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2005年12月10日
人類の起源論争―アクア説はなぜ異端なのか?
■ 書籍情報
エレイン モーガン (著), 望月 弘子 (翻訳)
価格: ¥2,310 (税込)
どうぶつ社(1999/12)
本書は、1982年の『人は海辺で進化した』から15年を経て、著者が主張する「人類アクア説」に対する批判やその後の研究の展開を踏まえ、再度、人類の起源に関する様々な学説を整理しなおしたものです。
「人類アクア説」とは、二本足で直立歩行し、体毛を持たないと人間の特質を、人類の祖先がある時期を水辺で過ごしたために得られたものだと主張するもので、人と猿との共通の祖先から現在の人類の祖先が枝分かれした部分に当たる「ミッシング・リンク」を説明する説の一つですが、多くの研究者から黙殺されてきた「異端」の学説とされてきました。著者が「サバンナ説」と呼ぶ従来の学説では、気候の変化に伴ってサバンナが広がってきたために、人の祖先が樹上から降り、諸々の理由(遠くを警戒するため、木の実を取るため、獲物を追いかけるため・逃げるため、強い日差しを避けるため、etc.)により二足歩行を始め、諸々の理由(体温調節のため、寄生虫にたかられにくいため、etc.)により体毛を失ったとされています。これに対し「アクア説」では、浅瀬を溺れずに移動するために二足歩行を始め(浮力のためにバランスも取りやすい)、水に浸かった生活に対応するために体毛を失い、代わりに皮下脂肪を得るようになった、という説明をしています。
一方で著者は、前著で主張した内容のうち、人類が大量に流す汗や涙を、塩分を体外に排出するために発達したものではないか、という仮説に関しては、誤りを認めています。
その上で、まだ解決を見ていない課題として、(1)性、(2)皮膚、(3)体毛、(4)耳、(5)鼻、(6)血液、(7)水産物食、(8)ヒヒ抗体、(9)アファール三角地帯、の9点を挙げています。
本書は、著者の「人類アクア説」に関する集大成であり、『人は海辺で進化した』を初めて読んだ時の知的興奮はやや欠けるものの、よく整理された内容はぜひ併せて読んでもらいたいものになっています。
■ 個人的な視点から
本書の面白いところは、副題である「アクア説はなぜ異端なのか?」にも現れていますが、様々な「主流」の研究者たちが、アクア説に対してとってきた態度(黙殺であったり、宗教的ともいえる感情的な反感であったりするのですが)の方ではないかと思います。
著者は、厳密な検討がなされればアクア説の筋書きも結局は捨てざるを得なくなるかもしれない、としていますが、人類学の専門家たちが根拠をはっきり述べないままこの説を黙殺しようとしていることが研究者として正当な態度ではない、という点を批判しています。中には、人類の祖先が水辺で暮らしていたとするならば、彼らは皆ワニに喰われて絶滅してしまっていただろう、という反論を持ち出す者もあり、こんな暴論がまかり通るならば、サバンナで暮らしていた人類の祖先もライオンに喰い尽されているはずだ、と、およそ研究者らしくない反論を非難しています。
著者自身も、アクア説を正面から厳密に徹底的に批判する研究を待っているのだと思いますが、私もぜひ読んでみたいです。
■ どんな人にオススメ?
・「人類アクア説」という言葉をはじめて聞いた人。
■ 関連しそうな本
エレイン モーガン (著), 望月 弘子 (翻訳) 『人は海辺で進化した―人類進化の新理論』 2005年05月08日
エレイン モーガン (著), 望月 弘子 (翻訳) 『進化の傷あと―身体が語る人類の起源』
■ 百夜百音
【超時空コロダスタン旅行記】 アポジー&ペリジー オリジナル盤発売: 1984
3年ほど前にしし座流星群を見に行ったのですが、そのときに「月世界旅行」がFMで流れてました。確かに「星が降る」です。
夜中に道の真ん中で鹿に出会って怖かったです。向こうも怖かったと思いますが。
投稿者 tozaki : 2005年12月10日 09:00
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