。
本書は、この三代に渡る渋沢家の物語を、丹念な資料収集と聴き取り調査によって新書サイズに凝縮しています。もはや歴史の教科書の中の人になってしまった、現代の日本社会を支える社会的なインフラを築き上げた彼らの生き様から、まだまだ学ぶものがあるのではないかと思います。
■ 個人的な視点から
本書を読んでまず考えたのは、「本当の意味で親から子に受け継がれる『財産』とは何か」ということです。「財なき財閥」とは言え、もちろん渋沢家は子爵家という位を持ち、人並みはずれた財産を所有していました。篤二や敬三が受けた教育や社会的地位も、もちろん栄一から受け継がれたものですが、「ニコ没」して地位も家屋敷も手放してしまったとしても残ったものがあるはずです。
それは栄一の「志」ではないかということを感じました。もちろんそれは毒にも薬にもなるもので、ネガティブに作用した部分も相当大きいと思いますが、それでも何かこの3人に通じるものを感じます。
『不平等社会日本』では、知的エリートである親から子供に受け継がれるものは、単なる高等教育の機会だけでなく、情報や知識のリテラシー、接し方であると推測されていますが、渋沢家三代の人生からは、日本社会に資本主義を根付かせるという、初代の志が受け継がれていることを感じさせます。
■ どんな人にオススメ?
・日本の資本主義の源流を知りたい人。
■ 関連しそうな本
佐野 真一 『旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三』
渋澤 健 『シブサワ・レター 日本再生への提言』
佐藤 俊樹 『不平等社会日本―さよなら総中流』 2005年03月22日
■ 百夜百音
【Reggatta de Blanc】 (試聴あり) The Police オリジナル盤発売: 1979
「白いレゲエ」全開で一気に化けた彼らの二枚目です。トリオという最小限の編成で、これだけ豊かな広がりを作り出してしまうことに、初めて聴く人は衝撃を受けるでしょう。
生まれて初めての大きな買い物(10万円以上)をしたのは、アンディ・サマーズに憧れて買った1972年製のテレキャスターでした。大学二年のときに御茶ノ水のESPで一目惚れをして22万円を衝動買いしてしまいました。今でも一番の愛用で、お弁当箱みたいな大きさのBOSSの初代CE-1
を通してマーシャルを鳴らすと爽快です。
『Outlandos d'Amour』
(試聴あり)
投稿者 tozaki : 2005年08月06日 11:00
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