« 少子高齢社会のみえない格差―ジェンダー・世代・階層のゆくえ | メイン | 本棚の歴史 »
2006年03月11日
反社会学講座
■ 書籍情報
パオロ・マッツァリーノ
価格: ¥1,500 (税込)
イースト・プレス(2004/06/20)
本書は、いかに社会学者が適当な思いつきをこじつけて社会学的研究として世の中に悪い影響を与えているか、ということを社会学的手法を使って論じる、という社会学のパロディです。
著者は、イタリア生まれの天然パーマで髭もじゃ(吉田戦車画伯の手による表紙を参照)で、九州男児を父に持つ幕張在住の大学講師とのことですが、やたらと日本語が上手です。
本書の冒頭で紹介されている「キレやすいのは誰だ」は、web上でも紹介されているので、まずはそちらをお読みください。「凶悪な少年犯罪の増加」というマスコミ報道やワイドショーの論調が、いかに根拠のないものであるかを、戦後の凶悪犯罪のグラフを元に指摘し、戦後もっともキレやすい世代を昭和35年当時17歳だった現在の中高年世代であるとしています。つまり、今の若者はキレやすくなったと嘆く世代が一番凶悪だったということです。
この他、
・公平な世の中を作るためには、成功した親の財産を食いつぶすバカ息子の存在が手っ取り早いこと
・「はたらけど はたらけど~」の石川啄木が貧しかった原因を芸者遊びが過ぎたためであることを指摘しながら、「日本人は勤勉」というイメージは戦後に作られた幻であること
・研修講師が多用する「メラビアンの法則」(見た目55%、話し方38%、内容7%)が研修講師によってねじ曲げられたでっち上げであること
・「ふれあい」という言葉が、二階堂進と福田赳夫によって役人に都合の良いダークサイドに落とされたこと
・ヨーロッパの若者は大学進学時に家を出て自立するというのは至れる尽くせりの援助によるものであること
・心理学者に逆らう者はすべて心に傷を抱えた精神異常者と見なされること
・すでにマンションに住んでいる住民が新たなマンション建設に反対することは現代版『蜘蛛の糸』のような話であること
・少子化問題と騒がれているのは、財界人達が「俺たち一握りのセレブのために安月給で働く労働者が減少しては困る」という庶民を見下した心配であること
・「仕事と家庭の両立」と言っているのは、程度に仕事ができて、まずいけど食えないことはない料理を作れて、洗濯機と掃除機の使い方は知っているという程度の器用貧乏でしかないこと
・社内でもいつ刺客が襲ってくるかわからないので、ビジネスマナーとしてお客様の心臓を保護するために左斜め前を歩かなければならないこと
等が紹介されています。
ひとしきり笑った後で、「社会学者によると~」という研究成果とやらを疑ってみる目を持てるのではないかと思います。
■ 個人的な視点から
本書で一番印象に残ったのは、1972年に起こった「ふれあい求めてハンスト事件」です。これは、定時制高校の女性とが自殺したことにショックを受けた前の生徒会長が、
1.これ以上仲間を殺すな。
2.自分たちの利益を守ろう。
3.定時制の総点検。
の3つの要求を掲げてハンストを行ったという事件です。
これに対する学校側の対応は、「要求がわからない」と困惑したものでした。そりゃそうですね。
■ どんな人にオススメ?
・社会学者と心理学者の言うことを鵜呑みにしやすい人。
■ 関連しそうな本
A・K・デュードニー (著), 田中 利幸 『眠れぬ夜のグーゴル』 2005年12月25日
ジョエル ベスト (著), 林 大 (翻訳) 『統計はこうしてウソをつく―だまされないための統計学入門』 2006年01月08日
谷岡 一郎 『「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ』 2005年12月13日
ダレル・ハフ (著), 高木 秀玄 (翻訳) 『統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門』
ゲルト ギーゲレンツァー (著), 吉田 利子 (翻訳) 『数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活―病院や裁判で統計にだまされないために』 2006年01月14日
ビョルン・ロンボルグ (著), 山形 浩生 (翻訳) 『環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態』 2005年09月19日
■ 百夜百音
【Funky Magic】 Jungle Brothers オリジナル盤発売: 2005
ドラマがリメイクされて主題歌もMonky Majikなるバンドが担当していますが、そのバンド名の由来にもなっているのがイギリスで放送された「西遊記」の英語吹き替え版である『MONKEY』というドラマで、現地ではカルト的な人気を誇り、DVDも発売されているそうです。
そんな人気を背景に、ゴダイゴの主題歌をサンプリングしたのがこのCDです。試聴もできるので元曲との違いを楽しんでみてください。
『Monkey! - The Complete Series』
投稿者 tozaki : 2006年03月11日 06:00
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.pm-forum.org/MT3/mt-tb.cgi/963
このリストは、次のエントリーを参照しています: 反社会学講座:
» Dizionario inglese. from Dizionario italiano inglese.
Dizionario italiano inglese wordreference com. Dizionario italiano inglese. D... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2006年11月05日 03:02
