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2005年08月29日

ボランタリー経済の誕生―自発する経済とコミュニティ

■ 書籍情報

ボランタリー経済の誕生―自発する経済とコミュニティ   【ボランタリー経済の誕生―自発する経済とコミュニティ】

  金子 郁容, 松岡 正剛, 下河辺 淳
  価格: ¥2,940 (税込)
  実業之日本社(1998/01)

 本書は、小さな政府でも福祉国家でもない第三の道である「ボランタリー経済」、すなわちコミュニティに支えられた自発する経済について、著者らによる「ボランタリー・エコノミー研究会」の活動の成果としてまとめられたものです。
 本書の内容は、組織論や国家論、生命科学から日本社会の歴史まで、幅広い分野を縦横無尽に駆け巡り、目次だけ見るととっちらかっているように見えるのですが、これらは「情報」と「編集」と「自発性」という3つの言葉によって結わえられ、実態の見えにくい「ボランタリー経済」というものの姿を浮き上がらせています。
 ボランタリー経済の特徴として、本書では、「ルール」「ロール」「ツール」という3つのキーワードが頻繁に使われ、3回の調査旅行(野沢、桐生、湖北)を含め、様々な事例を読み解く上で「三種の神器」として使用されています。大まかには、ルールは制度に、ロールは組織に、ツールはメディア(=交流のための道具性)にそれぞれ対応しています。日本の伝統文化に当てはめれば、ルールは「もてなし(ホスピタリティ)」に、ロールは「ふるまい(パフォーマンス)」に、ツールは「しつらい(デバイス)」にそれぞれ対応することが述べられています。
 本書は、複数の著者による共同執筆という体裁をとっているため、章によってメインの執筆者の個性が多少出ますが、分担執筆ではなく全体を3人の著者が文責を持つというスタイルのため、多岐にわたる内容にもかかわらず、一冊の本としての統一感を見事に出しています。
 ソーシャル・キャピタルに関心のある方には、ぜひ読み逃してほしくない一冊です。


■ 個人的な視点から

 本書は、400ページに渡る「重たい」本であるにもかかわらず、その内容はあちこちに飛び回り、これ一冊を読んだだけでは全体像をつかみにくものではないかと思います。関連する書籍を全て読んでいったらきりがありませんが、本書を読んで関心を持った分野があれば、文中で紹介されている著者名を頼りに、Amazonか図書館などで検索して読み進める、という方法が現実的ではないかと思います。
 個人的には、取引コスト理論やゲーム理論などは、もともとの自分の領域だったので読みやすかったですが、「講」や「座」、「結」などの日本社会における様々なコミュニティに関する知識が乏しかったので、今後はこの方面を読んでみようかと思っています。


■ どんな人にオススメ?

・ソーシャル・キャピタルに関心のある人


■ 関連しそうな本

 ロバート・D. パットナム (著), 河田 潤一 (翻訳) 『哲学する民主主義―伝統と改革の市民的構造』 2005年03月03日
 今井 賢一, 金子 郁容 『ネットワーク組織論』 2005年03月19日
 オリヴァー・E.ウィリアムソン 『市場と企業組織』 2005年04月19日
 松岡 正剛 『知の編集工学』
 レスター・M. サラモン (著), 入山 映 (翻訳) 『米国の「非営利セクター」入門』 2005年01月25日
 網野 善彦 『日本社会の歴史』


■ 百夜百マンガ

やぶれかぶれ【やぶれかぶれ 】

 連載当時の第1話で、作者が「俺ぁ、選挙に出る!」と編集部で叫んで、みんながずっこける、という場面は記憶に残っているのですが、それ以降は全く読んで記憶がありません。政界の大物達へのインタビューなど、今読んだら面白いと思うのですが、当時はすっかり読み飛ばしていたのだろうと思います。

投稿者 tozaki : 2005年08月29日 07:00

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