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2005年11月21日

インターネットは民主主義の敵か

■ 書籍情報

インターネットは民主主義の敵か   【インターネットは民主主義の敵か】

  キャス サンスティーン (著), 石川 幸憲 (翻訳)
  価格: ¥2000 (税込)
  毎日新聞社(2003/11)

 本書は、インターネットによる社会変化を素材にして、民主主義、特に「討議型民主主義(deliverative democracy)」について論じたものです。著者は完全にパーソナライズされたニュース情報だけが満載された「デイリーミー」をという概念を使い、民主的自己統治の前提条件としての民主的な討議や言論の自由の意味を議論しています。
 著者は、消費者主権の究極の姿の一つである「デイリーミー」によって民主主義に深刻な問題が発生し、共有体験の減少と個人向けフィルタリングによって、広範囲の人たちから数多くの意見を聞く機会を失ってしまうことを指摘しています。そして、この問題に対するアプローチとして、「公開フォーラム」と討議方民主主義の二つを取り上げています。
 インターネットは、同じような考え方の人間が集まった「エンクレーブ(閉じ込められた土地)型討議」によって集団分極化(グループで議論をすれば、メンバーは元々の方向の延長線上にある極端な立場へとシフトする)を招きやすい傾向があることが指摘されています。ネット上のヘイトグループや過激組織(「未組織民兵」というグループもある。)で議論することで、メンバーが元々持っていた意見の方向に沿ってより過激な方向にシフトすることが知られています。そして、これらの減少は社会的カスケードと呼ばれる現象と密接に関連しています。
 本書はこの他、言論の自由、特にサイバースペースにおける規制の問題に関して、ネット上における所有権や契約に関する議論等を行っています。
 気鋭の憲法学者が、インターネットによる社会の変化を取り上げることで、民主主義に正面から迫った本書は、インターネットそのものよりも民主主義に関心のある方に読んで欲しい一冊です。


■ 個人的な視点から

 インターネット上の様々な過激なグループの問題は、これまで社会心理学などの観点から分析されることが多く、サイバー・カスケードや集団分極化などの問題が、民主主義にどのような影響を与えるか、という本書のアプローチは大変刺激的でした。
 eデモクラシーについて論じた文献の多くが、掲示板やメーリングリスト等の討議の場そのものからスタートして民主主義について論じているのに対し、社会心理学的なフィルターをかますことで、情報の受け止め方というより広い観点から民主主義にアプローチしている点が特色ではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

・ネット上で交わされる過激な政治的発言に危機感を感じている人。


■ 関連しそうな本

 ローレンス レッシグ (著), 山形 浩生 (翻訳), 柏木 亮二 (翻訳) 『CODE―インターネットの合法・違法・プライバシー』 38384
 エリック・スティーブン レイモンド (著), 山形 浩生 (翻訳) 『伽藍とバザール―オープンソース・ソフトLinuxマニフェスト』 2005年10月22日
 金子 郁容, 藤沢市市民電子会議室運営委員会 『eデモクラシーへの挑戦―藤沢市市民電子会議室の歩み』 2005年10月21日
 川上 善郎 (編集), 高木 修 『情報行動の社会心理学―送受する人間のこころと行動』 2005年11月19日
 パトリシア ウォレス (著), 川浦 康至, 貝塚 泉 (翻訳) 『インターネットの心理学』 2005年10月15日
 岩崎 正洋(編著) 『eデモクラシー』 2005年05月02日


■ 百夜百マンガ

雷火【雷火 】

 1987年にスタートした息の長い作品です。2001年に完結ということは14年!の大河ものになってしまっていました。古代社会の描写が新鮮です。

投稿者 tozaki : 2005年11月21日 05:00

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バイト中、あまりにも暇だったもんで、本一冊、読み終わってしまいました。 岩崎正洋 [続きを読む]

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