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2005年12月22日
霞ヶ関構造改革・プロジェクトK
■ 書籍情報
新しい霞ヶ関を創る若手の会 (編集)
価格: ¥1,785 (税込)
東洋経済新報社(2005/11)
本書は、霞ヶ関の入省9年目の若手官僚たちが、所属する省庁の枠を超えて、「国民全体のための公務員」という基本に立ち返り、質の高い政策立案を行える霞ヶ関を創り出すための改革案をまとめたものです。「プロジェクトK」という言葉には、「霞ヶ関」「公務員」「改革」などの意味が込められているそうです。
本書の構成は、まず霞ヶ関の問題点として、総合判断を下すべき部署が欠如している点、各省庁縦割りの硬直的な人事制度、前例・横並びで非効率かつ不透明な仕事のやり方などを指摘した上で、目指すべき次世代の国家像として、
・「協創国家」―――一方的な「官から民へ」ではなく、外部との情報と知恵の共有により理想的な公共サービスのあり方と担い手の策定を行う。
・「小強国家」―――大胆な行政の効率化・スリム化と国家主導の戦略的なルール設定を行う。
・「真豊国家」―――消費者の選択肢の多様化に着目した改革。
という3つの国家像を提示しています。
本書で主張されている改革案は、
(1)総合戦略本部の設置
(2)人事制度の刷新
(3)業務の効率化・透明化
の3つからなり、それぞれに検討部会を設けて検討しています。
霞ヶ関の現役官僚が、実名で前向きな提言をしているという点ではインパクトはありますが、内容的にはその分だけ保守的な印象も受けます。それでも、霞ヶ関を離れた官僚が恨み節的に問題点をあげつらう言いっ放しの無責任な「改革案」に比べれば大きな進歩ではないかと考えます。
■ 個人的な視点から
霞ヶ関のキャリア官僚が実名で自らが将来担って行く意志を持って提言しているという点で、本書のインパクトは大きいと思います。ただし、本書の提言の内容自体にはそれほどのインパクトはないように感じます。
本書の提言は、(1)総合戦略本部、(2)人事制度改革、(3)業務の効率化の3つに分かれていますが、これらは1から3の順にマクロ~メゾ~ミクロのそれぞれのレベルの改革を意図しているものと考えられます。これらの共通するのは、よく言えば「官僚の責任感」でもあるのですが、若干「内輪主義的」な発想が感じられる点です。
特に、総合戦略本部の発想は、省庁の縦割りの弊害への問題意識を強く反映しているものだと思いますが、彼らのテクノクラートとしての自負を強く感じるとともに、大きな政治不信を反映しているものではないかと思います。どこか満州国の理想に燃えた戦前の「革新官僚」の匂いを感じてしまうのは私だけでしょうか。
また、人事制度改革にしても、主眼は官僚の中での年功序列や横並び主義の弊害排除であり、現状をスタート地点にした改革案という印象を受けます。若手官僚の発想としては、凡庸な印象を持つ人もいるでしょうが、その分現実に受け入れられやすいかもしれません。個人的には、経済界からの人材受け入れや政治任用など、人材流動化を打ち出しても良かったのではないかと感じます。
実は最も効果があるのは、最後の業務の効率化・透明化の部分かもしれません。ただし、この分野においては地方自治体の改革の方が実験が多いという点で一日の長があり、内容的には今更感のあるものもありますが、おそらくこの部分が一番効果を発揮し、成功体験を得やすい部分なのではないかと思います。
■ どんな人にオススメ?
・若手官僚のチャレンジに期待したい人。
■ 関連しそうな本
行財政構造改革フォーラム (著), 上山 信一, 樫谷 隆夫, 若松 謙維 『新・行財政構造改革工程表―「霞が関」の三位一体改革』
西村 健 『霞が関残酷物語―さまよえる官僚たち』
稲継 裕昭 『日本の官僚人事システム』 2005年02月10日
■ 百夜百マンガ
とりあえずなにはなくとも女に縁がない主人公という設定は『ラブやん』に通じるものがありますが、トホホ感に関してはまったくこちらが上手です。
投稿者 tozaki : 2005年12月22日 07:00
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