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2006年01月10日
人事の経済分析―人事制度改革と人材マネジメント
■ 書籍情報
松繁 寿和, 中嶋 哲夫, 梅崎 修
価格: ¥3,675 (税込)
ミネルヴァ書房(2005/04)
本書は、日本企業の多くで取り組まれている人事制度改革の背景となる人事の仕組みを分析することで、日本の人事制度の構造を明らかにする事を意図したものです。
本書の構成は2部構成になっていて、第1部は人事制度の改革過程として、人事制度がどのように導入されるのか、人事制度改革はどのようなプロセスで行われるか等を、医薬品産業などの事例分析を中心に行っています。また第2部は人材マネジメントの経済分析として、生産性と賃金の関係の事例分析や、早期選抜における仕事序列競争の実態、仕事配分における管理職の手腕の発揮など、具体的な人材マネジメントの事例の分析を行っています。
「人事の経済分析」というタイトルから学術書的な印象を強く持つ人が多くいるのではないかと想像されますが、本書の内容は実務の分析を中心にしているため、経済理論的な解説は少なく、実務家が読んでも違和感無く読めるのではないかと思います。第1部では、「成果主義」を含む人事制度改革がどのように行われ、どのように従業員に受容されているか等が取り上げられていますし、第2部では、生産性と賃金の関係をテレビの視聴率とプロデューサーの賃金との関係から分析したり、ジェンダーと昇進の分析では一般的に問題視されるタテのキャリアだけでなくヨコのキャリア(業務経験の幅や支店間異動)の重要性を分析しています。
本書は、ぜひ実務家の皆さんにもタイトルにひるまずに読んでいただきたい一冊です。各章ごとに内容は独立しているので関心のある章だけ読んでも良いかもしれません。
■ 個人的な視点から
本書は、「経済分析」」と銘打っていますが、事例分析のアプローチ方法においては、一般的な経営学の人材マネジメントのテキストとそう大きくは変わらないという印象を受けました。ただし、仮説の組立ではいわゆる「人事の経済学」を理論的な立脚点にしており、その意味では「人事経済学の実証分析」という位置づけなのだと思います。
人事の分野に関しては、経営学と経済学、特にミクロ経済学をベースとした研究は非常に入り組んでいるところなので、実証分析をやろうとすると似通ったアプローチになってしまうのかもしれません。この分野での経営学と経済学の研究成果の相互乗り入れが進むことはもちろん望ましいと思いますが、「人事の経済分析」というタイトルにふさわしいアプローチとして、「経済学」にこだわった分析の手法もあっても良いかと思いました。
■ どんな人にオススメ?
・「人事の経済学」の実証分析編を読みたい人。
■ 関連しそうな本
エドワード・P. ラジアー (著), 樋口 美雄, 清家 篤 (翻訳) 『人事と組織の経済学』 2005年04月05日
八代 尚宏 『日本的雇用慣行の経済学―労働市場の流動化と日本経済』 2005年03月23日
樋口 美雄 『人事経済学』
玄田 有史 『ジョブ・クリエイション』 2005年11月09日
ポール・ミルグロム, ジョン・ロバーツ (著), 奥野 正寛, 伊藤 秀史, 今井 晴雄, 八木 甫(翻訳) 『組織の経済学』 2005年01月24日
■ 百夜百マンガ
バブル期の浮かれた雰囲気の中、「プレイボーイ」誌で若者の妄想を刺激しまくった作品。トントン拍子でなぜかもてちゃうコマちゃんを見て、マスコミ業界に憧れた人も少なくないでのは。
投稿者 tozaki : 2006年01月10日 06:00
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