« いかに「問題社員」を管理するか | メイン | きめ方の論理―社会的決定理論への招待 »
2006年01月24日
組織文化のマネジメント―行為の共有と分化
■ 書籍情報
出口 将人
価格: ¥2,310 (税込)
白桃書房(2004/03)
本書は、これまで多くの実務家や研究者がアプローチしてきた「組織文化」に対して、論者ごとに大きく異なる定義や主張を整理し、「組織の現実を反映し、より多くの人々に受け入れられる新しい組織文化の理論を構築」することを目指したものです。
本書の構成は、大きくは2つに分けることができ、前半では過去の組織文化論の研究成果をレビューし、後半では企業合併を行った2つの企業の比較及び「コープこうべ」への聴き取り調査を行ったケーススタディという構成になっています。
本書の終章では、著者は従来の伝統的な組織文化理論が軽視または無視していたポイントとして以下の3点を浮き彫りにしたことを述べています。
(1)組織の曖昧さの意義・・・組織文化の構成要素たる普遍的な価値規範が曖昧であることに積極的な機能として、多様な状況に置かれた人々のよりどころとしての意義を有している。
(2)組織文化の行為としての側面の重要性・・・機能主義的な側面(価値規範によって行為が構築される)と解釈主義的な側面(行為を媒介として価値規範が再構築される)がある。
(3)組織文化のルールとしての側面・・・ルールとしての側面は実践的な価値規範に含まれる。
組織文化に関する多くの文献をわかりやすくまとめている点では、便利な一冊ではないかと思います。
■ 個人的な視点から
本書が目指していた「新しい組織文化のマネジメントのあり方を提示」できているかという点については、前半の理論のサーベイと後半のいくつかのケーススタディ、そして終章との関係がわかりにくく、説得力を感じませんでした。
しかし、 個々のケーススタディで扱われているインタビューは読んでいて面白いものがありました。合併企業の2つのケースで、ゆるやかで自然な融合を目指したA社においては、(1)敵対意識、郷愁などの感情的、社会的な行動、(2)効率性や合理性の無視、(3)「綱引き」に勝つためのシステムや用語の再解釈、等の障害によって融合に20年以上の期間がかかったのに対し、急速に変化する事業環境への対応を優先したB社では、効率化のために、言葉やシステムの急速な統一がトップダウンで進められ、勢力争いなど悠長なことをしている暇もなく数年で誰がどちらの出身者かがわからなくなったということが述べられています。
■ どんな人にオススメ?
・組織文化について各種学説を整理したい人。
■ 関連しそうな本
高橋 伸夫 (編著) 『組織文化の経営学』 2005年08月26日
ステファン・P. ロビンス (著), 高木 晴夫, 永井 裕久, 福沢 英弘, 横田 絵理, 渡辺 直登 (翻訳) 『組織行動のマネジメント―入門から実践へ』 2005年02月17日
金井 寿宏, 高橋 潔 (著) 『組織行動の考え方―ひとを活かし組織力を高める9つのキーコンセプト』 2005年04月27日
二村 敏子 (編集) 『現代ミクロ組織論―その発展と課題』 2005年03月26日
ギデオン・クンダ (著), 金井 壽宏 (監修), 樫村 志保 (翻訳) 『洗脳するマネジメント~企業文化を操作せよ』 2005年12月30日
佐藤 郁哉 『組織と経営について知るための実践フィールドワーク入門』 2005年11月25日
■ 百夜百マンガ
閻魔大王の息子がわざわざ人間の世界で妖怪退治をしている理由って何でしたっけ?
『るくるく』の場合は、地獄の収容能力がいっぱいになったから、という理由があったように思われます。
投稿者 tozaki : 2006年01月24日 07:00
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.pm-forum.org/MT3/mt-tb.cgi/665

【ドロロンえん魔くん 】