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2005年11月02日
だから、改革は成功する
■ 書籍情報
上山 信一
価格: ¥1,680 (税込)
ランダムハウス講談社(2005/10/29)
本書は、企業や官公庁の改革を数多く手がけた「改革のプロ」が、自らが学んできた改革プロジェクトを成功させる秘訣を、シンプルに分かりやすく解説したコラムです。
著者は元々運輸省の官僚でしたが、マッキンゼーのコンサルタントに転職し、多くの企業改革プロジェクトを手がけた後、ボランティアで官公庁の改革に助言をするようになり、現在では官民問わず改革をプロデュースする「改革屋」として活躍している人です。最近では、大阪市役所の改革を手がけ、一時期は毎週マスコミに登場していたので、"眼鏡をかけた丸顔のオッサン"的な風貌に見覚えのある人も多いのではないかと思います。
本書は、NHKの大ヒット番組である『プロジェクトX』的な改革に疑問を投げかけるところから始まります。場当たり的で休日返上、徹夜の作業で何とかこなすプロジェクトマネジメントの欠如、滅私奉公的な改革の陰の家族の負担、社運を賭けた逆転ホームラン狙いのリスクマネジメントの欠如、そして根拠のない精神主義。ドラマとしては大変感動的だけれども、プロジェクトXの陰には玉砕していった無数のプロジェクトがあることに気づかされます。そして、ノウハウの塊としての「改革のサイエンス」の重要性を提起しています。
本書で最も紙幅を割いて力説しているのは、改革プロジェクトである「ドリームチーム」をいかに編成し動かして行くか、という第3章「本物の改革はこうしてつくられる――ドリームチームのつくり方」です。ここでは著者が尊敬する経営者の言葉として「経営者としての真の試練は、"現場の普通の人たち"に本人も気づいていなかったパワーを発揮させることだ」というドリームチームの本質を紹介しています。また、ドリームチームの「成功の条件」として挙げられている10点は目から鱗です。
そして、ドリームチームの改革のモデルとして、前三重県知事の北川正恭氏が繰り返し述べている「北京の蝶々」というモデルを紹介しています。これは、一箇所で始まった小さな動きが次々と共鳴を呼び、大きな改革のうねりになるという分散多発型の新しいモデルです。「ドリームチーム」という言葉にはそんな思いが込められています。
そのため、現場レベルの改善活動を重視し、まず動くこと、理解はそのあと、ということを強調しています。ここで紹介されているのは、横浜市役所の写真入の名札や民営化直後のJRの挨拶の運動など小さなことですが、具体的に「明日から何をすればいいか」を伝え、とにかく実際にやってみること、まず体を動かすことが大事だと述べられています。
今週の日経夕刊には、4回連続もので著者のインタビューが掲載されていますので、まずはそちらを読まれてみるのはいかがでしょうか。
■ 個人的な視点から
本書の中で、著者は自らを改革好きな変わり者と称していますが、著者を改革に向かわせる動機の一つに、人の成長を見ること、があるのではないかと思います。ドリームチームの章を含め、本書の多くは、現場の普通の人の中から「小さな改革屋」をどんどん発掘して育てたい、という思いが込められているように感じます。きっと北川氏ならば「蝶々が飛び立った」という言葉を使うでしょう。
著者は、「改革が人を育てる理由」として、出来上がった秩序の上で営まれている日常を理不尽にこわす力量が問われる点、そして、非日常的なあらゆる問題が絡まりあった複雑な連立方程式を解かなければならない点を挙げています。
著者が代表を務める行政経営フォーラムでは、年数回の例会を開催し、事例の分析や改革のキーパーソンの講演を行っていますが、その例会を運営する運営委員はフォーラム会員の有志が担当しています。自治体の職員がこの運営委員を担当すると、お役所生活で染み付いた意思決定の遅さや形式主義的な考え方を思い知らされることになりますが、「上山さんに叱られるのが運営委員の特権」といって成長のチャンスと捉えている人もいます。
■ どんな人にオススメ?
・改革屋を目指している人。
■ 関連しそうな本
若松 茂美, 織山 和久, 上山 信一 『変革のマネジメント―明るい「リストラ」を考える』 2005年08月10日
上山 信一 『「行政評価」の時代―経営と顧客の視点から』 2005年01月21日
上山 信一, 玉村 雅敏, 伊関 友伸 (編) 『実践・行政評価―事例、解説、そしてQ&A』
上山 信一, 伊関 友伸 『自治体再生戦略―行政評価と経営改革』 2005/04/30
南 学, 上山 信一 『横浜市改革エンジン フル稼動 中田市政の戦略と発想』 2005年04月13日
■ 百夜百マンガ
「改革屋」は日常の営みの中においては"異分子"ということですが、こんな顔の異分子に侵入されたら怖いですね。オーホッホッホ(こんな笑い方でしたっけ?)
投稿者 tozaki : 2005年11月02日 07:00
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