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2006年01月21日
きわどい科学―ウソとマコトの境域を探る
■ 書籍情報
マイケル・W. フリードランダー (著), 田中 嘉津夫 (翻訳), 久保田 裕 (翻訳)
価格: ¥2,940 (税込)
白揚社(1997/04)
本書は、「少なくとも発見者や素人目には科学的に見える観察や理論」である「疑似科学」と正統科学との境界を調べることで、単に疑似科学の事例を紹介するだけでなく、科学の分野における不正や、政治的理由による疑似科学の支持など、疑似科学が生まれる背景について踏み込んで分析を行っているものです。
1950年に発売されたヴェルコフスキーの『衝突する宇宙』は、世界中の民族に残った伝説の類似点から、全世界を覆うような洪水は本当に起こった事実であるとし、驚くべき天文学的な事件が全地球で目撃されたのだと主張しました。このシナリオや理論には、物理学や天文学上の問題点とともに神話や伝説の引用・翻訳における欠陥や資料の恣意的な引用などのさらに質の悪い問題がありましたが、この本は、科学畑の研究者の徹底的な批判と、それに対する人文・社会畑の支持者との間での大論争を巻き起こしました。著者は、ヴェルコフスキーに対する一般の読者からの根強い支持の背景には、聖書の記述を裏付けているものであるという要素とともに、更に深い理由として、科学に対する根強い敵意が存在することを述べています。
著者は、科学の方法について、クーンの『科学革命の構造』を引用しながら、「通常科学」における科学者の多くが、広く認められている学説から直接導かれる問題について研究するという構造である「パラダイム」に立脚していることを述べます。そして、あるパラダイムのもとでは説明が付きそうにない、予測しなかった結果である「アノマリー(異常)」が蓄積されることで、理論は挑戦を受けることになります。このことによって、新たなパラダイムの採用を避けられない団塊に到達し、別の通常科学の時期を迎えることになります。
本書では、科学を支える仕組みとして、専門学術誌、会議、専門家で構成された社会の役割について論じています。もっとも重要な情報回路である専門学術誌を支えているのは、匿名のレフェリーによって審査されるピアレビュー(研究仲間による査読システム)であり、このことが掲載論運の質を維持していることが述べられています。ただし、査読は全く間違っていないことを意味するわけではなく、時には誤った方向に導かれてしまうこともあることが述べられています。この具体例として、本書では、「ポリウォーター」や「ホメオパシー」の例が挙げられています。
本書の後半では、世間を騒がした疑似科学の例として、1990年にミズーリ州で巨大地震が発生するという予知が引き起こした混乱や、ユリ・ゲラーの透視能力に関するテストの論文が、査読制度のある科学雑誌『ネイチャー』に掲載された例などが紹介されています。
また、政治によって疑似科学が指示される例として、「植物や動物がその生涯に獲得した形質を次世代へと伝えていける」という理論を主張するルイセンコがスターリンによって賞賛され、彼の主張に異議を唱えたヴァヴィロフはイギリスのスパイとして有罪にされ獄死したが紹介されています。また、ナチス時代のドイツでは、相対性理論と量子理論は「ユダヤ物理学」というレッテルを貼られて弾圧されています。政治による疑似科学への支持は、決して大昔の話ではなく、現代のアメリカでは、進化論を学校から排除しようとする創造科学の運動が盛んになっていることが紹介されています。
本書は、疑似科学がどのようにして生まれ、どのようにして支持されていくかをに切り込み、我々が疑似科学とそうでないものとを見極めるための手がかりを与えてくれます。
■ 個人的な視点から
日本にも疑似科学をネタにした商売が山のように存在してます。単に読み物として読むだけでは害は少ないかもしれませんが、多くの疑似科学にはそれに付随する利権が食いついています。オウム真理教がオカルトを入り口にして信者を集め、また脅迫する手段としていたことは有名ですが、現代の新興宗教の多くは信者への理不尽な教義を裏付けるものとして疑似科学を活用しています。また、みのもんたや堺正章に代表される民間療法の裏には、通常の医療に幻滅した患者を食い物にするインチキ療法が大きな口を開けて待っています。
日本の疑似科学ネタで大きなトピックはマイナスイオンではないかと思います。今ではトルマリンゴにだまされる人は減ってきましたが、多くの家電メーカーがマイナスイオン関連の商品を出しています。本書から学べることは、疑似科学を主張する人たちは、純粋な無知や科学への反感だけでなく、金銭的な意図や宗教的な信念に基づいているということです。
■ どんな人にオススメ?
・疑似科学を通じて科学の仕組みを理解したい人。
■ 関連しそうな本
マーティン・ガードナー 『インチキ科学の解読法 ついつい信じてしまうトンデモ学説』
マーティン ガードナー (著), 市場 泰男 (翻訳) 『奇妙な論理〈1〉―だまされやすさの研究』
マーティン ガードナー (著), 市場 泰男 (翻訳) 『奇妙な論理〈2〉なぜニセ科学に惹かれるのか』
A・K・デュードニー (著), 田中 利幸 『眠れぬ夜のグーゴル』 2005年12月25日
ジョエル ベスト (著), 林 大 (翻訳) 『統計はこうしてウソをつく―だまされないための統計学入門』 38725
伊勢田 哲治 『疑似科学と科学の哲学』
■ 百夜百音
【Greatest Hits of Brasil '66】 Sergio Mendes & Brasil '66 オリジナル盤発売: 1990
最近にもカバーされている名曲「Mais Que Nada」ですが、日本ではクレイジーキャッツが「アッと驚く為五郎」で取り入れてます。
ゲバゲバと言えば、子供の頃実家の近所でロケをやっていました。「老人たちが青春を謳歌する村」みたいな話だったように記憶しています。いつも遊んでいる近所の風景がテレビに流れているのが不思議でした。
『結成50周年 クレイジーキャッツ コンプリートシングルス HARAHORO盤』
※今日は365号目、明日でいよいよ1周年です。
投稿者 tozaki : 2006年01月21日 09:00
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