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2006年04月26日
情報編集力―ネット社会を生き抜くチカラ
■ 書籍情報
藤原 和博
価格: ¥1,575 (税込)
筑摩書房(2000/03)
本書は、「何がほんとうに、二十一世紀に生きるわが子の"生きるチカラ"につながるのか?」という著者の疑問を、教育と外の世界とのエッジで活躍する6人との対談の中でぶつけているものです。
トップバッターの松岡正剛氏との対談では、本書のタイトルともなっている「編集」という言葉を、「ある情報に対して、その情報を意味づけ、別の形で再生しなおす作業」という定義づけを行っています。これは、一般に使われる雑誌などの「編集」に限らず、回転寿司も編集的であると広く解釈されています。すなわち、「回転寿司では、色々ある素材の中からその日のネタを仕入れてくるわけでしょう。しかも、客の入りや好みを判断しながら、ネタの種類を選び、数を調整し、出す順番を考えて、色々のセットを皿ごとに組み合わせて、タイミングよくコンベアに載せていく。これはもう立派な編集です(笑)。」と述べられています。
また、キリスト教と武士道の共通点も指摘されています。そして、武士道に愛を加えたものが、明治の日本の私学の学校教育のスピリットになって言ったことが述べられています。
さらに、松岡氏の持ちネタの一つではありますが、『シンデレラ』の物語は世界中に800ものバージョン違いがあって、信濃川流域にも62のバージョンがあることが紹介されています。この人間が持っている物語の「母型」を「物語回路」(ナラティブサーキット)と呼び、人間がバラバラの情報をまとめるためのモデルであるという仮説を述べています。
松岡氏との共著も多い金子郁容慶應幼稚舎長との対談では、教育する側が意図的に刺激を与え、自発的反応を受け止める場を作るために、フィードバックとしての評価の必要性が述べられています。そして、本書のタイトルである「情報編集力」を、「どうやって情報をオーガナイズ(組織化)していくか、自発的に情報を出すことをどうやってモチベート(動機付け)していくか」であると述べています。また、その具体的な手法として、慶應幼稚舎で導入している「2+1」ゲームを紹介しています。
佐伯胖氏との対談では、日本の教育が、先生対子供の番傘的なコミュニケーションになっていて、「いい授業というのは、お釈迦様が掌の上で動かすように子供を動かすことだ」と思われているという問題を指摘しています。そのため、日本の教師は、毎晩遅くまで残って教材研究をしていますが、最近の学校では、その方法が通用しなくなっている、熱心な先生のクラスほど学級崩壊が起きやすいことが述べられています。
この他、ポケモンゲームの育ての親である香山哲氏や、小学校時代は4月中に勝手に教科書を終わらせて、後は池袋のゲーセンに入り浸って賭けゲームをやっていた、という高城剛氏、ストライキに参加して無断欠勤した小学校の担任に、「あなたは僕たちに迷惑をかけたのみならず、他の先生にも迷惑をかけた。日頃、あなたが僕の遅刻を注意しているのに矛盾するじゃないか」と指摘して徹底的に対立した鈴木寛氏といった個性的なメンバーとの対談が収められています。また、それぞれの章末には、コンピュータを使った教育の実験の模様がコラムとして収められています。
本書のまとめの言葉として、著者は、子供たちに贈るべき「生きるチカラ」を、
「それは、"ゲームするココロと、ネットするチカラ"ではないだろうか。」
とまとめています。
本書は、教育と情報に関心のある人はもちろん、読み物としても楽しく読める内容になっています。
■ 個人的な視点から
本書の第6章で登場する鈴木寛氏は、クリエイティブな人間の基準を、「ザリガニとクワガタをとったかどうか」であるとしています。鈴木氏は、「ザリガニとったことがない人は一緒にクリエイティブな仕事をする相手としていかがかくらいに思っている」、「ザリガニとりもクワガタとりもものすごく奥が深いんです。メダカでもいい。ようするにクリエイティビティというのは無限の選択肢の中からの編集だから。」とまで強調しています。
これで思い出したのが、「ウゴウゴルーガ」のウゴウゴ君役の田島秀任くんは、オーディションでどんな遊びをしているかを聞かれ、「オラ、ザリガニ取りだ」と言って合格したという伝説があります。やはりクリエイティブとザリガニは切り離せないようです。
■ どんな人にオススメ?
・生きるチカラを考えたい人。
■ 関連しそうな本
藤原 和博, 天野 一哉 『民間校長、中学改革に挑む』 2006年04月07日
藤原 和博 『公立校の逆襲 いい学校を作る!』 2005年06月17日
藤原 和博 『サクラ、サク』 2005年12月04日
藤原 和博 『世界でいちばん受けたい授業―足立十一中『よのなか』科』
大島 謙 『高校を変えたい!―民間人校長奮戦記』 2006年02月13日
吉田 新一郎 『校長先生という仕事』 2006年02月15日
■ 百夜百マンガ
『リングにかけろ』や『風魔の小次郎』の世代にはちょっと付いていけない盛り上がりをしていました。
投稿者 tozaki : 2006年04月26日 06:00
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