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2005年12月17日

考える脳 考えるコンピューター

■ 書籍情報

考える脳 考えるコンピューター   【考える脳 考えるコンピューター】

  ジェフ・ホーキンス, サンドラ・ブレイクスリー (著), 伊藤 文英 (翻訳)
  価格: ¥1,995 (税込)
  ランダムハウス講談社(2005/03/24)

 本書は、ハンドヘルドコンピュータ「Palm」の産みの親であり、シリコンバレーの有名な成功者である著者が、「知能」について真正面から解説したものです。著者はIT業界に長年身を置きながら、知能の研究に関心を持ち続け、一度はカリフォルニア大学バークリー校で生物物理学を専攻し、2002年には記憶と認知を研究するレッドウッド神経科学研究所を設立します。
 著者がシリコンバレーの人間ということで、コンピュータや「人工知能」について書かれた本という印象を受けますが、本書の関心は「知能」そのものに向いていて、大半が人間の脳がどのように働いているのか、の解説が中心です。
 著者の関心は脳のうちでも厚さわずか2ミリほどの「新皮質」に集中して向けられています。新皮質は、コンピュータと頃なり、
・パターンのシーケンスを記憶する。
・パターンを自己連想的に呼び戻す。
・パターンを普遍の表現で記憶する。
・パターンを階層的に記憶する。
という4つの特徴を持っていることが述べられています。
 著者は、知能を解明する鍵として「予測」に着目します。そして、「記憶による予測の枠組み」を提唱し、「記憶」と「予測」、「シーケンス」、「感覚」、「行動」などの連動によって人間の「知能」が形作られていることが解説されています。
 本書をきっかけに、普段は意識をしない「知能」とは何だろう、ということを考えてみるのもいいかもしれません。


■ 個人的な視点から

 本書で述べられている脳の働き、「知能」そのものに関する解説ももちろん読み応えがありますが、印象に残るのは、第1章から第2章を中心に述べられている「知能」に対する著者の傾倒ぶりです。大学卒業後インテル社に就職した著者が、脳の働きを研究したい、とゴードン・ムーア会長に手紙を書き、専門の研究グループの設置を提案し、それが却下された後、カリフォルニアのベンチャー企業に転職し、そこでの業績を挙げたにもかかわらず、通信教育で人間生理学を学び、カリフォルニア大学バークリー校の大学院に無収入で飛び込んでいってしまいます。
 結局、著者は大学から再びIT業界に戻り、パームコンピューティング社やハンドスプリング社を設立し、シリコンバレーの成功者となるのですが、これによって得た資金をもとにレッドウッド神経科学研究所を設立してしまいます。
 どこか、ホメロスの詩に心を奪われたシュリーマンを思い出させる逸話ですが、こういう人によって、まだまだ未開の領域の多い「脳」という分野から大きな発見があるのかもしれません。


■ どんな人にオススメ?

・「知能」とは何か、という問いの答えを一緒に考えたい人。


■ 関連しそうな本

 前野 隆司 『脳はなぜ「心」を作ったのか―「私」の謎を解く受動意識仮説』
 スティーヴ・グランド 『アンドロイドの脳 人工知能ロボット"ルーシー"を誕生させるまでの簡単な20のステップ』
 フィリップ・K・ディック (著), 浅倉 久志 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』


■ 百夜百音

CYBER【CYBER】 PINK オリジナル盤発売: 0

 一時期の「サイバー・パンク」ブームの時だったせいでしょうか。PINKの音楽性もサイバーというイメージに合ってました。岡野ハジメが自分で作ったという「イカベース」が欲しかったです。こんなところも「サイバー」と言っていいのかどうか?

投稿者 tozaki : 2005年12月17日 12:00

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