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2006年02月15日
校長先生という仕事
■ 書籍情報
吉田 新一郎
価格: ¥819 (税込)
平凡社(2005/04)
本書は、学校運営のプロとしての素質が要求される「校長先生」という仕事について、日米4人の校長先生に文字通り朝から晩まで丸一日行動をともにした密着取材を行い、それらを比較することで、身近でありながらあまり知られていない校長先生の立場や、学校改革の担い手としての仕事のあり方などを解説しているものです。
本書はまず、校長先生の一日を朝から晩まで分刻みで記録することから始まります。校長先生と一日行動をともにし、誰と会い、どんな話をしているのかを、日本と米国で比較し、教師との関係や、保護者や教育委員会など外部との接し方を分析しています。日本の校長先生は取材には了承してくれるものの、教師との具体的な会話には参加させてくれませんが、米国の校長先生は、せっかくなので外部から見た意見を聞かせて欲しいと積極的に議論に参加することを了解してくれます。この辺りに日米の校長先生のマネジメントスタイルの違いが現れているのかもしれません。
校長先生のキャリアについては、日本では校長先生は教頭先生の中から論文と面接によって選考されるため、一般的には50代前半が校長就任の時期になっています。教頭や校長になるための研修はなく、リーダーシップの有無は人によって大きく差が出ます。いってみれば「教員の成れの果て」が校長先生なのです。一方欧米では、教員自身が20代後半から30代前半くらいのうちに、教育に専念するか学校経営に携わりたいかを選択し、大学院などで学校経営を学び直した者が30代の半ばくらいで管理者になる例が多いそうです。
また、校長先生の人事については、日本では校長先生自身が都道府県教育委員会の裁量で人事異動があり、同一校に平均2~3年程度しか在職しません。これに対し、欧米の場合は、人事を含めた意志決定の多くは学校単位で行われるため良い校長は20年くらい同じ学校にいる例もあるそうです。逆に仕事の出来や理事会との折り合いの悪い校長は2~4年に一度行われる再雇用の審査によって解雇されるというチェックの仕組みもあります。
校長先生の権限に関しては、日本の校長には教員の人事に関する権限が無く、教育委員会の人事によって学校というチームが編成されていることが大きな影を落としていることが指摘されています。著者は、教育委員会の人事で「ぞんざいにつくられた」組織は機能しないと指摘しています。日本では教育に対する考え方などの共通理解を前提にしていないので、職員会議でも語られず、学級担任や教科担任にお任せした「教室王国」が存在する原因になっていると述べられています。
本書は、校長先生と日頃から接している教育関係者はもちろん、子供の教育を任せている親にとっても、校長先生という仕事のあり方を理解する上で大事な視点を与えてくれる一冊です。
■ 個人的な視点から
最近は、一部ではありますが、教員からではなく民間企業での管理職経験者などから公募で選んだ「民間人校長」が全国で増えて来つつあります。彼らが校長に就任してから感じるのは、校長先生にはまるで権限がない、ということだそうです。教員の人事権が無く、教育について議論することすら少ない中で、「教室王国」の厚い壁に阻まれることは本書の中で述べられていますが、本の数万円の校舎の修繕や新しい試みをやるにも、いちいち教育委員会にお伺いを立てねばならず、彼らがイメージしていた「管理者」としての校長先生の立場とはかけ離れていることにショックを受ける人も少なくないようです。
一方で、お金や権限はなくても対話と行動力で学校を変えている校長先生も数多くいます。学校の変革者としての校長先生のあり方、人選などについてはもっと多く語られても良いように思います。
■ どんな人にオススメ?
・子供の教育を誰に託していいかわからない人。
■ 関連しそうな本
大島 謙 『高校を変えたい!―民間人校長奮戦記』 2006年02月13日
藤原 和博 『公立校の逆襲 いい学校を作る!』 2005年06月17日
金子 郁容 (編著), 玉村 雅敏, 久保 裕也, 木幡 敬史(著) 『学校評価―情報共有のデザインとツール』 2005年02月25日
藤原 和博 『世界でいちばん受けたい授業―足立十一中『よのなか』科』
藤原 和博, 天野 一哉 『民間校長、中学改革に挑む』
■ 百夜百マンガ
競艇という少年誌ではありえないようなジャンルでヒットしてしまったこの作品。
同じくオヤジ向けギャンブルだった競馬が『風のシルフィード』や『マキバオー』で浸透したことに刺激されたのでしょうか。
実際には『ギャンブルレーサー』の現実が待っているのですが・・・。
少年誌のギャンブルマンガとしては、『少年雀士 東』なんてのもありました。
そういえば日本財団のビルにはこのポスターが貼ってありましたです。
投稿者 tozaki : 2006年02月15日 07:00
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