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2005年11月06日

放浪の天才数学者エルデシュ

■ 書籍情報

放浪の天才数学者エルデシュ   【放浪の天才数学者エルデシュ】

  ポール ホフマン (著), 平石 律子 (翻訳)
  価格: ¥1,890 (税込)
  草思社(2000/03)

 本書は、1996年に83歳で亡くなるまで、ブリーフケース一つで世界中を放浪し、知人の数学者の家を突然(時には早朝に)訪ねては、「わしの頭は営業中だ」と告げ、一日19時間も数学の問題を解き続け、ホストが疲れきってしまうころに、また次の土地に旅立っていってしまうという、伝説の数学者ポール・エルデシュの伝記です。
 生涯に1500本もの論文を発表し、500人もの共著者とともに数学の世界を発見し続けたこの数学者は、財産を持たず、講演料や論文の賞金はわずかな額だけを手元に困った人や数学者の卵に惜しげもなく上げてしまい(昔借りたお金を返しに来た数学者に「あなたがされたことを他の人にしてあげなさい」と言って受け取らなかった)、多くの支援者に愛され、食事の時も美しい証明を追い続けます。
 彼はが使う言葉は、彼独特の不思議な言い回しが多用され、さらに彼のハンガリー訛りのきつさのため、テレビでは英語の字幕がついたそうです。彼は、「SF(至上のファシスト)」が独り占めしている、美しい証明が詰まった「ザ・ブック」から、この世界に一つでも美しい証明を紹介するために数多くの数学者たちに適切な問題を与え、ともに考え、知識を分け合います(他の数学者に手柄を取られないために7年間もこっそりとフェルマーの最終定理を研究し続けたワイルズの態度は、エルデシュには許しがたかったようです。)。エルデシュと共著論文を持つ数学者には、「エルデシュ数」として1が与えられ、数学者達は自分がどれだけ小さなエルデシュ数を持っているかを自慢しあうようになります(同様のものとしては、ハリウッド俳優の「ベーコン数」などがあります。)。他にも彼独特の言い回しとしては、子どもを表す「エプシロン」や「ボス(女性)」、「奴隷(男性)」、「捕獲された(結婚した)」、「雑音(音楽)」、「毒(アルコール)」、「説教する(講義する)」などがあります。
 数々の奇行とその愛すべき人柄、そして数学への莫大な貢献によって、数学者の間では伝説となったエルデシュの魅力は、数学に関心がない人でも楽しめると思います。


■ 個人的な視点から

 エルデシュは、単に頭が切れる孤独な数学者(世間一般の天才数学者のイメージ)ではなく、数多くの数学者を助けることで数多くの美しい証明を世に送り出します(彼流に言えば「ザ・ブックを覗いてきた」ということになるでしょうか。)。彼には、その数学者の能力を鋭く見抜き、少し努力すれば手が届く程度の適切な問題を出題するという能力を持っていました。だから彼が突然戸口に訪れ「君の頭は営業中かね?」と質問して滞在することを、数学者たちは困惑しながらも名誉であり、成長の機会と捉えて歓迎していたのです。
 また、彼は大変なエプシロン(子ども)好きでもありました。自分がそうだったように(というより多くの数学者が幼い頃に見出されます)、数学の素養のある子どもの噂を聞きつけると、子どもたちに適切な出題をし、世に送り出してきました(中には、途中で数学をやめてしまう(エルデシュ語で「死んだ」)子どももたくさんいたようですが。)。
 彼は、本書の著者がエルデシュについて歩いた旅行記の記事を読んで、一箇所だけ問題があることを指摘します。それは、彼がベンゼドリンという薬物を常用していたことについての内容で、「数学を目指す子供たちに、成功するためには薬物を飲まなければならないと思わせたくないからな」と語っています。こんなところにも、彼の人柄が表れています。


■ どんな人にオススメ?

・本物の天才の姿を見てみたい人。


■ 関連しそうな本

 グレゴリー・J・チャイティン (著), 黒川 利明 (翻訳) 『セクシーな数学-ゲーデルから芸術・科学まで-』 2005年11月03日
 アルバート・ラズロ・バラバシ (著), 青木 薫 (翻訳) 『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』 2005年10月24日
 E.T. ベル (著), 田中 勇 (翻訳), 銀林 浩 (翻訳) 『数学をつくった人びと』
 E・T・ベル (著), 河野 繁雄 (翻訳) 『数学は科学の女王にして奴隷』
 E. ナーゲル (著), J.R. ニューマン (著), 林 一 (翻訳) 『ゲーデルは何を証明したか―数学から超数学へ』
 ダンカン ワッツ (著), 辻 竜平, 友知 政樹 (翻訳) 『スモールワールド・ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法』 2005年09月28日


■ 百夜百音

HOT!MENU【HOT!MENU】 サディスティック・ミカ・バンド オリジナル盤発売: 1975

 数と言えば「イチロク、ザンニ、ロクヨン・・・」が専門、という方もいらっしゃいますが、そんな方におすすめなのがM8の「ファンキーMAHJANG」です。竹中直人も歌っていることは今日まで知りませんでした。
 全くの余談ですが、千葉の九十九里には世界で唯一の「麻雀博物館」http://museum.takeshobo.co.jp/があります(アドレス見ると麻雀雑誌でお馴染みの竹書房ですね。「麻雀界に恩返しをしたい」とのことです。)。


『イエローマジック歌謡曲』イエローマジック歌謡曲

投稿者 tozaki : 2005年11月06日 12:00

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