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2006年03月19日
世界をだました男
■ 書籍情報
フランク アバネイル, スタン レディング (著), 佐々田 雅子 (翻訳)
価格: ¥700 (税込)
新潮社(2001/11)
本書は、映画『Catch Me If You Can』の原作になった、天才詐欺師フランク・アバネイルの自伝的小説です。最初は、裏づけのない小額の小切手を恐る恐る使っていた著者は、21歳までに250万ドルを「稼ぎ」出します。
文房具店を営む父親の元で裕福に育った著者は、15の時に父親のカードを使い込み、1年間矯正施設に放り込まれますが、その間、父親の商売は傾き、ほとんどの資産を手放し、大きなピカピカの2台のキャデラックを持つ百万長者は、ボロボロのシボレーに乗った郵便局員に変わっていました。落ちぶれた父親は著者にこう語ります。
「人は何を持ってるかじゃなくて、何であるかが重要なんだ。(略)わたしは自分がどんな人間で何をしているかを心得ておる。それが大事なんだ。人がわたしをどう思うかじゃなくてな。わたしは自分を正直な人間だと思っておる。それは大きな車を持つよりも大切なことだ……人は自分がどんな人間で何をしているかを心得ている限り、間違ったことはせんものだ」
「親の小言と冷酒は後で効く」と言いますが、15歳の著者にはこの言葉の意味はわからなかったようです。
著者が詐欺に手を染めるきっかけは、同じ年頃の少年たちと変わらずナンパの軍資金不足でした。ニューヨークに家出した著者は、ハイスクールを中退した16歳の少年に稼げるお金はわずかであることを思い知らされますが、背も高く老け顔だった少年は、年齢を10歳偽り、人々が人物ではなく身なりや肩書きしか見ていないことに気づいてパンナムの制服を手に入れます。この手の詐欺師のお約束どおり、航空業界に関する知識は、落としたスチュワーデス達との会話から吸収し、ついには他の航空会社の乗務員席に「デッドヘッド」で便乗して各地を転々とするまでになります。
その後、ニセパイロット姿での手形詐欺の手口がばれそうになると、しばらく身を隠すためにマンションを借りますが、そこでたまたま職業を医師と名乗ったために、人手不足の病院で小児科医を担当することになってしまいます。この他にも、州の司法長官の下で法務官として働いたり、大学の社会学の集中講座を担当したりと、さまざまな社会的地位の高い専門職の仕事をこなしてしまいます(ティーンネイジャーなのに!!)。この裏には、手形偽造で身につけた技術を活かしてハーバードの成績証明書や大学の学部長の推薦書やらを使ってはいるのですが、それでも付け焼刃的な知識を集中的に詰め込んで、司法試験に通ってしまったり、大学で講義をしたりと、著者の集中力と立ち回りのうまさが光ります。
著者は、「もっとも当たりのいい小切手詐欺師は、優位に立つ三つの要素を持ち合わせている」として、以下の3点を挙げています。
(1)人間的魅力:身だしなみが重要。トップクラスの詐欺師は、立派な服装をして、信用と権威を感じさせる雰囲気をにじませている。
(2)観察力:並みの人間なら見落としてしまう枝葉末節まで気づく能力。あとから伸ばすことができる。
(3)調査能力:世界中のどんな銀行のどんな窓口係をもしのぐほど小切手についての小切手についてよく知っている。
もちろん、映画を見るのも手っ取り早くていい方法ですが、本書は、小説ならではの緊張感を味わうことができると思います。
■ 個人的な視点から
著者は、至る所で詐欺を働き、出会う人をことごとく騙しますが、それでも憎めないのは、彼が金を巻き上げるのは小切手を現金化してくれる銀行窓口や空港やホテルのカウンターばかりであり、その意味では一般人から金を巻き上げて路頭に迷わせるタイプの詐欺師ではなかったからでしょうか(小説化に当たって隠しているだけだということもあり得ますが。)。
何しろ好人物である著者は、女性に持てるのはもちろん、その家族にもいつも気に入られます。両親に紹介されることも多かった著者は、パリの印刷屋に偽造小切手を作らせることもありましたが、基本的には好青年の印象を残したまま去っていきます。しかし、それでもなかなか逃げ切れない場面もあり、サンフランシスコのアメリカン航空のスチュワーデスの家族とどんどん結婚式の段取りが進んでしまいます。ついに真相をあかすシーンは次のようなものです。
「ロザリー、実は、私はパンアメリカンのパイロットじゃないんだ。二十八歳でもないんだ、ロザリー。ほんとは十九歳だ。名前もフランク・ウィリアムズじゃない。フランク・アバネイルだ。わたしは悪党なんだ、ロザリー。ペテン師で、小切手詐欺師だ。警察から全国に手配されている」
映画を見たわけではないのですが、彼女のポカーンという表情が目に浮かぶようです。
ルパン3世とかが好きな人、子供の頃江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズにハラハラドキドキした人は今でも楽しめるでしょう。
■ どんな人にオススメ?
・憎めない悪党が好きな人。
■ 関連しそうな本
フランク・W・アバグネイル (著), 高橋 則明 (翻訳) 『華麗なる騙しのテクニック 世界No.1の詐欺師が教える』
ゴードン・スタイン/編著 井川ちとせ/〔ほか〕共訳 『だましの文化史 作り話の動機と真実』 2006年03月18日
デービット・カラハン (著), 小林 由香利 (翻訳) 『「うそつき病」がはびこるアメリカ』
DVD 『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』
江戸川 乱歩 『少年探偵団 少年探偵』
■ 百夜百音
【特撮狂 TOKUSATZCREW】 オムニバス オリジナル盤発売: 1999
最近戦隊モノも新しいシリーズに変わりましたが、学生時代に「恐竜戦隊ジュウレンジャー」の子供ショーでバイトしてました。残念ながら低予算だったので、ティラノレンジャー(赤)1人&悪ボス1人という構成だったように記憶しています。
ちなみに、スーパー戦隊シリーズは80年代の「○○○マン」系の名前から、このジュウレンジャー以降はほとんど「○○レンジャー」系の名前に戻ってしまってます。
アメリカにも輸出されましたが、名前がやばいということで「パワーレンジャー」に変更されています。
投稿者 tozaki : 2006年03月19日 06:00
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