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2005年12月21日

複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線

■ 書籍情報

複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線   【複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線】

  マーク・ブキャナン (著), 阪本 芳久 (翻訳)
  価格: ¥2,310 (税込)
  草思社(2005/02/25)

 本書は、複雑ネットワーク理論をベースにして一般向けに書かれた「大人向け科学読み物」です。表紙に使われている無数の点を線で結んだグラフは、ビール酵母の一種のタンパク質間の相互作用を表した図ですが、本書で扱われている分野は幅広く、ハリウッド俳優や数学者のネットワークから、転職、闇夜に明滅するホタル、電力系統ネットワーク、脳のニューロンネットワーク、生態系、感染症、経済活動、そしてインターネットまで、あらゆる分野をつなぐキーコンセプトが「ネットワーク」です。
 大雑把に言ってしまうと、最初の3分の1くらい(第1章~第4章)がワッツとストロガッツの「スモールワールド・ネットワーク」を中心にして、ミルグラムの行った実験から導かれた「6次の隔たり」や「ケヴィン・ベーコン・ゲーム」、数学者の共著関係の狭さを表す「エルデシュ数」、グラノヴェターの「弱い紐帯」、ストロガッツのホタルのシンクロなどを解説しています。次の3分の1(第5章~第9章)くらいがバラバシとアルバートの「スケールフリー・ネットワーク」をベースにして色々なネットワークの中から導き出される「べき乗則」を紹介しています。インターネットの地図や、熱した鍋に突然現れる六角形のパターン、河川の流域面積など「金持ちはより金持ちに、長い腕はより長く」なる現象を次々と紹介しています。最後の3分の1(第10章~第13章)では、グラッドウェルの「ティッピング・ポイント」と言えるような流行のきっかけとなるポイント等を紹介しています。
 複雑ネットワークに関する学術的な研究成果は、個別には一般としても紹介されていますし、複雑ネットワーク理論に関する学術書も出ていますが、この分野を俯瞰した一般書として、一流のサイエンスライターである著者の腕が光る一冊となっています。


■ 個人的な視点から

 本書で紹介されている複雑ネットワークの理論は、数学や物理学、生物学などの理系っぽい分野の他、社会学が関連する領域となっていますが、経済学の分野でグラフ理論などを用いたネットワーク分析とかしてる研究はあるのでしょうか?
 ゲーム理論の辺りではありそうな感じですが、結構経済学で扱っている様々な現象を表記する方法になりそうな気がします。具体的にはまだ全然イメージがつかないのですが。


■ どんな人にオススメ?

・複雑ネットワークの世界を俯瞰したい人。


■ 関連しそうな本

 マーク ブキャナン (著), 水谷 淳 (翻訳) 『歴史の方程式―科学は大事件を予知できるか』 2005年12月15日
 増田 直紀, 今野 紀雄 『複雑ネットワークの科学』 2005年11月18日
 アルバート・ラズロ・バラバシ (著), 青木 薫 (翻訳) 『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』 2005年10月24日
 ダンカン ワッツ (著), 辻 竜平, 友知 政樹 (翻訳) 『スモールワールド・ネットワーク―世界を知るための新科学的思考法』 2005年09月28日
 マルコム グラッドウェル (著), 高橋 啓 (翻訳) 『ティッピング・ポイント―いかにして「小さな変化」が「大きな変化」を生み出すか』 2005年02月12日
 スティーヴン・ストロガッツ (著), 蔵本由紀, 長尾力 (翻訳) 『SYNC』


■ 百夜百マンガ

のぞき屋【のぞき屋 】

 いったん『のぞき屋』の連載が終わったあと、しばらくしてから『新 のぞき屋』として再開したものです。
 ちょっと設定が変わっていますが、極端な設定を使ったキャラの立たせ方は『殺し屋1』に引き継がれていきます。

投稿者 tozaki : 2005年12月21日 06:00

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