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2006年02月11日

インチキ科学の解読法 ついつい信じてしまうトンデモ学説

■ 書籍情報

インチキ科学の解読法 ついつい信じてしまうトンデモ学説   【インチキ科学の解読法 ついつい信じてしまうトンデモ学説】

  マーティン・ガードナー
  価格: ¥1,785 (税込)
  光文社(2004/08/24)

 本書は、CSICOP(超常現象と称するものを科学的に調査する委員会)の機関誌である『スケプティカル・インクワイアラー(懐疑的探求者)』誌に掲載された「疑似科学観察記」というコラムを編集したもので、ニセ科学のでたらめな主張を徹底的に暴くことを目的としています。中でも、医学分野での誤った考え方は、無用の苦しみと時には死の原因にもなります。
 本書で扱われているのは、UFOに始まり、物理・技術や天文学の怪しげな珍説、宗教に科学の衣をまとった創造論・ID(インテリジェント・デザイン運動)、リフレクソロジーや尿療法などの民間療法、誰も実物を見たことのない「人食い人種」、フロイト心理学、そして宗教と多岐に渡ります。全体として言えるのは、どれも雑誌のコラムがベースになっているので、徹底的に追及しているというよりも、古今東西のニセ科学を紹介しているという感じです。
 著者は、子供向けの偉人伝に語られているエジソンやニュートンが持っていた知られざる別の顔を紹介しています。「発明王」として知られるエジソンが、人格的には奇人・変人の類であったことは子供以外には知られていることですが、彼が生涯オカルトに夢中で、晩年には死者と交信する機械の発明に夢中になっていたことが紹介されています。また、重力を「発見」したことで知られるニュートンが持つ、偉大なる数理物理学者としての顔以外の2つの顔、数十年に渡る努力を続けた錬金術師としての顔と、プロテスタントの原理主義者(ファンダメンタリスト)としての顔を紹介しています。ニュートンの人生の大半は、無意味な錬金術の実験と聖書の預言の解読に費やされていました。経済学者のケインズは、ニュートンについて、「彼のもっとも根底にある資質は、超自然的かつ深遠な、一般社会からかけ離れたものであった。だからこそ、並外れた精神力に支えられた極度の内省によって、だれにも煩わされることなく、献身的にして孤独な学問追求が可能だったのである」と述べ、彼を「最初の合理主義者」ではなく「最後の魔術師」と語っています。
 また、現在でもファンの多いフロイトの夢理論が、現代では「夢物語」でしかないと述べ、夢における「象徴」を解釈する「象徴主義」は融通が利きすぎ、「頭のよい分析家なら、対話や自由連想テストで得たデータから、どんな夢だろうとそれに当てはまる解釈、憶測を自由に引き出すことができる」と語っています。
 本書の原題である『Did Adam and Eve Have Navels?(アダムとイブに、ヘソはあったか?)』とは、ファンダメンタリストにとっては重要問題で、ヘソがなかったとすれば彼らは人間として完全ではないことになり、ヘソがあったとすれば自らが出産によって生まれたことを表すことになるからです。
 民間療法に関しては、尿療法に対する徹底した攻撃が目に付きます。民間療法として昔から人の排出物(唾液、糞便、尿)に治癒効力を求める迷信が古くからあることを紹介した上で、尿療法に関するアヤシゲな書物を次々に紹介し、「重い病気をかかえた読者が、尿を飲めばどんな病も治ると信じ込まされて、本当に命を救ってくれるかもしれない医療に助けを求めないケースを考えると、私はゾッとする。」と語っています。
 本書は、ニセ科学を徹底的に分析するという意味では、単なる紹介が主で物足りなく感じる点もありますが、ニセ科学の入門書として、様々なジャンルを押さえるという目的には適しています。


■ 個人的な視点から

 ニセ科学は何も自然科学に限ったものではありません。本書では自然科学に関するものとして「人食い人種」の問題について語っています。私たちは多くの映画や小説の中で人食い人種の話、大きな釜で茹でられたり、丸焼きにされたりする、というイメージを持っていますが、1979年に出版されたウィリアム・アレンズの『人食い神話──人類学と食人風習』は、「日常的に死体を食べ、あるいは、敵を殺して食うような文化は、現在はもちろん過去にも存在しなかった」と主張して大論争を起こしました。アレンズは、「自分たちの文化を他の文化よりも優位に置きたいという願望によって捏造された、全くの民間伝承にすぎない。」として、親しい原住民が語っていた隣の文化に対する悪口を真に受けた宣教師や人類学者によって広められたものと主張しています。
 食人の習慣が存在していたかどうかは、議論が分かれるところであり、双方から主張を裏付ける証拠が提出されていますが、ここで問題なのは、自分たちの過去から疑いもしていなかった主張を傷つけられた主流の人類学者たちがとった非科学的な態度です。激しい怒りとともに、アレンズに侮辱的な言葉を浴びせた主流の人類学者たちの態度が「科学的」な態度であったかは疑問がもたれるところではないかと思います。


■ どんな人にオススメ?

・ニセ科学の入門書を求める人。


■ 関連しそうな本

 マーティン ガードナー (著), 市場 泰男 (翻訳) 『奇妙な論理〈1〉―だまされやすさの研究』
 マーティン ガードナー (著), 市場 泰男 (翻訳) 『奇妙な論理〈2〉なぜニセ科学に惹かれるのか』
 マイケル・W. フリードランダー (著), 田中 嘉津夫 (翻訳), 久保田 裕 (翻訳) 『きわどい科学―ウソとマコトの境域を探る』 2006年01月21日
 A・K・デュードニー (著), 田中 利幸 『眠れぬ夜のグーゴル』 2005年12月25日
 ジョエル ベスト (著), 林 大 (翻訳) 『統計はこうしてウソをつく―だまされないための統計学入門』 2006年01月08日
  『』


■ 百夜百音

Mary Poppins (Original Soundtrack)【Mary Poppins (Original Soundtrack)】 Robert B. Sherman オリジナル盤発売: 2004

 世界で一番長い単語という舌を噛みそうなM-14「Supercalifragilisticexpialidocious」やM-24の「Chim Chim Cher-Ee/March Over the Rooftops」が大変有名ですが、大人が聴くと泣けてしまうのがM-8の「Spoonful of Sugar」です。作品中では、前半の子供たちに歌って聴かせる場面が伏線になっていて、後半で銀行をクビになった失意のお父さんに歌う場面で泣かせます。


『メリーポピンズ スペシャル・エディション』(DVD)メリーポピンズ スペシャル・エディション

投稿者 tozaki : 2006年02月11日 10:00

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