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2005年09月28日
スモールワールド・ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法
■ 書籍情報
【スモールワールド・ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法】
ダンカン ワッツ (著), 辻 竜平, 友知 政樹 (翻訳)
価格: ¥2,940 (税込)
阪急コミュニケーションズ(2004/10)
本書は、「ネットワークの科学」という新しい学問分野について、その理論的背景などの成立過程の解説と、ネットワークシステム(スモールワールド、スケールフリー・ネットワーク)のモデルの解説、そして、病気やコンピュータウイルス、バブル景気や流行など現実社会で起きている現象の解説を行っているものです。
社会心理学者のスタンリー・ミルグラムが行った実験による「スモールワールド問題」については、ご存知の方も多いかもしれません。これは、世界中どんな人とも、間に6人の人を介すれば到達することができる、というもので、ミルグラムが、任意に選んだ数百人に手紙を送り、知人を介してボストンのある株式仲買人に手紙を送ってほしい、という実験を行った結果、平均6ステップくらいで届いたことから、「世界は6人を介してつながっている」という逸話が有名になりました。実際には、ミルグラムの実験の検証はあまり行われておらず、任意に選んだ郵送先リストにも偏りがあり、特にボストンから遠いネブラスカに送った96人のうち、実際に目標に到達したのは18通しかなかった、ということです。
本書では、このスモールワールドの問題や、ナプスターなどのインターネット上のピア・トゥ・ピア・ネットワークの成り立ち、コンピュータウイルスの伝播など分析の他、バブル景気がどのようにして生まれ崩壊して行くか、『ハリー・ポッター』などの流行(大域的なカスケード)はどのような条件の下で起こるのか、など、様々な問題をネットワークの科学の観点から分析しています。
ネットワークで結び付けられた世界を見るための「目」として、本書の視点は今後大変重要になると思います。「ネットワークの科学」に関連する文献も数多くありますが、まずは本書か『ティッピング・ポイント』(読み物としては面白いが「ネットワークの科学」への入り口としてはやや遠回り)から読み始めてはいかがでしょうか。
■ 個人的な視点から
本書は、スモールワールド問題への入門書として、様々な文献につながるイントロダクションとしてきわめて有用です(それゆえに、訳書に参考文献リストが付いていないことに対する非難がアマゾンの書評に書かれていますが)。バラバシの『新ネットワーク思考』や本書にも共同研究者として何度も名前が登場するストロガッツの『SYNC』など、これから読んでみたくなる本が芋づる式に出てきます。
本書の中にも触れられていますが、アマゾンの「おすすめ本」リストは大変使いやすく、最近は書籍購入目的以外にも、図書館で借りる本を探すのにも利用しています。アマゾンで購入した本以外にも、図書館で借りて読んだ本を「持っています」で追加して行くとドンドンおすすめの精度が上がります。通常は同じ著者や参考文献のつながりで本を探していくものですが、この方法だと思いがけない本を紹介されることもあるので読書の幅を広げるには最適です。
■ どんな人にオススメ?
・「ネットワークの科学」の入り口を覗いてみたい人。
■ 関連しそうな本
アルバート・ラズロ・バラバシ (著), 青木 薫 (翻訳) 『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』
スティーヴン・ストロガッツ (著), 蔵本由紀, 長尾力 (翻訳) 『SYNC』
安田 雪 『ネットワーク分析―何が行為を決定するか』
マルコム グラッドウェル (著), 高橋 啓 (翻訳) 『ティッピング・ポイント―いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか』 2005年02月12日
エベレット・M.ロジャーズ (著), 青池 慎一, 宇野 善康 (翻訳) 『イノベーション普及学』
ロナルド・H. コース (著), 宮沢 健一, 藤垣 芳文, 後藤 晃 (翻訳) 『企業・市場・法』 2005年04月29日
■ 百夜百マンガ
同じ産婦人科で同じ日に生まれ、取り違えられた二人の「鷹」が、成長した後にライバルとして対決する、という「世界の狭さ」と運命を描いた作品です。作者のメカ好き、バイク好きが随所ににじみ出ています。娘さんの名前は「まのちゃん」というらしいことが『究極超人あ~る』でネタにされています。
投稿者 tozaki : 2005年09月28日 06:00
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