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2005年09月30日

交渉とミディエーション―協調的問題解決のためのコミュニケーション

■ 書籍情報

交渉とミディエーション―協調的問題解決のためのコミュニケーション   【交渉とミディエーション―協調的問題解決のためのコミュニケーション】

  鈴木 有香 (著), 八代 京子(監修)
  価格: ¥2,993 (税込)
  三修社(2004/06)

 本書は、様々な異文化コミュニケーションにおいて発生する「コンフリクト(当事者同士の現在の願望が同時には達成されないと思い込むことや利害の相違を感じていること)」を解決するコミュニケーションのとり方と、その技法としての「ミディエーション」について演習を交えて解説したものです。
 まず、コンフリクト解決の米国型基本モデルとして、「(1)回避、(2)交渉、(3)調停、(4)仲裁、(5)訴訟、(6)闘争」の6つのモデルがそれぞれ解説されています。併せて、日本型のコンフリクト解決モデルとして水戸黄門型の解決の形も示されていますが、日本ではコンフリクトと意識されず、当事者の存在や責任の所在が曖昧な「揉め事」として捉えられるという点が印象に残りました。
 また、交渉場面でのコミュニケーション・スタイルを
 ・攻撃する(Attaking)
 ・回避する(Evading)
 ・情報を伝える(Informing)
 ・相手の心を開く(Opening)
 ・共通の基盤を作る(Unitigng)
の5つに分類し、「交渉のAEIOU」と紹介しています。これらは、自分と相手への配慮によって5つの領域に分けることができ、交渉場面のコミュニケーションの方法である「(1)儀礼交換、(2)攻撃、(3)回避、(4)心を開く、(5)情報伝達、(6)共通点の表明、(7)問題の最小転嫁の質問、(8)建設的提案」はこれらの上にプロットすることができます。

     自分への配慮 +
      高い
相  2   ↑ 1,6,7,8 相
手     |     手
へ  A  |  U  へ
の     |     の
配←――― I ―――→配
慮    5,6,8     慮
   E  |  O   
-     |     +
   3   ↓ 4,6
   自分への配慮 -

 この他にも、トレーニングとして、会話文を例に二種類(内容レベル、感情レベル)のパラフレーズの使い方や、相手を否定せずに自分の意見を明確に伝える「わたし文(I Statement)」、問題を相手に伝える「DIEC方法」(Describe:事実描写、Impact:影響、Express:自己表現、Confirm:確認)や「DESO方法」(Describe:事実描写、Express:自己表現、Specify:具体化、Outcome:結果)、そしてタイトルにもなっている「ミディエーション(コンフリクトに直面する当事者が第三者の手助けを借りながら話し合いで問題解決する方法)」などが解説されています。
 交渉に関する理論と実践とのバランスが非常に取れていて、日々職場でのコンフリクトに直面する管理職や、家庭でのコンフリクトに悩まれている方はぜひ読んでみてください。


■ 個人的な視点から

 本書の中で、文化人類学者のエドワード・ホールによる、時間の捉え方の文化的傾向の区分が紹介されました。これは「ポリクロニック・タイム(Polychronic Time)」と「モノクロニック・タイム(Monochronic Time)」の二つの区分です。
 計画やスケジュールを重視する「モノクロニック・タイム」の文化(北欧、ドイツ、米国)が時間通りに物事を一つずつ片付けて行く時間の使い方であるのに対し、「ポリクロニック・タイム」の文化では、その時々の状況を重視する傾向があるそうです。日本は仕事はモノクロニック・タイム的に進行する一方で、島型のオフィスレイアウトなどポリクロニック・タイム的であるそうです。
 こういう視点で、様々な日本企業の風土を分析するのも面白そうです。どんな例があるでしょうか。


■ どんな人にオススメ?

 ・日々のコンフリクトに頭を痛めている人。


■ 関連しそうな本

 マックス H・ベイザーマン (著), マーガレット A・ニール (著), 奥村 哲史 『マネジャーのための交渉の認知心理学―戦略的思考の処方箋』 2005年07月04日
 ウィリアム・L. ユーリ, ステファン・B. ゴールドバーグ, ジーン・M. ブレット (著), 奥村 哲史 (翻訳) 『「話し合い」の技術―交渉と紛争解決のデザイン』 2005年09月15日
 印南 一路 『ビジネス交渉と意思決定―脱"あいまいさ"の戦略思考』 2005年6月28日
 平原 由美, 観音寺 一嵩 『戦略的交渉力―交渉プロフェッショナル養成講座』 2005年09月16日
 八代 京子, 樋口 容視子, コミサロフ 喜美, 荒木 晶子, 山本 志都 (著) 『異文化コミュニケーション・ワークブック』


■ 百夜百マンガ

総務部総務課山口六平太【総務部総務課山口六平太 】

 日本の古き良き(?)企業文化といえばこの作品ですが、どんな問題も同時にこなしてしまう六平太の時間感覚はポリクロニック・タイム的なのでしょうか。

投稿者 tozaki : 2005年09月30日 07:00

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