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2005年10月28日

明日は誰のものか イノベーションの最終解

■ 書籍情報

明日は誰のものか イノベーションの最終解   【明日は誰のものか イノベーションの最終解】

  クレイトン・M・クリステンセン, スコット・D・アンソニー, エリック・A・ロス (著), 宮本 喜一 (翻訳)
  価格: ¥2,520 (税込)
  ランダムハウス講談社(2005/09/16)

 本書は、クリステンセンによる「イノベーション三部作」の締めくくりとなる、次にくる変化は何か、を見逃さないための着眼点についてまとめたものです。
 本書では、「産業の変化を予見するためのプロセス」として、
(1)変化のシグナルを探す。
(2)競争のための戦いを評価する。
(3)企業が下す重要な戦略的決断に注目する。
の3点を挙げています。
 「変化のシグナル」では、「1.非消費者」、「2.満足度不足の顧客」、「3.満足度過剰の顧客」の顧客グループのうち、多くの研究者が着目する2のグループではなく、1と3のグループに着目した分析を行っています。「競争のための戦い」では、「他の企業にはする意志がない、あるいはする能力がないことを実行し続け」る、という「不均等の盾と矛」を持つ企業の見極め方を述べています。「戦略的な決断」では、既存企業については「破壊の達人」になるための方法を、参入企業については適切なマーケットに足がかりを築くことと重複したバリューネットワークへの進出について、それぞれ述べています。
 本書では、「次」を分析する目によって、教育、航空、半導体、ヘルスケア、国家戦略、通信のそれぞれの分野を分析しています。
 本書を読んだからといって産業の次が見える、というものではありません。ですので、三部作のうち本書の部分だけ読めば答えが見えるかといえば、そういうものではありません。むしろ、前二作を読んだ人向けの応用編という位置づけになると思います。


■ 個人的な視点から

 本書の中で日本の読者の目を引くのは、第9章「海外のイノベーション」ではないかと思います。この章では、シンガポールや台湾なども扱われていますが、特に日本に関して紙幅を割いています。日本の経験とアメリカの経験とを比較し、日本にはなくアメリカにはあるものとして、「破壊の歯車」となる企業、すなわち、「破壊的な地盤を築き、成長し、成長の鈍化を経験し、組織内のアイデアを潰し、経営者を離反させ、あるいは起業家と一緒に資金を調達し、新しいビジネスを立ち上げ、新たな破壊的地盤を築こうとする企業」を挙げています。
 そして、アメリカにおいて破壊の歯車が活性化している理由として、以下の6点を挙げています。
(1)才能人間を求めるマーケット
(2)資本のマーケット
(3)規制のない製品のマーケット
(4)整備されたインフラストラクチャ
(5)活気に満ちた業界の力学
(6)研究開発環境
 ここに挙げられている6点は、どれも日本に比べたアメリカの強みとみなせそうですが、どれもそのまま真似するのは難しい問題です。国レベルでの破壊的なイノベーション、という観点で考えてみても面白いかもしれません。


■ どんな人にオススメ?

・イノベーション三部作の応用編として読んでみたい人。


■ 関連しそうな本

 クレイトン・クリステンセン (著), 玉田 俊平太, 伊豆原 弓(翻訳) 『イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』 2005年10月17日
 クレイトン・クリステンセン, マイケル・レイナー (著), 玉田 俊平太, 櫻井 祐子 (翻訳) 『イノベーションへの解―利益ある成長に向けて』 2005年09月29日
 キム・クラーク, カーリス・ボールドウィン (著), 安藤 晴彦 (翻訳) 『デザイン・ルール―モジュール化パワー』
 米倉 誠一郎 『経営革命の構造』 2005年09月09日


■ 百夜百マンガ

喜劇新思想大系【喜劇新思想大系 】

 山上たつひこと言えば『がきデカ』のイメージが強いので、『光る風』のシリアスさに驚く人も多いようですが、元々はシリアス路線の人だったところ、この作品からギャグ路線に転じたようです。
 とは言え、そのそこに流れるブラックさは通じるものがあるのですが。

投稿者 tozaki : 2005年10月28日 06:00

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