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2005年09月19日

環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態

■ 書籍情報

環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態   【環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態】

  ビョルン・ロンボルグ (著), 山形 浩生 (翻訳)
  価格: ¥4,725 (税込)
  文藝春秋(2003/06/27)

 本書は、私たちが幼少の頃から数々の神話、例えば「あと○年で石油は枯渇する。」とか「地球温暖化で海面が数メートル上昇し世界の主要都市は水没する。」とか「農薬や化学物質・環境ホルモンが原因で我々の子孫は死に絶える。」といった類の「怪談」を聞かされてきたが、それらは本当に現実の話なのか、という問題提起を、レスター・ブラウン(ワールドウォッチ研究所)の『地球白書』や環境保護団体が使っているものと同じ、様々な公式統計を元に、データを再検証することで行っているものです。
 本書は、これまでの「神話」に逆行するような「現実」を私たちの前に提示します。・長期トレンドで見ると、期待寿命は大きく伸び、食糧事情は改善している。
・歴史的には全森林の20%は失われているが、その免責は第二次世界大戦以降あまり変わっていない。
・技術革新によって最重要資源の残存消費可能年数は増えている。
・大気汚染は急激に回復している。西側社会においてこれほど空気がきれいなのは数世紀ぶり。
 これらの統計は、私たちが怯え続けてきた「神話」と真っ向から対立するように思われます。どうしてこのような違いが生じるのでしょうか。著者は、「ファイル棚問題」と「データマッサージ」という二点を挙げます。「ファイル棚問題」とは、調査の結果、重要な関係が全く見つからなかった場合はボツになりファイル棚にしまわれるのに対し、(偶然かもしれない)相関をたまたま見つけた最初の研究が刊行されるという問題です。また、「データマッサージ」とは、手当たり次第に材料を集めれば、一部の数字は偶然にも相関を示す場合がある、つまり、データが何か言うまでイビった結果、面白い相関が刊行されやすくなる、というものです。
 著者が、本書を書いた動機を、「民主主義はみんなができる限り最高の情報にアクセスできるときによく機能する。環境みたいに大事な問題の議論が、真実じゃなくて神話に基づいてなされるなんでいうのは、ぼくたちの社会にとって有益であるわけがない。」と述べています。残念ながら本書は、環境問題を軽視したがっている政治的な「右派」や、環境問題が改善しているというポジティブなメッセージが運動にとって危険(真相を皆が知ってしまうと危機感をなくしてしまう、というエリート主義的な意識)だとする「グリーン」の両方に翻弄されてしまいますが、著者のメッセージは、我々が取り組むべき問題の優先付けは、正しいデータに基づくべきだ、というものです。
 例えば、
・海岸への重油の流出に対する回収作業は合理的なものか(重油自体は蒸発や分解などによって自然に解決されるのに、高圧水で洗浄したために海洋生物が失われかえって復元が遅くなった。)
・農薬を使わないことでガン患者は減るのか(食物の価格が上昇しかえってガン患者が増えるうえに多くの農地化が必要になる。)
・毎年4万種が絶滅すると言う数字の根拠は正しいか(今後25年で100万種が絶滅するという想定からの逆算に過ぎない。)
などです。著者は、「環境規制をして他の分野の規制を減らすコストを無視するということは、現実問題としてぼくたちは統計的な殺人を行っているということ」という強烈な表現でこれらの問題を言い表します。
 世界中で大変な大論争を巻き起こした本書(著者に対する脅迫もあったそうです。)に対しては、感情的な反感を持つ多くの人がいることと思いますが、それでも本書を読む意味は、誰かが恣意的に選び出した一部の数字によるセンセーショナルな「神話」に左右されることなく、より情報のソースにさかのぼって議論することにあると思います。


■ 個人的な視点から

 現在、30代前後の人にとって、「20世紀末には石油が枯渇する!」という物語は、「1999年7の月に恐怖の大王が降りてくる」という予言と並んで、将来に対する不安の代表的なものでした。中には、どうせ1999年で世界が終わるなら、先のことなど考えずに楽しく暮らそう、という刹那的な考えの人もいましたが、恐怖の大王の到着予定から数年が経ち、その人たちは今どうやって暮らしているのでしょうか。
 さて、本書の重要なメッセージは、政府であれ環境保護団体であれ、メディアに登場する数字やキャンペーンを鵜呑みにしてはならない、ということに尽きると思います。タバコ会社が有害であることを知りながら「タバコを吸うのはカッコいい」というイメージを莫大な広告によって人々に植え付けてきたのと同じように、環境問題に関する「神話」も我々に植え付けられているのかもしれません。


■ どんな人にオススメ?

・環境問題の「現実」を見通したいと思う人。


■ 関連しそうな本

 横江 公美 『判断力はどうすれば身につくのか―アメリカの有権者教育レポート』
 菅谷 明子 『メディア・リテラシー―世界の現場から』 2005年09月07日
 高瀬 淳一 『情報と政治』 2005年06月23日


■ 百夜百音

CATALOGUE 1987-1995【CATALOGUE 1987-1995】 BUCK-TICK オリジナル盤発売: 1995

 最近では「オゾン」と言えば「まいあひ~」を指しますが、昔はオゾン層破壊の二大バンドと言えば、バクチクとエックスでした。
 当時販売されていた「ダイエースプレー」はその強力さで愛用されていましたが、他社が次々に代用ガスに変わっていく中、ひっそりと無くなってしまいましたとさ。


『X JAPAN BEST~FAN'S SELECTION』X JAPAN BEST~FAN'S SELECTION

投稿者 tozaki : 2005年09月19日 12:00

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