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2006年04月29日
ニッポンマンガ論―日本マンガにはまったアメリカ人の熱血マンガ論
■ 書籍情報
【ニッポンマンガ論―日本マンガにはまったアメリカ人の熱血マンガ論】
フレデリック・L. ショット (著), 樋口 あやこ (翻訳)
価格: ¥1470 (税込)
マール社(1998/03)
本書は、サンフランシスコ在住の作家、翻訳家、通訳で、日本マンガのフリークである著者が、永年にわたって観察してきた日本のマンガ、マンガ産業、そしてマンガを通して見える日本社会を記録したエッセイ集です。本書は、元々英語圏の読者向けに1996年に出版されたものを日本語に翻訳したもので、時期的には今から10年以上前の状況が紹介されています。
著者は、「なぜ、日本人がこんなにもマンガが好きなのか」という疑問に、「日本人は、昔からマンガ好きな民族だったから」と答え、日本のマンガの源流を12世紀の「鳥獣戯画」に求めながらも(本書の冒頭には、「鳥羽僧正覚猷(1053-1140)の例にこの本を捧げます。」と記されています。)、その直接的な源流を、18世紀から19世紀初期にかけて盛んだった「鳥羽絵」と「黄表紙」であるとしています。そして、日本の「マンガ」と米国の「コミックス」の違いを、出版形式や価格などの他、より図解的であることなどとしています。そして、外国人にとってマンガをお奨めしたい理由として、「マンガを読むことは、『たてまえ』のむこうのありのままの日本文化を知ることだ」としながらも、なによりも、「マンガがひたすらおもしろいから。ただそれだけなのだ。」と述べています。
本書は、日本のマンガの裾野の広さを表すものとして、「コミケット」や「スーパー・コミック・シティ」などのコンベンションを紹介するとともに、そこで販売される同人誌の作者でも読者でもある「オタク」についても言及しています。
一方で、1990年代に問題になっていたオタクの犯罪としての「宮崎勤事件」や、マンガやアニメの影響を大きく受けた「オウム真理教事件」などについて触れるとともに、外国人からよく指摘される、「なぜ日本のマンガは、こんなに暴力とポルノだらけなんですか?」という疑問に対し、日本が米国に比べて犯罪の件数が少なく、日本におけるファンタジーと現実のギャップが大きいので、日本のマンガファンは、両者の区別をつけるのがうまい、という点を述べています。また、アメリカン・コミックが1950年代の政治的社会的要請を受けた過酷な自主検閲制度によって「無害化」されていったことにも触れています。
また、1990年代前半に日本で巻き起こった「有害マンガ撲滅運動」が、家庭の主婦やPTA、フェミニストグループ、政治家を巻き込み、全国でわいせつマンガを追放する条例が制定され、多数の出版元や書店の主人が逮捕される事態になったこと、「有害雑誌回収ポスト」なるものが全国に設置されたことなどを紹介し、出版社が「自粛」を行い始めたことなどが述べられています。
同様に、マンガの特徴である「戯画化」という点にたいして、「黒人差別をなくす会」という大阪の有田利二氏一家(有田夫妻と子息)を中心とするグループが、「日本のマンガには、アフリカ系の人々に対する否定的な表現があふれている」として、数多くの出版社と米国の宗教団体や市民団体に抗議活動を開始したことが述べられています。
本書はこの他、日本のマンガ雑誌がどれほど細分化されているかを、小学3年生くらいをターゲットとした「コロコロコミック」から、女性向けの男同士の恋愛ストーリーが満載の「June」、麻雀、パチンコマンガ、「ヤンママコミック」、「ガロ」まで幅広く紹介するとともに、「注目すべき作家たち・作品たち」として、「ドラえもん」や「ナニワ金融道」などのメジャー作品から、花輪和一・丸尾末広や湯村輝彦などのマニアックな作家まで紹介しています。
また、生前親交があり、アメリカでの通訳や案内を引き受けてきた手塚治虫の人物像や作品に関する解説も充実しています。
本書は、350ページ近くあるうえに、文字は文庫本並に小さく、普通のレイアウトならば600~700ページにわたるのではないかという大著ですが、海外から見た日本のマンガの姿(それも凄くマニアック)をしることができる貴重な1冊ではないかと思います。
■ 個人的な視点から
本書には、幕張で開催されていた「コミケット」が再び晴海に戻らざるを得なくなった事情についても言及されています。それは、全国的な「有害マンガ撲滅運動」の動きが、千葉県に波及し、「青少年健全育成条例」が改正されたことで、「有害な書籍や雑誌を青少年に見せたり売ったりすることまかりならぬ」ということになったからだということです。
では、「有害」とは何か、と言えば、「県の説明によると、全紙面の20ページ以上にわいせつシーンが描かれている同人誌は、「有害」だそうだ」ということです。
■ どんな人にオススメ?
・外から見た日本のマンガ文化に関心がある人。
■ 関連しそうな本
夏目 房之介 『マンガの深読み、大人読み』
夏目 房之介, 宮本 大人, 鈴賀 れに, 瓜生 吉則, ヤマダトモコ 『マンガの居場所』
中野 晴行 『マンガ産業論』
手塚 治虫 『ぼくはマンガ家―手塚治虫自伝』 2005年05月28日
大塚 英志, ササキバラ ゴウ 『教養としての〈まんが・アニメ〉』
竹熊 健太郎 『マンガ原稿料はなぜ安いのか?―竹熊漫談』
■ 百夜百音
【Yellow Fever】 Senor Coconut オリジナル盤発売: 2006
YMOをラテンで演奏してしまうというものです。
初めてYMOを聴いたときは、その不思議なサウンドに、子供心に未来っぽさを感じたものですが、生楽器で演奏すると曲そのものの魅力の高さがわかります。
投稿者 tozaki : 2006年04月29日 06:00
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