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2006年03月18日
だましの文化史 作り話の動機と真実
■ 書籍情報
ゴードン・スタイン/編著 井川ちとせ/〔ほか〕共訳
価格: ¥2,940 (税込)
日外アソシエーツ(2000/01)
本書は、歴史に残った「だましの芸術」である作り話の多くをまとめたものです。本書で取り上げる作り話には、金目当ての嘘である詐欺は含まれておらず、金銭的な報酬とは無関係にでっち上げられ、嘘がばれるまで続くという特徴があります。
本書の構成は、歴史を変えた作り話、科学と発見と作り話、考古学にまつわる話、贋作と芸術にまつわる話、文学にまつわる話、音楽にまつわる話、いんちき写真術、宣伝用作り話、悪意なきいたずら話、実話だった話、の10章からなります。
歴史を変えた作り話としては、1887年から89年に刊行された『アプルトン・アメリカ伝記事典』のなかに100件を超える架空の人物がでっち上げられています。この悲劇が起きた原因は、編集委員が掲載項目を選定してから執筆者に依頼するという通常の時点であれば踏まれるはずの手続きが行われず、専門家を含む執筆者任せにし、架空の人物をでっち上げるほど報酬が増えるという契約形態であったために起きたと考えられています。
また、大きく歴史を変えた最大級の嘘として、ローマ教皇庁による1200年に渡るイタリアの支配の根拠となった「コンスタンティヌスの寄進状」が紹介されています。この寄進状は750年頃に書かれたものと考えられますが、コンスタンティヌス1世が337年に死んでいることから、歴史上何度もその信憑性を疑われてます。
さらに、人前に出ることを徹底的に嫌う有名人であるハワード・ヒューズの伝記をでっち上げた事件や、切り裂きジャックを英国王室を巡るスキャンダルと結びつけた話、ノストラダムスの『諸世紀』の様々な後知恵での解釈、ホロコーストにつながった『シオンの議定書』等が紹介されています。
科学と発見を巡る作り話としては、UFOやビッグフットの他、月に住んでいる「こうもり人間」や「ジャージーの悪魔」等が紹介されています。中には、インド奇術師が行う、空にロープを投げてそこを登っていく、という手品の種明かしが紹介されています。さらに、この手のお話の定番として、「創造説」論者達の地質学も紹介されています。また、嘘が嘘を呼ぶ例として、UFOで有名なアダムスキーをだますために、「国務省は貴兄の主張を裏付ける多くの証拠を保管している」という国務省の書簡を偽造して送りつけた話まで紹介されています。
芸術にまつわる話としては、アルフレッド・I・デュポンが、ディーラーから先祖の肖像画として売りつけられそうになった贋作を、額縁の価値くらいにはなる千ドルまで値下げさせ、更に、その肖像画の下から現れた17世紀の聖母子像が15万ドルの値を付けた話が紹介されています。
この他、イリノイ州リヴァプール出身の偽ビートルズやコナン・ドイルが入手したコティングリーの妖精の写真、ロンドンのビッグベンがデジタル化されるというBBCのエイプリルフール報道が紹介されています。
本書に収められている「作り話」は、その一つ一つにまつわるエピソードに魅力があるところがポイントではないかと思います。
■ 個人的な視点から
本書の最終章には、「実話だった話」として、偽造だと思われていた始祖鳥の化石や、各地の宗教的行事で使われる「火渡り」等が紹介されていますが、その中にウィリアム・アレンズの『人食いの神話』の件が紹介されています。これは、よく言われる人食いの風習を持った部族はいない、としたものですが、その後の検証によって、アレンズが見逃していた事実や間違いが指摘され、やはり人食いの風習は実話であった、としているものです。
また、1938年にアメリカでパニックを起こしたH・G・ウェルズの『宇宙戦争』のラジオ放送のエピソードは有名ですが、本書には、その数年後に、チリとエクアドルで放送されたときの更に大きなパニックが納められています。これは、パニックによって心臓発作で倒れる人が続出したほか、怒った群衆が暴徒となってラジオ局を取り囲み、投石の上、焼き討ちしたという事件です。当時のラジオへの信頼性の高さを伺い知るとともに、情報リテラシーの重要性を表すエピソードなのではないかと思います。
■ どんな人にオススメ?
・作り話の面白さを楽しめる人。
■ 関連しそうな本
フランク アバネイル, スタン レディング (著), 佐々田 雅子 (翻訳) 『世界をだました男』
マイケル・W. フリードランダー (著), 田中 嘉津夫 (翻訳), 久保田 裕 (翻訳) 『きわどい科学―ウソとマコトの境域を探る』 2006年01月21日
マーティン・ガードナー 『インチキ科学の解読法 ついつい信じてしまうトンデモ学説』 2006年02月11日
マーティン ガードナー (著), 市場 泰男 (翻訳) 『奇妙な論理〈1〉―だまされやすさの研究』
マーティン ガードナー (著), 市場 泰男 (翻訳) 『奇妙な論理〈2〉なぜニセ科学に惹かれるのか』
■ 百夜百音
【HEAVY GAUGE】 長渕剛 オリジナル盤発売: 1983

タイトル曲を聴いたときには30歳は遥かかなた、半分にも満たない歳でしたが、いつの間にかこの僕も30歳をとうに越してしまいました。
でも僕のギターにはいつもHeavy GaugeならぬExtra Light Gaugeが張ってあります。何しろ、「USE EXTRA LIGHT STRINGS ONLY」と書いてあるものですから。
投稿者 tozaki : 2006年03月18日 06:00
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