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2005年11月07日

自由からの逃走

■ 書籍情報

自由からの逃走   【自由からの逃走】

  エーリッヒ・フロム (著), 日高 六郎 (翻訳)
  価格: ¥1,785 (税込)
  東京創元社(1965/12)

 本書は、第二次世界大戦のさなか、「自由」に正面から向き合ったものです。近代人が、伝統的権威から解き放たれた「個人」となったことと同時に、孤独で無力なものとなり、新しい束縛(本書ではファッシズム)へ進んで服従するようにしたこと、逆に、積極的な自由は「能動的自発的に生きる能力をふくめて、個人の諸能力の十分な実現と一致する」ことを示しています。
 著者はこれらの二つの自由を消極的な意味での「~からの自由」と、積極的な意味での「~への自由」と述べています。そして、人は「~からの自由」の重みに耐え切れず、自由から逃れようと、当時の社会的逃避経路は、ファシスト国家の指導者への隷属であり、民主主義国家における強制的な画一化であるとしています。
 著者は「逃避のメカニズム」として、失われた「第一次的な絆」(中世において個人と社会階級を結び付けていたもの)の代わりに、個人的自我の独立を捨てて、外側の何ものかと、自らを融合させようとする傾向、すなわち「第二次的な絆」を求めようとすることを述べています。
 また、逃避のメカニズムとしては、個人が自分自身であることをやめる「機械的画一性」というメカニズムを紹介しています。これは、文化的な鋳型を受け入れることで、「私」と外界との矛盾を消失させ、孤独や無力を恐れる意識を消失させる方法です。
 著者は、ナチズムのような社会現象を、単に経済的な社会運動とだけ見るのでも、全くの心理学によって説明しようとするのではなく、心理学的な問題と社会経済的要因との両方によってナチズムが形成されていることを強調しています。
 原書が出版されたのは1941年、すなわち今から60年以上昔のものですが、現代においても全く輝きを失っていません。


■ 個人的な視点から

 私たちは普段「自由」という言葉を使っていますが、「自由を、「~への自由」という積極的な自由と「~からの自由」という消極的な自由とに分けた著者の分け方は、大変示唆に富むものでした。
 この考え方で、普段われわれが使う「自由」を分類してみるとおもしろいかもしれません。


■ どんな人にオススメ?

・「自由」とは何か、を考えたい人。


■ 関連しそうな本

 エーリッヒ・フロム (著), 佐野 哲郎 (翻訳) 『生きるということ』
 エーリッヒ・フロム (著), 鈴木 重吉 (翻訳) 『悪について』
 マックス ヴェーバー (著), 大塚 久雄 (翻訳) 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』


■ 百夜百マンガ

夜逃げ屋本舗【夜逃げ屋本舗 】

 現代社会において、社会的に逃走することには結構技術がいるはずです。特に、家族で逃げるとなるとプロの手助けがないと難しいのではないかと思うのです。

投稿者 tozaki : 2005年11月07日 07:00

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