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2005年10月21日
eデモクラシーへの挑戦―藤沢市市民電子会議室の歩み
■ 書籍情報
金子 郁容, 藤沢市市民電子会議室運営委員会
価格: ¥1,890 (税込)
岩波書店(2004/05)
本書は、1997年2月26日にスタートしたインターネット上の会議室である「藤沢市電子市民会議室」によって、どのような議論がされ、どのような市民参加が起こったのか、そして電子会議室が藤沢市民にもたらしたものは何か、をまとめたものです。
執筆者は、慶應大学の金子教授を代表に、会議室の運営委員や世話人、会議室立ち上げ当時に慶應SFCの学生だった橋本岳衆院議員、歴代の藤沢市の担当職員の皆さんです。どの文章も、市民会議室への愛情とともに、そこでの議論をどう捉えるべきか、という真剣な想いとが感じられ、藤沢市の市民会議室はシステムがあったからできたのではなく、会議室を支える人的な面での要素の方が大きいのだ、ということを感じさせます。
本書の構成は、市民会議室立ち上げ当初の経緯や、市民や市職員の戸惑い、そして暗黙の取り決めが生まれてくるまでを描いた第1章や、市民会議室の仕組みをシステムとともに、「ルール、ロール、ツール」という金子氏の得意とする切り口から分析した第2章など、会議室での生の議論からどのような意味を見出すかというところまで、様々な視点から書かれていて、臨場感と分析のバランスが取れているのではないかと思います。
電子会議室のシステムが一般化し、安易に取り入れたり、逆に不必要に恐れたりする自治体が多いなかで、システムではなく人的な要素を中心に解説する本書は大変参考になるのではないかと思います。
■ 個人的な視点から
藤沢市の電子会議室はシステムよりも人による面が大きい、と書いたものの、会議室のシステムである「コミュニティ・エディター」のシステム面からの貢献も見逃すことはできません。私も以前このシステムを開発した編集工学研究所のサーバを借りた会議室を使用したことがありますが、メーリングリストと掲示板の両方の機能を持ち、掲示板からもメールからも投稿でき、投稿内容が登録された参加者にメールで配信されるこのシステムは、その使い勝手の良さから札幌市など他の自治体の電子市民会議室でも使用されました。「拍手」とかのオプションはあまり使いませんでしたが・・・。
しかし、システムはインストールできても、藤沢市の会議室で培われた「ノウハウ」、というより本書中の言葉を使えば「ソーシャルキャピタル」は簡単には移すことができません。この辺りが自治体での電子会議室導入のネックになっているのではないでしょうか。既存のコミュニティが持っているソーシャルキャピタルに大きく依存するのであれば、岡山市の「電子町内会」のような取り組みや、八代市の「ごろっとやっちろ」のような地域密着型のSNSの方が確実なのかもしれません。
■ どんな人にオススメ?
・ネット上とリアルとの両方のコミュニティのあり方を考える人。
■ 関連しそうな本
金安 岩男, 新開 伊知郎, 長坂 俊成, NTTデータシステム科学研究所 『電子市民会議室のガイドライン―参加と協働の新しいかたち』
岩崎 正洋(編著) 『eデモクラシー』 2005年05月02日
岩崎 正洋, 田中 幹也, 河井 孝仁 『コミュニティ』
岩崎 正洋, NTTデータ システム科学研究所 『eデモクラシーと行政・議会・NPO』
岩崎 正洋 (編集) 『eデモクラシー』
金子 郁容, 松岡 正剛, 下河辺 淳 『ボランタリー経済の誕生―自発する経済とコミュニティ』 2005年08月29日
■ 百夜百マンガ
原作(というかまとめサイト)は読んだものの映画やドラマは読んでない「電車男」ですが、コミック版は何誌かで競作しているようです。ヤングサンデーに連載された本作品は小学館のベテラン「ラブコメ作家」である原秀則氏。20年ほど前に月刊サンデー増刊でミニFM局のマンガを描いていたのはオタクっぽさがいい感じでした。当時の作者が描くのならば電車男のイメージに合うかもしれませんが、20年後の今でも通用するかどうか・・・。今のところ読む機会はなさそうです。
投稿者 tozaki : 2005年10月21日 06:00
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