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2006年02月08日
狙われた自治体 ゴミ行政の闇に消えた命
■ 書籍情報
下野新聞「鹿沼事件」取材班
価格: ¥1,785 (税込)
岩波書店(2005/05/21)
本書は、2001年10月に、栃木県鹿沼市の環境クリーンセンター長が、帰宅途中に拉致・殺害されたとされる「鹿沼事件」を、地元新聞社の取材班が1年に渡って丹念に追い続けた記録です。この事件は、全国の公務員を震え上がらせたと同時に、それまで明るみに出なかった「行政対象暴力」が自治体に深く巣くっていることを表面化させ、政治結社を名乗る「機関紙」の購読の強要や脅しの実態の一部を明らかにするきっかけにもなりました。
本書の構成は、被害に遭ったセンター長の失踪から始まります。自転車での帰宅途中に、財布や免許証を残して姿を消したセンター長の家族の憔悴と、「次は自分の番かもしれない」と怯えるセンターの職員。そして、何の手がかりもなく過ぎた1年3ヵ月後、実行犯と目される4人の暴力団関係者らの逮捕と、殺害を依頼したと見られる廃棄物処理・収集運搬業者の自殺によって、事件は急展開を迎えます。そして、その5日後、殺害されたセンター長の前任者である市役所幹部が市役所で遺書を残して5階から飛び降りた姿で発見されます。
新聞で事件として扱われるのは、この3人の氏と4人の逮捕ですが、地元紙取材班は丹念な取材で事件の背後にある鹿沼市役所の「闇」に切り込んでいきます。自殺した業者と故人となった元市長との謎の「念書」の存在や、他の自治体からヤミで受け入れたゴミを市内の事業所から出たものと偽ってクリーンセンターで焼却し、その差額による莫大な利権が発生していたこと。市長の交代に伴う異例の人事でセンター長に充てられた被害者が、不正に気づき、事前協議や内容物のチェックなどを厳しくしたことに対し、業者は「会社をつぶされる」と焦りを感じていたこと。そして、殺害を依頼した業者が自分の興した会社を追われ、手がけた温泉開発事業にも行き詰っていたことなど、事件の背景にあるゴミ利権の姿を次々に明らかにしていきます。
同時に、癒着を生んだ市役所の体質にもメスが入ります。自殺した市役所幹部と業者とのズブズブの関係、市役所内部の派閥争い、そして主流派と反主流派が常に入れ替わる複雑な鹿沼の政治風土などが明らかにされます。この辺りは、地元の人間には言わずもがなのことなのかもしれませんが、土地のことを知らず始めて本書を読んだ人間には若干説明不足の感があります。また、地元過ぎるだけに書きにくいところもあるのかもしれません。
読者、特に殺害されたセンター長と同じ自治体職員にとっては、暗澹として気持ちに突き落とされる本書の唯一の救いは、この事件をきっかけに、行政対象暴力に対する世間の注目が集まり、全国的に連携の動きが出てきたことです。産業廃棄物処理場の建設計画が進む中で、何者かに襲われ瀕死の重傷を負った岐阜県御嵩町の柳川町長が被害者の自宅を訪れたり、全国で行政と警察の連携が進み始めている事実は、かすかな希望を与えてくれます。
■ 個人的な視点から
飲み会などで自治体の職員が集まると、過去の「武勇伝」が語られることが多くあります。特に生活保護や徴税に携わる中で、言葉で脅されたり、包丁を持ち出されたりという経験をする職員は少なくありません。
しかし、本書でセンター長の命を奪った暴力は、もっと深く市役所のシステムに根を下ろしたものです。突発的に起こる暴力と異なり、真綿で首を絞められるようなジワジワとした暴力の怖さは、包丁を突きつけられる怖さとはまた異なるものではないかと思います。
そして、突発的な暴力の背景には、このシステム的な暴力の存在が影を落としているのではないかと思います。つまり、「闇」と自分との関係をほのめかして恫喝する、ということを許してしまうのです。対処療法的な対策ももちろん重要ですが、情報公開によるシステム的な解決が不可欠ではないかと思います。
■ どんな人にオススメ?
・自分と家族を危険にさらしている全国の自治体職員。
■ 関連しそうな本
ベンジャミン・フルフォード 『ヤクザ・リセッション さらに失われる10年』
ベンジャミン フルフォード, 早見 恵, 土井 洸介 『ペテン師の国 ヤクザの帝国 バブルの暗黒編―政・官・財・ヤクザが日本を吸い尽くす』
門倉 貴史 『日本アングラマネーの全貌―地下経済の隠し総資産』
■ 百夜百マンガ
初期の頃は未来を知ってるタイムスリップヤクザという点が一番のポイントでしたが、徐々に丈二の大物ぶりに力点が移ります。敵もどんどんインフレしてきますが。
木更津編もあることから千葉のご当地マンガに加えてもいいかもしれません。木更津と言えばニャー!!
投稿者 tozaki : 2006年02月08日 07:00
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