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2005年08月25日
コミュニティ・オブ・プラクティス―ナレッジ社会の新たな知識形態の実践
■ 書籍情報
【コミュニティ・オブ・プラクティス―ナレッジ社会の新たな知識形態の実践】
エティエンヌ・ウェンガー, リチャード・マクダーモット, ウィリアム・M・スナイダー, 櫻井 祐子 (翻訳), 野中 郁次郎(解説), 野村 恭彦 (監修)
価格: ¥2,940 (税込)
翔泳社(2002/12)
本書は主に企業内における「実践コミュニティ」に着目し、その生起から発展と成熟、そして衰退や再生のサイクルを分析し、その「育成」方法について述べたものです。「実践コミュニティ」とは、「あるテーマに関する関心や問題、熱意などを共有し、その分野の知識や技能を、持続的な相互交流を通じて深めていく人々の集団」と定義されています。本書では、クライスラーの「テック・クラブ」の他、ゼロックス、マッキンゼー、シェル石油等の企業における実践コミュニティの実例を紹介しながら、知識を生み出す上で情報システム以上に「人と人をつなげる」ことが重要になることを解説しています。
実践コミュニティには、「領域、コミュニティ、実践」の3つの要素があります。これらの要素はどれか1つだけ重点的に取り組むのではなく、バランスよく並行して発展させる必要があるとされています。
実践コミュニティには、「育成」という表現が望ましいことが述べられています。注意深く種を植えて成長を見守る姿勢は、次の「実践コミュニティ育成の七原則」にまとめられています。
1.進化を前提とした設計を行う
―――コミュニティの発展に触媒作用を及ぼすような方法で設計要素を組み合わせる。
2.内部と外部それぞれの視点を取り入れる
―――コミュニティの本質を見抜き、知識を開発し世話する潜在能力の有無を理解する
3.様々なレベルの参加を奨励する
―――「コーディネーター」「コア・グループ」「アクティブ・グループ」も重要だが、「周辺グループ」の参加が重要な特質になっている。
4.公と私それぞれのコミュニティ空間を作る
―――公共空間(会合、ウェブサイト)と私的空間(一対一の人脈)は相互に影響を及ぼしあう。
5.価値に焦点を当てる
―――メンバーに価値をはっきりと言葉に表すよう絶えず働きかける。
6.親近感と刺激とを組み合わせる
―――おなじみのイベントと刺激的なイベントを組み合わせる。
7.コミュニティのリズムを生み出す
―――発展の各段階にふさわしいリズムを見つけることが、コミュニティ開発の鍵になる。
実践コミュニティの発展には段階があり、大きくは初期段階と成熟段階にわけられます。初期段階はさらに「潜在」(発見/想像)と「結託」(孵化させる/今すぐ価値をもたらす)に分けることができ、成熟段階は、「成熟」(集中/拡張)と「維持・向上」(所有/受容性)、「変容」(終わらせる/存続させる)に分けることができます。それぞれの発展段階には、「二つの相反する方向性の間の、緊張関係」とされる問題点が説明されています。このコミュニティ発展の各段階は、あくまで典型ですが、比較的わかりやすいものではないかと思います。
インターネットによって、地域の壁を越えたコミュニティが構築しやすくなった現在、発展するコミュニティと発展しないコミュニティがなぜ存在するのか、コミュニティが変容してしまうのはなぜか、という問題に直面することも多くなりましたが、これらの問題を客観視するためのガイドに本書はなりうるのではないかと思います。
■ 個人的な視点から
本書を手にしたきっかけは、このblog/メルマガを設置しているサーバーの大家に当たる「行政経営フォーラム」(http://www.pm-forum.org/)のML上で、紹介されていたことがきっかけです。この行政経営フォーラム自体が、「実践コミュニティ」としての性格を持った会員数500名くらいの団体で、現在設立から8年目を迎えています。
本書は、このようなコミュニティを読み解く上で重要な示唆を与えてくれます。「潜在→結託→成熟→維持・向上→変容」というコミュニティの発展段階の分析は、かなり当てはまるように思われますし、「ROM」と言われるMLで発言しないメンバーが多いことも、実践コミュニティの重要な特性であるとの説明が当てはまるようです。
従来の組織の枠を超えたコミュニティに重複して参加している人が増えていますが、本書はこのような組織の運営を考える上で大変有用な一冊なのではないかと思います。
■ どんな人にオススメ?
・従来の組織の枠を超えたコミュニティに参加している人。
■ 関連しそうな本
野中 郁次郎 『知識創造の経営―日本企業のエピステモロジー』 2005年03月02日
野中 郁次郎, 竹内 弘高 (著), 梅本 勝博 (翻訳) 『知識創造企業』
野中 郁次郎, 紺野 登 『知識経営のすすめ―ナレッジマネジメントとその時代』
■ 百夜百マンガ
テレビニュースは衆院選の話題で持ちきりですが、一昔前の政界の様子を伝えてくれるのがこの作品です。
生臭い政治の世界を描いていますが、ほのぼのとした作画のおかげでドタバタした政局を楽しむことができます。
投稿者 tozaki : 2005年08月25日 07:00
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【票田のトラクター 】