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2005年10月13日

ネットワーク分析―何が行為を決定するか

■ 書籍情報

ネットワーク分析―何が行為を決定するか   【ネットワーク分析―何が行為を決定するか】

  安田 雪
  価格: ¥2,310 (税込)
  新曜社(1997/02)

 本書は、「ネットワーク分析」という研究分野の、日本語ではおそらく唯一の入門書です。あとがきによれば、1997年の出版に先立つ10年前に、コロンビア大学のRonald Burt教授が語るこの学問の魅力に触れて以来、日本語のネットワーク分析の本を書くのが著者の夢だった、と書かれていますが、いかにわかりやすくネットワーク分析の魅力を伝えるか、というその熱意が、本書の端々から溢れています。
 本書の構成は、前半がネットワーク分析の基本的概念やツールの説明に当てられ、後半が具体的な応用例ということになっています。前半では、ネットワークをグラフや行列で表す方法、紐帯の重み付け、個人の持つネットワークを調査するための「ネットワーク・クエスチョン」の方法などが説明されています。後半では、パソコン通信の会議室での発言のつながりからネットワークの中心性を調べたり、パーソナル・ネットワークと昇進速度を調べた研究を紹介し、ネットワーク分析が得意とする領域がわかるようになっています。
 ネットワーク分析という研究分野に登場する用語が簡潔に解説されており、学部学生への入門書には最適ではないかと思います。また、研究目的でない一般社会人の好奇心を満たすにも適しているのではないでしょうか。


■ 個人的な視点から

 私が本書にたどり着くまでに、(1)『ティッピング・ポイント』(2/12紹介)→(2)『スモールワールド・ネットワーク』(9/28)→(3)『実践ネットワーク分析』(10/4)→(4)『人脈づくりの科学』(10/5)→(5)本書、の順に読み進んできました。しかし、本書を読んで、「もっと先にこっちを読んでいれば・・・」ということに気づきました。本書では、ネットワーク分析に関する概念が平易な文章でわかりやすく説明されていて、この入門書を読んでおけば、ネットワーク分析という研究分野の大まかな全体像をつかんでおくことができます。
 では、どんな順序で読んでいれば良かったのでしょうか。おそらく、ネットワーク分析への関心を持つきっかけ、接点になるのは、(1)の『ティッピング・ポイント』辺りではないかと思います。ここから(2)の『スモールワールド~』に進むのが順当な線かもしれませんが、(2)を読む前に本書を読んでおくと、(2)の内容がつかみやすくなります。その後、(4)の『人脈づくりの科学』を読み、さらに関心のある人は(3)の『実践ネットワーク分析』のまで読み進むのがいいのではないかと思います。ただし、(3)は本書に対する中上級編的な位置づけにあるので、専門とする学生には必要ですが、一般社会人はここまで読み進む必要はないかもしれません。
 この二週間ほどの間に、集中的にネットワーク分析の本を芋づる式に読んできましたが、こういう本のネットワーク関係を解説してくれるソシオグラムのようなものがあれば読書ガイドとして最適なんではないかと思います。できれば、引用関係や「こういう順序で読むと良い」とかの矢印がついていると、なお使いやすそうです。印刷物よりもコンピュータ上のほうが使い勝手もよさそうな感じがします。現在はamazon.comの「この本を買った人はこんな本も買っています」や「本のおすすめ」で代用していますが、誰か作ってくれないものでしょうか。


■ どんな人にオススメ?

・人間関係を科学的に理解したい人。


■ 関連しそうな本

 安田 雪 『実践ネットワーク分析―関係を解く理論と技法』 2005年10月04日
 安田 雪 『人脈づくりの科学 「人と人との関係」に隠された力を探る』 2005年10月05日
 ダンカン ワッツ (著), 辻 竜平, 友知 政樹 (翻訳) 『スモールワールド・ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法』 2005年09月28日
 マルコム グラッドウェル (著), 高橋 啓 (翻訳) 『ティッピング・ポイント―いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか』 2005年02月12日
 金子 郁容, VCOM編集チーム 『「つながり」の大研究―電子ネットワーカーたちの阪神淡路大震災』
 アルバート・ラズロ・バラバシ (著), 青木 薫 (翻訳) 『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』


■ 百夜百マンガ

人間交差点【人間交差点 】

 ビッグコミックオリジナルに連載されていた作品です。この雑誌の主な読者層は25歳~45歳くらいのサラリーマンではないかと思いますが、青年誌よりも上だけれどもビッグコミックよりもやや下、という位置づけでしょうか。どの雑誌もそうですが、ヒット作でつかんだ読者が年齢を重ねるとともに、だんだん雑誌自体のターゲット読者が上がって行く、という関係があるのではないかと思います。この辺りを分析した研究があったら読んでみたいです。

投稿者 tozaki : 2005年10月13日 07:00

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