« 人生に奇跡を起こすノート術―マインド・マップ放射思考 | メイン | チャータースクールの胎動―新しい公教育をめざして »
2006年05月08日
不滅の「役人天国」
■ 書籍情報
斐昭
価格: ¥1000 (税込)
光文社(2005/10/01)
本書は、『週刊文春』に2003年8月から2004年12月まで連載されていた、「サボっている役人の姿を隠し撮り」企画を元に、連載打ち切りで回ることができなかった富山県、長崎県、兵庫県などの写真を加えて出版したものです。
本書に収められているのは、主に全国47都道府県庁で職員たちが昼休みにロビーなどで昼寝をしている姿か、喫茶店や喫煙コーナーでさぼっている姿です。これらの写真に、それぞれの土地で起きた公務員がらみの不祥事の記事を絡める、というのが基本パターンです。
この記事でインパクトがあったものとしては、長野県庁の屋上にたむろして煙草を吸っているところが週刊誌に掲載され、県庁の敷地内が全館禁煙になったというものがあります。行き場を失った「タバコ難民」は県庁の周りで「不良少年のようにコソコソとタバコを外で吸うようになった」という写真も掲載されています。
しかし、多くの記事は、裏をとっていないようで、写真だけ撮ってキャプションは想像でおもしろおかしく書いているだけのような記事が目立ちます。例えば、青森県の記事では、アニータ事件で有名になった住宅供給公社のオフィスに入ってみたものの、すぐに出てきてしまったことが記事にされています。そのため、「仕方なくアニータと元公社職員との関係を想像してみることにした」と、自分の想像で原稿用紙を埋めています。その他の記事でも、「きっと」や「ちがいない」という類の憶測による記述が目につきます。千葉県の記事では、アクアラインの値下げに関して、「これで値下げすれば、市の財政はひとたまりもないほど打撃を受けますが」という記述がありますが、市役所がアクアラインの運営でもしているのでしょうか。
全体として見ると、現地の都道府県庁に着いたら、喫煙コーナーと昼休みの昼寝スポット(ロビーとか)、売店、食堂周りの写真を撮り、その写真に合わせて、適当に検索したその土地の不祥事の記事をいくつかピックアップして1週分の記事にしているようです。中には当たりの記事もあるのですが、多くはマンネリ化したワンパターンな記事なので、喫煙コーナーと昼寝の写真だけ見せられてもどこの県の記事であっても変わりがありません。著者本人は、全国制覇をしたかったのだと思いますが(取材先での歓楽街めぐりの記事も出てますが)、週刊誌サイドとしては、毎週代わり映えのしない写真、足で稼いだわけではない、記事データベースや感想文レベルの記事だけでは、連載を続けるのは苦しかったのではないかと想像します。
著者は、「フォト・ジャーナリスト」という肩書きですが、取材先で実際に話を聞いてきたような記述は、タクシーの運転手などが目立ちます。秋田県の記事では、飲み屋でホステスから聞いた話が文面の4割ほどを占めています。
隠し撮りが得意な「シャイなジャーナリスト」の手による、オッサンたちのタバコと寝姿の写真を見るのが好き、という方にはお奨めの一冊です。
■ 個人的な視点から
東京都の記事では、石原知事の「三国人発言」を受けて、終始攻撃的な内容です。特に、外国人の地方参政権に関連した話が半分くらいを占めています。
しかし、著者の個性が出ている記事はこの他にはほとんどないかもしれません。他の記事は、同じ光文社から出ている写真週刊誌『FLASH』を連想させるような、少し立ち位置をずらし、一歩引いたような書き振りばかりです。その視点は、まさしく隠し撮りの場所からの視点といっていいかもしれません。
■ どんな人にオススメ?
・隠し撮りしたオッサンの寝姿を見るのが好きな人。
■ 関連しそうな本
塩沢 茂 『地方官僚 その虚像と実像』 2005年08月01日
中国新聞社編 『ルポ地方公務員』 2005年08月17日
吉富 有治 『大阪破産』
中野 雅至 『はめられた公務員』 2005年05月26日
■ 百夜百マンガ
見ると辛くなる表現の多いジョージ秋山の作品の中でも身につまされる作品です。
そういえば「ゲバ」ってゲバ棒のゲバですね。「金こそ力」という意味なのでしょうか。
投稿者 tozaki : 2006年05月08日 06:00
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.pm-forum.org/MT3/mt-tb.cgi/893

【銭ゲバ 】