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2005年10月09日
知的生活の方法
■ 書籍情報
渡部 昇一
価格: ¥735 (税込)
講談社(1976/01)
本書は、「本を読んだり物を書いたりする時間が生活の中に大きな比重を占める人たち」に向けた「知的生活」の送り方を、主に読書に関する著者の生活を中心に解説したものです。
知的生活を送る上で、著者最も大事にしているのは、「知的正直(Intellectual Honesty)」、すなわち、「わからないのに、わかたったふりをしない」ということです。著者のこの信念は、繰り返し精読することで自分にとっての古典を作ることや、若いうちには漱石の小説は読むべきではなく、わかったつもり、読んだつもりになってしまうことを避けるためにも、人生経験を積んでから読むべきである、という主張に現れています。
また、本を所有することの重要性を強調しているのも本書の特徴です。著者は学生時代を知的生活を送るために捧げ、食堂では「丼飯+味噌汁+香の物」しか食べず、靴も靴下も入学式に使ったものを4年後の卒業式でも使い、アルバイトもせず、持てる全ての時間と金を、本を読み所有することに向けています。図書館で借りて要点をカードに写す時間があれば、本を買って赤線を引いた方が遥かに節約になる、「時は金なり」というのが著者の考えです。学者や小説家などの知的生産者の生産性は、所有している蔵書の数に比例する、ということで小説家や学者などが誇る膨大な蔵書の例が紹介されています。中でも漫画家の水木しげる氏が収集した1億枚を超える膨大な変死体や殺人現場などの資料や、本を置くために家を建てたりマンションを買ったりといった豪快なものが目立ちます。本書には蔵書の整理から発展して、知的生活を送るための住宅の設計図まで収められています。敷地の塀をかねた回廊式の本棚、というのはちょっとうらやましいです。
この他、知的生活のための時間の使い方も大きく二つの観点から解説されています。一つは、人間の寿命は有限という観点から、「見切り」の大切さです。「見切り」とは、ある程度調べてもわからないものはあきらめたり、モノになりそうにないもの(例:第二外国語)には手を広げないというもので、今風に言えば「選択と集中」ということになるでしょう。
もう一つは、一日の時間の有効な使い方です。先人の例としてカントやゲーテの早起きの生活を紹介しています。カントは夜10時に就寝し、召使に必ず朝5時に起こさせていました。5時から7時まで講義の準備をし、9時まで講義、その後1時までを仕事にあて、1時から昼食をとる、という生活だったといいます。また、ゲーテも早起きで知られ、「朝の時間は金貨をくわえている」という有名な格言を残しているらしいです。著者は残念ながらカントやゲーテとは異なり、深夜から夜明けにかけてが調子の出るピークだったようで、著者はこのタイプの違いを「血液型」ならぬ「血圧型」という理由で説明しています。この他、まとまった時間をとることの重要性と、通勤時間などの細切れな時間の有効な活用法なども紹介されています。
■ 個人的な視点から
本書が出版された1976年から約30年が経ちましたが、その間にワープロやコンピュータ、インターネットが登場し、情報を収集・整理し、(メールを含め)文章としてアウトプットする時間は格段に増え、知的生活を送るべき人は激増したのではないかと思います。本書の内容は時代を反映して、知の情報源を主に読書に求めていますが、コンピュータの時代になったと言っても情報の多くは文章を読むことで脳にインプットされることには変わりがありません。当時であれば、よっぽどの知識人でもなければ入手できなかったほどの膨大な情報を、現代の我々は簡単に手にすることができるようになったのです。
しかし、入手できる情報が多いことと、それを使いこなせることはイコールではありません。その意味で、本書は一部のインテリだけに向けられたものではなく、大量の情報の中に暮らす多くの人たちにとっても有用なのではないかと思います。
私個人も一般的には本好きの部類に入る方ではないかと思いますが、残念ながら最近は本を所有するのが経済的に厳しくなってきて、図書館通いを続けています。読みたい本があると、図書館サイトの蔵書検索で調べ、著者名や分類番号などを自分の携帯にメールしておき、週に1回、図書館に本を借りに行って、限度の8冊を借りてきます。手元の8冊の値段を合計すると約2万円になるので、月で8万円近い書籍代を節約できることになります。元々自分の持っている本にも線を引くのは嫌いなので、その面での不便はありませんが、それでも、必要なときにすぐ参照することができない不便さは時折感じます。もし唸るほど金があれば、書庫と書斎を備えた「知的生活用の家」の一軒でも建てたいところです。
■ どんな人にオススメ?
・毎日の生活の中で、本を読んだり文章を書いている人。
■ 関連しそうな本
梅棹 忠夫 (著) 『知的生産の技術』 2005年05月05日
中野 不二男 『メモの技術―パソコンで「知的生産」』
松山 真之助 『マインドマップ読書術―自分ブランドを高め、人生の可能性を広げるノウハウ』 2005年05月01日
板坂 元 『考える技術・書く技術』
■ 百夜百音
【ケダモノの嵐】 UNICORN オリジナル盤発売: 1990
元々は「バンドブームに乗ったアイドルバンド」というくらいしか見ていなかったのですが、だんだんひねくれサウンドが前面に出てきてから面白く聴くようになりました。このアルバムだと、「ロック幸せ」や「いかんともしがたい男」がヒネクレ度高い感じです。「自転車泥棒」や「スターな男」は単純に聴いていて楽しいですし。
ヤプシに入っているTMネットワークをおちょくった「PTA ~光のネットワーク」も笑いました。最近まで小西康陽プロデュースだということを知りませんでしたが。
投稿者 tozaki : 2005年10月09日 12:00
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本を読む。それについて考える。また、時には物を書く。そのような、いわば「知的生活」を望んでいる人は少なくないだろう。本書は、著... [続きを読む]
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