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2005年11月01日

自治体バランス・スコアカード

■ 書籍情報

自治体バランス・スコアカード   【自治体バランス・スコアカード】

  石原 俊彦, INPMバランススコアカード研究会
  価格: ¥3,150 (税込)
  東洋経済新報社(2004/07)

 本書は、企業経営の世界でも一部で取り入れられている「バランス・スコアカード(Balanced Scorecard)」の自治体経営への導入について、主に政令市の事例を中心に紹介しながら論じているものです。紹介されているのは、福岡市、札幌市、名古屋市、神戸市の4政令市と、尼崎市、八尾市、そして海外の事例としてイギリスのサリー県などです。
 各章は、本書の母体である「バランス・スコアカード・コンソーシアム」での研究活動をベースに、各自治体でBSCの導入に携わっている職員によって担当されていて、単なる事例紹介にとどまらず、BSCを導入する背景にあった数々の課題や、BSCに託された思いが込められています。
 例えばイギリスのサリー県では、BSCの考え方をベースに、1つの円を「私たちの資源」「私たちの顧客」「私たちの業務」「私たちの職員と議員」というエリア4分割したものを車輪に見立てた「パフォーマンス・ホイール」という図を使ってBSCの考え方を分かりやすく示しています。また、札幌市では、BSCの4つの視点(財務、顧客、内部プロセス、学習と成長)に「協働」と「環境」という2つの視点を加えた6つの視点でBSCを捉えています。
 まだ全国でもBSCの取り組みは緒についたばかりですが、BSCという考え方そのものに触れる入門書として、そして、全国の自治体の工夫に触れるためにも読んでおいて損はない一冊です。


■ 個人的な視点から

 BSCの基本的なモデルである4つの視点、財務の視点、顧客の視点、業務プロセスの視点、学習と成長の視点、をバランスさせるという考え方は、企業活動が財務の視点に過度に傾斜してきたことに対する反省が込められていますが、元々、財務の視点のみに集中する傾向が小さい行政の活動にとっては、BSCの考え方は馴染みやすいのではないかと思います。むしろ、複式簿記や管理会計の考え方が欠落している点では、自治体の財務の視点は「大福帳」的な帳尻合わせに終始してきたとも言うことができます。
 一方で、顧客の視点や学習と成長の視点をきちんと意識してきたか、また、内部プロセスの視点は単なる手続き論や「筋論」にとどまっていたのではないか、ということを考えると、BSCの考え方は自治体の経営に大きな気づきを与えてくれるものではないかと思います。
 しかし、企業がBSCを導入する場合と比較して、自治体BSCの障害になる点が二つあるのではないかと考えます。1つは、会計上のインフラが未整備なことです。単年度ごとのお金の出入りだけを「お小遣い帳」的に把握しただけの自治体の貧弱な会計制度(もちろん議会によるコントロールをしやすくするためという目的もあるのですが)の元で、4つの視点をバランスさせるのは困難です。また、政策が複数の目的を持つという自治体の多元的な性格をバランスさせることは、4つの視点の関係が複雑になる要因になります。業績評価するにあたってかなり大胆な割り切りをすることも求められます。
 ノースカロライナ州シャーロット市の事例のように、もともと行政とは馴染みの良いはずのBSCですが、シャーロット市も業績評価に対する長い蓄積があった上でこそBSCが機能したことを考えると、BSCによってまずあぶりだされるのは会計や業績評価の未整備の部分ではないかと考えられます。


■ どんな人にオススメ?

・BSCについて調べた自治体関係者。


■ 関連しそうな本

 松山 真之助 『会社を戦略通りに運営する バランススコアカードの使い方がよくわかる本』
 ロバート・S. キャプラン, デビッド・P. ノートン (著), 吉川 武男 (翻訳) 『バランス・スコアカード―新しい経営指標による企業変革』
 ロバート・S・キャプラン, デビッド・P・ノートン (著), 櫻井 通晴 (翻訳) 『キャプランとノートンの戦略バランスト・スコアカード』
 柴山 慎一, 森沢 徹, 正岡 幸伸, 藤中 英雄 (著) 『実践バランススコアカード―ケースでわかる日本企業の戦略推進ツール』


■ 百夜百マンガ

バランサー【バランサー】

 この人の代表作といえば「エリア88」となるのでしょうが、ジェットコースターのような場当たり的な展開は、先が読めない、という点で魅力でもあります。
 永井豪なんかも先がぜんぜん読めなくて、この先どうする気なのかハラハラしてしまいます。

投稿者 tozaki : 2005年11月01日 05:00

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