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2005年09月26日
リーン・シンキング
■ 書籍情報
ジェームズ・P. ウォーマック, ダニエル・T. ジョーンズ (著), 稲垣 公夫 (翻訳)
価格: ¥2,940 (税込)
日経BP社(2003/01)
本書は、前著「リーン生産方式が、世界の自動車産業をこう変える」から10年が経ち、日本の自動車産業からスタートした「リーン思考」が脱国籍化し、いかにして世界の様々な生産現場に浸透し始めているか、を紹介したものです。
リーン思考で重視されるのは「価値の小川」という考え方です。これは、ある製品が、(1)問題解決業務(製品企画、設計、生産立ち上げ)、(2)情報管理業務(受注、詳細スケジューリング、納入)、(3)物理的変換業務(原材料から顧客の手に渡るまで)の3つの業務を通すために必要なアクションの集合と定義づけされています。
本書では、「脱国籍化」の事例として、アメリカの梱包機器メーカーや配線材メーカー、ジェットエンジンメーカーの他、古典的なドイツ企業として高級スポーツカーを生産しているポルシェ社や、日本国内の非自動車産業、しかも中小企業として昭和鉄工などが紹介されています。
従来、自動車産業ならではの生産方式と思われがちだった「リーン生産方式」が、「価値の小川」という捉え方をすることによって、様々な製品の製造業や様々な国籍、そして様々な事業規模の企業に浸透していることを、著者自身が企業に何日も滞在して分析しています。
本書は、「自分の業界は特別だから関係ない」と思っている全ての方に読んでいただきたい良書です。ただし、ちょっと冗長なところがあるので読むのには骨が折れますが。
■ 個人的な視点から
本書で一番インパクトがあるのが、新技術研究所というトヨタ出身者のコンサルタントである岩田良樹氏らのパワフルさです。自分の工場を見て欲しい、と二日間かけて懇願した結果、2日目の夕食時にやっとOKが出て、すぐに工場に向かい、午後10時から午前2時までかけて工場の配置換えを行ったというエピソードが紹介されています。また、彼らの師匠である大野耐一氏はさらに強烈です。「出会う人間のほとんどを馬鹿者呼ばわり」し、直弟子は、「二十年間師事している間に一度も誉められた覚えがない」というから、その厳しさは半端ではありません。以前、『トヨタウェイ(下)』のときに「大野の円(Ohno Circle)」について書きましたが、その厳しさの猛烈ぶりはどこにでもついて回るようです。
面白かったのは、このことを一番気にしていたのが当の本人だったようです。彼は、自分がトヨタグループを去った後に、自分の弟子たちが周囲から報復を受けるのではないか、ということを懸念していたことです。欧米人の中には、日本人は本能的にリーン思考を受け入れられる、と思っている人もいるようですが、日本の工場でもリーン生産方式に対する抵抗は激しく、導入者は苛烈なストレスにさらされます。「坊主憎けりゃ袈裟まで」ではないですが、「鬼」と呼ばれる人でも、自分がいなくなることで、弟子たちに支えがなくなることを心配するものなのだと感心しました。と同時に、これほどの厳しさがないとリーン生産方式は導入ができない、ということでもあります。
■ どんな人にオススメ?
・「自分の業界はリーン思考とは無縁だ」と思っている人。
■ 関連しそうな本
ジェームズ・P. ウォマック, ダニエル・T. ジョーンズ, ダニエル ルース (著), 沢田 博 (翻訳) 『リーン生産方式が、世界の自動車産業をこう変える―最強の日本車メーカーを欧米が追い越す日』
ジェフリー・K・ライカー (著), 稲垣 公夫 (翻訳) 『ザ・トヨタウェイ(上)』 2005年09月13日
ジェフリー・K・ライカー (著), 稲垣 公夫 (翻訳) 『ザ・トヨタウェイ(下)』 2005年09月14日
大野 耐一 『トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざして』
■ 百夜百マンガ
「鬼と言えば永井豪!」ということで、「サイキック学園」という副題のついたこの作品。超能力、バイオレンス、エロと永井テイスト満載の上、きちんと完結しないところも永井テイストです。
投稿者 tozaki : 2005年09月26日 07:00
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