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2005年11月29日
複雑系組織論
■ 書籍情報
ロバート・アクセルロッド, マイケル・D・コーエン (著), 高木 晴夫, 寺野 隆雄 (翻訳)
価格: ¥2,520 (税込)
ダイヤモンド社(2003/06/06)
本書は、複雑系として「多様性」「相互作用」「淘汰」という性質を持つ有機的組織を理解し、活用する(原題のharnessは「馬具をつけて馬を御す」の意)ための解説書です。本書自体は、複雑系の理論そのものには踏み込まず、どのように組織を理解し活用するか、という点に重点がおかれているので数式は使われておらず、複雑系に関心を持つ人にとって読みやすいのが特徴です。ただし、より深い理解を求めるのであれば『対立と協調の科学』等に読み進むことをおすすめします。
本書では、「多様性」の事例として、軍の人事システム(長期的には、その時点で最適な人材を抜擢するよりも将来の利益を生み出す人材を開発する方がふさわしい場合がある)やリナックスの開発(知識利用よりも探査中心のアプローチが有利になる)を、「相互作用」の事例として、パットナムのソーシャルキャピタルの議論やエイズ・ウイルスの感染力との戦いなどを、「淘汰」の事例として、軍事シミュレーションの事例などを紹介しています。
著者は、複雑適応系のフレームワークとして、「戦略、人工物、エージェント、個体群、システム、型、多様性、相互作用パターン、物理空間、概念空間、淘汰、成功基準」の12を挙げ、本書の中のさまざまな事例分析も、これらの12のフレームワークとの関連で語られています。
本書は、複雑適応系の「利用」の側面を光を当てているので、「凄い!」と思う反面、「なるほど!」とは簡単には腑に落ちにくい面がありますが、複雑系の組織への利用の入門書としてはちょうど良い一冊なのではないかと思います。
■ 個人的な視点から
アクセルロッドは、『つきあい方の科学』、『対立と協調の科学』と、たまたま時代順に読み進んできましたが、ゲーム理論や複雑系の世界に馴染みのない人に奨めるのであれば、本書が一番奨めやすいかもしれません。
一時の「複雑系ブーム」(本書のタイトルもそれに便乗している感がありますが)、も一段落して、もう一度整理して複雑系の問題に取り組むガイドブックとしてもよい一冊なのではないでしょうか。
■ どんな人にオススメ?
・「組織は複雑だ」ということはわかってもどこから手をつけていいかがわからない人。
■ 関連しそうな本
ロバート・アクセルロッド (著), 寺野 隆雄 (翻訳) 『対立と協調の科学-エージェント・ベース・モデルによる複雑系の解明』 2005年11月15日
R. アクセルロッド (著), 松田 裕之 (翻訳) 『つきあい方の科学―バクテリアから国際関係まで』
ダンカン ワッツ (著), 辻 竜平, 友知 政樹 (翻訳) 『スモールワールド・ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法』 2005年09月28日
リチャード・ドーキンス (著), 日高 敏隆, 岸 由二, 羽田 節子, 垂水 雄二 (翻訳) 『利己的な遺伝子』
ロバート・D. パットナム (著), 河田 潤一 (翻訳) 『哲学する民主主義―伝統と改革の市民的構造』 2005年03月03日
■ 百夜百マンガ
数々の「ダメ男」たちを見てきた作者による極上の「ダメ男列伝」です。でもむしろ、「ダメ男につい引っかかってしまう女列伝」という趣が強い気がします。
なぜだが、作者は最近文化人っぽい扱われ方をすることが多いですが。
投稿者 tozaki : 2005年11月29日 07:00
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