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2006年04月12日
「良い建築を安く」は実現できる!―建築コストを20%も削減するCM方式
■ 書籍情報
【「良い建築を安く」は実現できる!―建築コストを20%も削減するCM方式】
桑原 耕司
価格: ¥1,575 (税込)
ダイヤモンド社(2001/10)
本書は、「建築の知識や情報のない建築主の守り手になるような仕事がしたい」という思いから、「建築主の立場に立ち建築主の利益のためにさまざまな業務を行う、JCM(日本型コンストラクション・マネジメント)」という事業を行っている著者が、「日本の建築がどのような仕組みで行われているのか、それはどうしてそうなっているのか、どこが問題なのか、どうしたらよくなるのか」について解説しているものです。
「良い」とか「安い」の基準がつかみにくい建築にあって、著者は、同じ建築費でより良いものを、同じ設計のものをより安く造ることができる余地がたくさんあると述べ、本書にはいくつかの実例が紹介されています。
著者が建築費を大幅に下げることができるやり方としているのは、発注業務の代行です。一般には、設計者が建設会社から見積りを取ることが多いこの業務を、建築主に代わって行うことで、コストダウンが可能になると述べられています。そのために、総合建設会社以外にも地域の専門工事会社や建材メーカーを含めた発注説明会を開催しています。総合建設会社の「協力会」というお抱え専門工事会社以外の会社を含めて見積りを取り、専門工事会社を入れ替えることで、コストダウンをはかっています。ここでポイントになるのは、一番低額の会社を基準にするのではなく、低額三社の平均額を基準にすることで、ダンピングによる不適正な工事の防止を図っていることです。
また、見積り項目の中に「工事利益」という項目を入れた「見積内訳明細書」の記入を求めていることも特徴です。一般的には、各工事項目の中に利益をちりばめ、その上で「出精値引」と称していくらか値下げする見積が多い中で、各工事原価を明らかにするこの方式は、無理な請負金額の引き下げではなく、建築主が納得する妥当な範囲で儲けてもらうことを意図しています。
著者は、「本等に良い建築」とは、「建築の『目的』が明確であり、その目的を実現するための機能と品質が満たされており、その目的に照らして無駄や過剰がない」ものであると定義しています。そして、建築主を含めて、「何のために建てるのか」という本質的な議論の不足を指摘しています。そして、検討の方法として、以下の7点を挙げています。
○良い建築のための7つのフィルター
(1)機能性:使い勝手は良いか・快適か
(2)品質性:壊れないか
(3)安全性:けがが起きることはないか
(4)デザイン:美しいか・意外性はあるか
(5)経済性:無駄や過剰はないか・投資に見合う価値があるか
(6)人間性:社員が育ち、人が集まるか
(7)社会性:社会に受け入れられるか・環境に配慮しているか
著者は、世に蔓延る「建築家」という言葉に問題意識を持っています。そして、「『建築家』や『先生』の意識のうえに成り立っている設計者はまた、大嘘つきでもある。」と指摘しています。そして、建築費を高くする要因となっているとして、以下の3点を挙げています。
(1)エレベーターや空調機などについての「メーカー指定」
(2)メーカーや工事店への「設計協力依頼」
(3)図面だけ渡して工事金額を出させる発注業務のやり方
この他、専門工事会社、建材メーカー、総合建設会社、官僚への批判も展開していますが、一番の問題は「建築主」にある、と指摘している点が痛快です。具体的には以下の8点を指摘しています。
(1)任せっぱなし
(2)あれこれうるさい
(3)予算を明らかにしない
(4)坪単価だけを論じる
(5)設計料を値切る
(6)すべて設計者のせいにする
(7)工事会社を指名する
(8)契約外のことまで建設会社にさせる
本書は、自宅だけでなく、公共工事を含めた全ての工事に関わる人にとって、ぜひ一度目を通していただきたい一冊です。
■ 個人的な視点から
前の佐賀市長の木下氏は、本書を読んで、実際に小学校の建設において、著者の会社にCMの導入を依頼しています。詳細については、同じ著者による『公共事業を、内側から変えてみた』に書かれていますが、約1億円のコストダウンに成功しています。
ただし、この方式は地場の建設業界による談合組織に手を突っ込む行為となってしまうために、選挙を控えた首長には不利に働くようです。このことだけが原因ではありませんが、次の選挙で木下前市長は落選してしまいます。
公共事業の「本当の建築主」である市民のためのCMの前には大きく厚い壁が立ちふさがっています。
■ どんな人にオススメ?
・納得のいく建築を発注したい人。
■ 関連しそうな本
桑原 耕司 『公共事業を、内側から変えてみた』 2006年02月22日
桑原 耕司 『建設業のコンストラクションマネジメント』
鬼島 紘一 『「談合業務課」 現場から見た官民癒着』 2006年03月15日
加藤 正夫 『談合しました―談合大国ニッポンの裏側』
武田 晴人 『談合の経済学―日本的調整システムの歴史と論理』
ベンジャミン・フルフォード 『ヤクザ・リセッション さらに失われる10年』 2006年02月18日
■ 百夜百マンガ
『ドクタースランプ』&『ああ女神様』+育成ゲームみたいな感じでしょうか。
パターン的には『コンパイラ』とかでもいいのですが・・・。
投稿者 tozaki : 2006年04月12日 06:00
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